消費者の意識や行動が変化するスピードが増している今、最新の消費者動向をいち早く把握することが重要です。需要の予測、マーケティング施策の精度向上、商品の開発など、ビジネスのさまざまな場面で先手を打つのに役立てられます。
本記事では、2025年5月現在に注目するべき消費者動向を10個紹介します。

消費者動向とは
消費者動向(消費動向)とは、消費者の意識、行動、価値観の実態を指します。今後の暮らし向きの見通し、物価に対する意識、家電などの耐久消費財の保有状況などが含まれます。大規模なアンケートなどにより調査と分析が行われ、内閣府が毎月実施しているもののほか、マーケティング会社などが独自に実施している場合もあります。
消費者動向と消費トレンドの違い
消費者動向はより大きな概念で、消費トレンドはその一部です。消費トレンドは特定期間における消費の流行や市場の動きを指し、より短期的な意味合いが強いです。たとえば、特定ジャンルでの活発な消費行動を指す「推し活」は消費トレンド、消費行動を決定づける価値観や動機につながる「節約志向」は消費者動向に当てはまります。
消費者動向の推移や予測10選
- 消費意欲は低下傾向にある
- 物価上昇への警戒感が根強い
- 支出を慎重に管理するようになっている
- EC利用では費用対効果が重視されている
- サステナビリティ商品の価格に抵抗感がある
- 口コミは依然としてEC購買の決め手になっている
- ECモールがEC利用の中心になっている
- 購買プロセスのオンライン化が進んでいる
- 新たな購買体験の認知が広がっている
- SNSの購買行動への影響は20〜30代で特に大きい
1. 消費意欲は低下傾向にある
内閣府が毎月実施する消費動向調査によると、2026年1〜2月に持ち直しつつあった消費者マインド(消費に対する意欲)は、3〜4月にかけて低下傾向にあります。
消費者マインドを示す指標のひとつが、同調査の消費者態度指数です。これは、暮らし向き、収入の増え方、雇用環境、耐久消費財の買い時判断の4項目について今後半年間の見通しを消費者に尋ね、その回答を数値化したものです。指数が高いほど消費者の見通しが明るく、低いほど先行きへの不安が強いことを示します。
消費者態度指数は2025年後半は35〜37台で推移し、2026年1月に37.6、2月に39.7と上昇していました。しかし3月に33.3(前月比6.4ポイント低下)と、大幅に落ち込んでいます。さらに、4月も前月比1.1ポイント低下となり、32.2まで落ち込んでいます。
各意識指標の4月時点の数値は以下の通りです。
- 暮らし向き:28.2(前月比1.5ポイント低下)
- 耐久消費財の買い時判断:23.2(前月比2.8ポイント低下)
- 雇用環境:37.4(前月比0.2ポイント低下)
- 収入の増え方:39.8(前月比変わらず)
暮らし向きは、3月の時点でも、前月比9.8ポイント低下という急激な落ち込みを見せています。一方、収入の増え方と雇用環境は他の2項目と比べて水準を維持しています。これらのことから、雇用や収入の心配が少ないにもかかわらず、将来の生活に楽観的になれない状況が続いている様子がうかがえます。
2. 物価上昇への警戒感が根強い
内閣府の消費動向調査によると、1年後に物価が上昇すると考える消費者の割合は、2022年頃から約4年にわたって9割前後で推移しています。2016〜2019年頃は7〜8割、2020〜2021年頃は6〜7割で推移していたことと比べると、現在の水準が高いことがわかります。
直近のデータを見ると 、1年後の物価について「上昇する」と回答した割合は、2025年7月から2026年4月にかけて一貫して9割前後で推移しています。2026年2月に85.6%と一時低下したものの、3月に93.1%、4月には93.6%と再び上昇しており、物価上昇を見込む意識が根強いことがわかります。
なかでも注目されるのが「5%以上上昇する」と回答した割合の急上昇です。2025年7月から2026年1月にかけて43〜51%台で推移し、2026年2月にいったんは36.5%まで低下したものの、3月に53.4%、4月には58.1%と急速に上昇しており、消費者が大幅な物価上昇を警戒する傾向が強まっています。
一方、「低下する」と回答した割合は、2026年3月が2.5%、4月に2.3%と低水準が続いています。また「変わらない」と回答した割合も3~4月では2%台にとどまっており、物価が下がるまたは横ばいになると見込む消費者は少ないことが分かります。
3. 支出を慎重に管理するようになっている
デロイトトーマツが2025年4月に実施した国内消費者意識・購買行動調査からは、消費者がお金の使い道をより意識するようになっていることがうかがえます。 特に、「この数年で変化した価値観」に関するアンケートは、その傾向を明確に示しています。選択肢と回答割合は以下の通りです。
- 節約と贅沢のメリハリをつけるようになった:29.6%(前年比0.2ポイント増加)
- コストパフォーマンスを重視するようになった:29.2%(前年比1.6ポイント増加)
- 節約志向が高まり、より低価格なものを購入するようになった:26.3%(前年比2.4ポイント増加)
- タイムパフォーマンスを重視するようになった:8.7%(前年比1.6ポイント低下)
- 自分へのご褒美消費が増えた:7.5%(前年比0.5ポイント低下)
トップ3は2023年から右肩上がりに増加している一方、「自分へのご褒美消費」は2023年から右肩下がりとなっています。このことから、消費者が支出を慎重に管理するようになっていることがわかります。
「今後、消費額を増やしたいもの」については、全体で「増やしたいものはない」が46.6%で1位となり、前年から4ポイント増加しています。2位は「国内旅行」で23%、3位は「貯蓄 / 投資」の18.9%で、いずれも2024年から低下しています。消費について現状維持を望む傾向が強まっていることがわかります。
4. EC利用では費用対効果が重視されている
デロイトトーマツの国内消費者意識・購買行動調査は、ECを利用する理由として、価格の安さやポイント獲得・利用が重視される傾向が続いていると報告しています。また、配送料の有無が、前年よりも購買判断への影響を強めていることも明らかにしています。
同調査の「配送料に関する意識」アンケートでは、ほぼすべての商品カテゴリで4〜5割の消費者が「送料無料でないと購入しない」と回答しています。特に生鮮(53.1%)、清涼飲料(53.6%)、日用品(51.4%)では過半数を超えています。一方、ラグジュアリー(40.6%)やギフト(39.9%)では比較的低くなっています。送料への許容度は商品の性質や購買頻度によって異なるものの、 価格・割引・配送料を含めた支払総額のお得感が、EC利用の判断基準になっていることがわかります。
5. サステナビリティ商品の価格に抵抗感がある
サステナビリティ商品の認知度は全体的に向上しているものの、価格設定が理由となって購入に消極的になる割合が年々増加しています。
デロイトトーマツの調査によると、サステナビリティという言葉について、「意味がわからない」「聞いたことがない」と回答する層は、2022年と比較すると2025年には減少しています。しかし、「興味・関心がある」と回答した割合は全体で4割弱にとどまっており、2022年と比べて3.6ポイント低下しています。認知は広がっているものの、実際の購買にはつながっていない状況がうかがえます。
同調査の「サステナビリティ商品を選ばない理由」アンケートでは、「価格が高い」という回答が、2023年から2025年にかけて食料品、衣料品、化粧品のいずれのカテゴリーにおいても右肩上がりに上昇しています。
さらに、「サステナビリティ商品に対する価格許容度」アンケートでは、「少しでも高ければ購入・利用しない」の割合が、各商品カテゴリーで以下の通りとなっています。
- 食料品:58.5%(前年比3.3ポイント増加)
- 飲料:58.3%(前年比3.2ポイント増加)
- 衣料品:56.8%(前年比3.0ポイント増加)
- 化粧品:58.5%(前年比2.5ポイント増加)
これらの結果から、サステナビリティの付加価値が、価格の高さを正当化するほど消費者に伝わっていないことがうかがえます。
6. 口コミは依然としてEC購買の決め手になっている
ECでの購買において、口コミやレビューが引き続き、意思決定に大きな影響を与えていることが様々な調査で明らかとなっています。各調査の結果は以下の通りです。
- マイボイスコムのネット上の口コミ情報に関する調査(2026年3月):商品・サービスの購入時に口コミ情報を参考にしている人は回答者11,195名の約56%
- スポルアップのEC利用実態に関する調査(2026年3月):購入前にレビューを確認する人は回答者6,000名の82%
- クロス・プロップワークスのEC利用実態調査レポート(2025年3月):レビューを参考にして商品を購入する人は回答者3,341名の76.8%
マイボイスコムの口コミ情報の影響力についての質問では、口コミをきっかけに「買うことを決めた」「評判がよい方を買った」「買うことをやめた」と回答した人がそれぞれ3割強にのぼっています。口コミは購買を後押しするだけでなく、購買を抑制する方向にも働いていることが分かります。
さらに同調査では、口コミ情報利用者の41.4%が口コミを信頼していると回答しており、2023年の36.6%から4.8ポイント増加しています。また、信頼性を感じる要素(複数回答)として、以下の4項目がいずれも約3割の支持を集めています。
- 口コミ件数の多さ:35.6%(前回比2.7ポイント増加)
- 良くない点の記載:32.4%(前回比5.9ポイント増加)
- 複数人による同様の評判:30.6%(前回比4.2ポイント増加)
- 具体的でわかりやすい内容:29.2%(前回比2.8ポイント増加)
スポルアップの調査によると、EC購入時に最も重視される要素は「価格」(男性56.8%、女性53.2%)で、次いで「安心感」(男性14.7%、女性17.0%)となっています。「レビュー評価」は男性4%、女性7.2%にとどまっています。しかし、購入前にレビューを確認する人が82%に達することを踏まえると、レビューは購買の最重要視点ではないものの、価格などで比較対象を絞り込んだ後、最終的な意思決定を左右する要素として機能していると考えられます。
7. ECモールがEC利用の中心になっている
オンラインショッピングの多くは、ECモール上で行われていると見られています。スポルアップの調査によると、よく利用するECサービス(単一回答)としてAmazon(アマゾン)、楽天、Yahoo!(ヤフー)ショッピングがトップ3を占めており、その次がブランド公式ECサイトとなっています。注目すべき点として、Amazonと楽天だけで全体の76%以上を占めていることがあげられます。
利用経験のあるECサービス(複数回答)でも、Amazonは男性68.1%・女性58.7%、楽天市場は男性63.1%・女性63.6%と、男女ともに6割前後の利用経験があります。ブランド公式ECサイトとフリマアプリは約12〜19%にとどまっており、大手ECモールが他のサービスを大きく引き離していることがわかります。
また、クロス・プロップワークスの調査では、回答者の約7割が同じECモールでのリピート購入を経験しており、日用品や美容・コスメ、アルコール・飲料などが主な購入品として挙げられています。消耗品の購買先として、ECモールが定着していることがうかがえます。
8. 購買プロセスのオンライン化が進んでいる
電通デジタルのEC・店頭をまたぐ購買行動実態調査(2025年5月実施、8,700名対象)によると、2022年から2025年にかけて、認知から購入のプロセスにおいて、オンライン利用が一貫して増加しています。各フェーズにおけるオンライン接点の割合は以下の通りです。
- 商品認知:39.4%(2022年比4ポイント増加)
- 比較検討:56.4%(2022年比6.4ポイント増加)
- 購入場所:32.8%(2022年比3ポイント増加)
特に、比較検討フェーズはこの動きが顕著で、2022年にはオンラインとオフラインが50%ずつの同率でしたが、2025年にはオンライン接点がオフラインを上回るようになっています。
9. 新たな購買体験の認知が広がっている
電通デジタルの調査は、ライブ配信やAIなどを利用した購買体験の認知度が広がっていることを明らかにしています。特にライブコマースについては、認知、興味、体験のいずれも、前年比で3倍前後の伸びを示しています。具体的な数値は以下の通りです。
- 認知:22.2%(前年比14.7ポイント増加)
- 興味:9.5%(前年比6.5ポイント増加)
- 体験:6.0%(前年比4.4ポイント増加)
購買体験におけるAI活用についても、その存在を既に認知している消費者が一定数存在しています。以下は、各AIサービスについて「好意がある」「興味がある」「利用経験がある」のいずれか(複数回答あり)に該当する回答者の割合です。
- AIによる類似商品の自動比較:好意17.3%、興味17.4%、利用経験4.6%
- AIが書いた商品説明やレビュー:好意14.7%、興味14.4%、利用経験:5.5)
- AIによるキャンペーン情報やお得な購入タイミングの自動通知:好意12.4%、興味13.1%、利用経験4.1%
ライブコマースとAIのいずれも、現時点での利用経験は限定的ですが、ポジティブにとらえている消費者はその数倍に上っており、認知が広がっていることから今後の購買体験において存在感を増していくことが予想されます。
10. SNSの購買行動への影響は20〜30代で特に大きい
アルティウスリンクの購買行動におけるSNS利用動向調査(2025年5月実施、3,714名対象)によると、他の世代と異なり20〜30代はSNSを主要な情報源としています。各世代で利用率の高い媒体(複数回答あり)トップ3は以下の通りです。
- 20〜30代:SNS(87.3%)、動画投稿・共有サービス(68.5%)、ニュースサイト(48.0%)
- 40〜50代:テレビ・ラジオ(75.6%)、ニュースサイト(65.2%)、SNS(60.1%)
- 60〜70代:テレビ・ラジオ(87.0%)、ニュースサイト(74.5%)、情報サイト・ポータルサイト(49.9%)
SNSが商品・サービスを知るきっかけになる(複数回答)と回答した割合は、全体では45.3%ですが、その内訳を見ると年代・性別によって大きな差があります。特に女性の若年層で高く、20代女性では92.1%、30代女性では82.7%に達しています。男性でも20代は76.6%、30代は63.5%と高い水準にあります。いずれの性別でも、世代が上がるごとに割合は減少していきます。
購入時にSNSの評価を確認したいと回答した割合は、20〜30代で81.2%、全体では66.1%と過半数を超えています。SNSを通じた評価確認は幅広い世代に浸透しつつあり、ソーシャルコマースの重要性はZ世代マーケティングにおいて特に高まっていくといえるでしょう。
まとめ
主要な消費者動向を理解することは、ビジネス戦略を立てるうえでの第一歩です。重要なのは、得られた情報を具体的な施策へと落とし込むことです。需要予測、マーケティング施策の改善、商品開発など、ビジネスへどう活かせるかを考えてみてください。
また、消費者の意識や行動は今後も変化し続けます。常に最新の動向を把握し、変化に合わせて柔軟に対応していくことが、事業の安定と成長につながります。
消費者動向に関するよくある質問
消費者動向とは?
消費者動向とは、消費者の意識、行動、価値観のことです。
消費トレンドと消費者動向の違いは?
消費者動向が消費者の意識や行動全体を捉える広い概念であるのに対し、消費トレンドはその中で特に注目される時期ごとの流行や市場の変化を指します。
最新の消費者動向は?
- 消費意欲は低下傾向にある
- 物価上昇への警戒感が根強い
- 支出を慎重に管理するようになっている
- EC利用では費用対効果が重視されている
- サステナビリティ商品の価格に抵抗感がある
- 口コミは依然としてEC購買の決め手になっている
- ECモールがEC利用の中心になっている
- 購買プロセスのオンライン化が進んでいる
- 新たな購買体験の認知が広がっている
- SNSの購買行動への影響は20〜30代で特に大きい




