はじめに
「数年前に構築したECサイトが古びてきた」
「機能追加の要望にベンダーが応えられない」
「運用コストばかり膨らんで、売上が伸び悩んでいる」
ECサイトを5年以上動かしている事業者の多くが、こうした課題を抱えています。
事業の成長にあわせてシステムも進化させる必要がありますが、部分改修では追いつかなくなったとき、検討対象にあがるのが EC刷新(基盤・システムを含む全面的な変革) です。
EC刷新は単なるサイトリニューアルとは違い、システム基盤・業務プロセス・運用体制まで踏み込む経営判断を伴う投資です。
投資規模は数百万円から数千万円規模に及ぶこともあり、検討から本番稼働まで6ヶ月から1年以上を要するケースも珍しくありません。
判断軸と進め方を整理しておくことが、成功への第一歩になります。
本記事では、EC刷新を検討するEC事業責任者・IT部門責任者の方に向けて、刷新と他の選択肢との違い、刷新を検討すべきサイン、進め方の7ステップ、費用相場とROI試算、失敗パターン、刷新先の基盤の選び方までを網羅的に解説していきます。
目次
-
EC刷新とは何か(基本概念)
-
「EC刷新」「リニューアル」「移行」「再構築」の違い
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EC刷新を検討すべき7つのサイン
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EC刷新の進め方|7ステップで解説
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EC刷新の費用相場と内訳
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EC刷新のROI試算と経営合意形成
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EC刷新先として検討すべき基盤の選択肢
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EC刷新でよくある失敗パターンと回避策
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EC刷新を成功させるための5つのポイント
-
まとめ
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EC刷新とは何か(基本概念)
EC刷新とは、既存のECサイトやEC基盤を、システム・業務プロセス・運用体制まで含めて 全面的に作り替える取り組み を指します。
「リプレイス」「再構築」「システム更改」と呼ばれることもありますが、本記事では「刷新」を、表面の改修ではなく 基盤レベルから作り直す変革 として位置づけます。
EC刷新の定義
EC刷新には、次の要素が含まれます。
-
システム基盤の入れ替え:ECプラットフォームそのものを変更する(例:オープンソース型からSaaS型へ)
-
アーキテクチャの再設計:マイクロサービス化・ヘッドレス化など、構造的な見直し
-
業務プロセスの再構築:商品管理・在庫・受注・出荷・カスタマーサポートの業務フロー見直し
-
データ移行:商品データ・顧客データ・取引履歴の引き継ぎ
-
運用体制の刷新:社内体制・ベンダー体制・KPIモニタリング体制の再構築
デザインを新しくする「リニューアル」、データを別システムへ移す「移行」と比べると、事業全体に影響する規模のプロジェクトになります。
なぜ今、EC刷新が増えているのか
EC刷新を検討する企業が増えている背景には、いくつかの構造的な要因があります。
第一に、市場の急拡大です。経済産業省『電子商取引に関する市場調査』によると、日本のBtoC-EC市場(物販系)は2024年時点で15.55兆円規模に達し、EC化率は9.78%まで上昇しています(出典:経済産業省『電子商取引に関する市場調査』2024年)。
さらにBtoB-EC市場は2023年時点で465.2兆円、EC化率40.0%という規模感です(出典:同調査 令和5年度版)。市場拡大に伴い、既存システムの処理性能・機能要件が追いつかなくなるケースが増えています。
第二に、技術の陳腐化です。ECシステムの耐用年数は 5年程度 が目安とされ、これを超えると保守切れ・セキュリティリスク・パフォーマンス低下が顕在化しやすくなります。
第三に、運用コストの上昇です。レガシーシステムは保守・カスタマイズ・改修にかかる費用が時間とともに膨らみ、機能追加のたびに見積もりが高額化する傾向があります。
新規機能を追加できないことによる機会損失も、見過ごせない論点です。
刷新がもたらすビジネスインパクト
EC刷新を成功させた企業では、次のようなビジネスインパクトが期待できます。
-
売上拡大:表示速度の改善、UI/UXの向上、決済手段の拡充によるCVR改善
-
運用効率化:マーケティング施策の実行スピード向上、運用工数削減
-
拡張性の確保:海外展開、新規チャネル、BtoBへの展開など、事業拡大に耐えうる基盤
-
セキュリティ・コンプライアンス強化:最新のPCI DSS、個人情報保護法への対応
いずれも事業計画と直結する成果であり、刷新の意思決定は経営戦略の一部として扱われます。
「EC刷新」「リニューアル」「移行」「再構築」の違い
EC刷新を検討する現場では、「リニューアル」「移行」「再構築」といった用語が混在し、意思決定の場で認識のズレが起きがちです。
まずは用語を整理します。
用語の整理と境界線
|
用語 |
意味 |
主なスコープ |
期間の目安 |
|---|---|---|---|
|
リニューアル |
デザイン・UI/UXを中心とした部分改修 |
フロントエンド改修、機能追加 |
1〜3ヶ月 |
|
移行(マイグレーション) |
データやシステムを別の環境へ移す |
サーバー移転、データ移行 |
1〜3ヶ月 |
|
刷新(リプレイス) |
基盤・システム・業務プロセスを含む全面的な変革 |
基盤入れ替え、業務再設計、データ移行を含む |
6〜12ヶ月 |
|
再構築(リビルド) |
既存システムをベースにゼロから作り直す |
フルスクラッチ開発、独自仕様の再実装 |
6〜18ヶ月以上 |
「刷新」と「再構築」は重なる部分が大きく、両者を同義で使う事業者も少なくありません。
実務では、刷新は既存のEC基盤を別の基盤に置き換えるケースを含む のに対し、再構築は自社向けにフルスクラッチで作り直すケースが中心 という違いがあります。
比較表:目的・スコープ・期間・費用・関与者
|
観点 |
リニューアル |
移行 |
刷新 |
|---|---|---|---|
|
主な目的 |
UI/UX改善、CVR向上 |
環境変更、コスト最適化 |
事業拡大、レガシー脱却、運用効率化 |
|
スコープ |
フロント中心 |
データ・インフラ |
システム+業務+運用 |
|
関与者 |
EC・マーケ担当 |
IT・情シス |
EC事業責任者+IT+経営層 |
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投資規模 |
30〜300万円 |
50〜500万円 |
数百万〜数千万円 |
|
期間 |
1〜3ヶ月 |
1〜3ヶ月 |
6〜12ヶ月以上 |
|
経営判断 |
部門レベル |
部門レベル |
経営判断・取締役会レベル |
自社の状況に合った選択肢の見極め方
選択肢を見極める判断軸は、次のとおりです。
-
課題がデザイン・コンバージョン率に集約されているなら リニューアル
-
システム環境の変更(オンプレからクラウドへ等)が中心なら 移行
-
基盤の老朽化・機能限界・運用負荷の限界が複合的にあるなら 刷新
-
既存システムが特殊で、標準パッケージで対応できないなら 再構築
部分改修では解決しないと判断された段階で、刷新の検討フェーズに入ります。
EC刷新を検討すべき7つのサイン
EC刷新は投資規模が大きいため、感覚的な判断では着手できません。次の7つのサインに複数該当する場合は、刷新の検討フェーズに入る合図です。
サイン1:システム老朽化(5年以上の運用・保守切れ)
ECシステムの一般的な耐用年数は5年程度とされ、これを超えると保守切れ・技術陳腐化のリスクが高まります。物理サーバーの法定耐用年数も5年で、技術スタックの陳腐化と重なるタイミングです。
サイン2:ベンダーサポート終了・EOLの到来
ECパッケージや関連ミドルウェアのEOL(End of Life)が近づくと、セキュリティパッチが提供されなくなり、サイバー攻撃のリスクが急増します。
クレジットカード決済を扱うEC事業者にはPCI DSSへの準拠が義務付けられており(2024年3月にVersion 4.0が施行)、サポート切れシステムでは要件を満たせない可能性があります。
サイン3:機能追加・カスタマイズが限界に達している
「サブスクリプション販売を始めたい」「越境ECに対応したい」「マルチストアを管理したい」といった新機能要望に対し、既存システムが構造的に対応できないケースです。
改修見積もりが過度に高額化したり、ベンダーから「対応不可」と回答されたりする場合も、このサインに該当します。
サイン4:ピーク時の処理性能・スケーラビリティの限界
セール時・キャンペーン時にサイトが落ちる、表示速度が遅くなる。こうした現象は、ビジネスに直結する問題です。
Googleの調査によると、ページ表示速度が1秒遅れるとCVRが7%低下し、3秒以上で53%のモバイルユーザーが離脱するとされています(出典:Google『The Need for Mobile Speed』2018年)。アクセス急増に耐えられない基盤は、機会損失そのものです。
サイン5:基幹システム・OMS・WMSとの連携負荷の増大
ERP・基幹システム・OMS(受注管理)・WMS(倉庫管理)との連携が、手作業・バッチ処理・CSV連携の積み重ねになっている場合、運用負荷とミスのリスクが膨らみます。リアルタイム連携やAPI連携が求められる時代に、レガシー連携は刷新の合図です。
サイン6:セキュリティ要件への対応困難
PCI DSS Version 4.0(2024年3月施行)、改正個人情報保護法(2022年)、Cookie規制対応など、コンプライアンス要件は年々厳しくなっています(出典:PCI Security Standards Council/個人情報保護委員会)。
レガシーシステムでは要件を満たせず、刷新が事実上必須になるケースもあります。
サイン7:運用コスト・保守費用の上昇傾向
毎年の保守費用・改修費用が増加傾向にある場合、TCO(総保有コスト)の観点で刷新を検討する価値があります。
新基盤への移行コストを、5年間のTCO削減効果でペイできるかを試算するのが、一つの判断軸です。
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EC刷新の進め方|7ステップで解説
EC刷新は経営判断を伴う大型プロジェクトであるため、進め方の型を押さえておきたいところです。一般的な進め方を7ステップで整理します。
ステップ1:現状分析と課題の棚卸し(期間:4〜6週)
最初のステップは、現状のECサイト・システム・業務プロセスの棚卸しです。
-
既存システムの構成図・関連システム一覧の整理
-
過去2〜3年の障害履歴・保守履歴のレビュー
-
売上・CVR・直帰率・滞在時間などのKPI推移確認
-
部門ヒアリング(EC・マーケ・カスタマーサポート・IT・物流)
-
顧客視点での課題抽出(NPS、レビュー、サポート問い合わせ分析)
ここで言語化された課題が、刷新の目的につながります。
ステップ2:刷新の目的と要件定義(期間:6〜8週)
刷新の目的を明確に定義します。目的が曖昧なまま進めると、後工程で要件が肥大化し、コストが膨張する原因になります。
-
ビジネス目的:売上目標、CVR目標、運用工数削減目標、海外展開等
-
機能要件:必須機能、推奨機能、将来検討機能
-
非機能要件:性能、可用性、セキュリティ、運用性
-
制約条件:予算、期間、社内リソース、既存システムとの連携
要件定義の鉄則は、「すべての要望を盛り込まない」「優先順位を明確にする」の2点です。
ステップ3:基盤選定とRFP作成(期間:4〜8週)
要件をもとに、刷新先の基盤候補を絞り込みます。
SaaS型/パッケージ型/オープンソース型/フルスクラッチ型のどれが自社に合うかを評価し、3〜5社程度のベンダー候補を解説します。
RFP(提案依頼書)には次の項目を盛り込みます。
-
事業背景・刷新の目的
-
必須機能・推奨機能・将来検討機能
-
非機能要件(性能・可用性・セキュリティ)
-
データ移行要件
-
予算・期間の想定
-
評価基準・選定プロセス
ステップ4:ベンダー選定と契約(期間:4〜6週)
複数ベンダーから提案を受け、機能・費用・実績・サポート体制・拡張性を総合評価します。
可能であれば、PoC(概念実証)で機能・性能・運用性を実機検証しておくと、判断の精度が上がります。
最終候補に対して、見積もり精緻化と契約条件の交渉を行い、契約締結に至ります。
ステップ5:設計・開発・データ移行(期間:3〜6ヶ月)
ベンダーとともに、詳細設計・開発・データ移行設計を進めます。
-
画面設計・機能設計・データ設計
-
既存システムとの連携設計
-
データ移行計画(マッピング、クレンジング、検証)
-
開発・テスト計画
データ移行は刷新プロジェクトの中で最もリスクが高い工程の一つです。
商品データ・顧客データ・受注履歴・ポイント残高など、移行対象を早期に洗い出すことが鍵になります。
ステップ6:テスト・移行リハーサル・本番切替(期間:1〜2ヶ月)
開発が完了したら、テストフェーズに入ります。
-
単体テスト・結合テスト・総合テスト
-
性能テスト・負荷テスト
-
受け入れテスト(UAT)
-
移行リハーサル(本番切替前のドライラン)
-
本番切替計画(ダウンタイム最小化、ロールバック計画)
本番切替は、トラフィックの少ない夜間・早朝に実施することが一般的です。
切替後の数日間はモニタリング体制を強化し、即時対応できる体制を組みます。
ステップ7:刷新後の運用設計と効果検証(期間:継続)
刷新後の運用フェーズも重要です。
-
運用体制(社内・ベンダー)の確立
-
KPIモニタリング体制
-
障害対応・問い合わせ対応のルール
-
継続的な改善計画(PDCA)
-
効果検証(刷新前後の比較)
刷新は「作って終わり」ではなく、「作ってからが本番」です。
EC刷新の費用相場と内訳
EC刷新の費用は、構築タイプ・要件規模・既存システムとの連携範囲によって大きく変動します。
ここでは公開情報に基づく相場感を整理します。
構築タイプ別の費用感
|
構築タイプ |
初期費用相場 |
月額費用相場 |
構築期間 |
|---|---|---|---|
|
ASP・SaaS型 |
0〜10万円 |
数千〜数万円 |
即日〜2ヶ月 |
|
ASP・SaaS型(中規模以上) |
数十万円〜 |
数万〜十数万円 |
1〜3ヶ月 |
|
オープンソース型 |
50〜200万円 |
サーバー・保守費 |
1〜4ヶ月 |
|
パッケージ型 |
300〜1,500万円 |
10〜30万円以上 |
4〜8ヶ月 |
|
フルスクラッチ型 |
3,000万円〜 |
保守費(売上規模により変動) |
6〜18ヶ月以上 |
刷新の場合、これに 既存システムからの移行費用・データ移行費用・連携開発費用 が上乗せされます。
中規模以上の刷新では、合計で500万円〜数千万円規模に着地するケースが一般的です。
費用の内訳
刷新プロジェクトの費用は、おおむね次の構成になります。
-
要件定義・コンサルティング費:全体の10〜20%
-
設計・開発費:全体の50〜60%
-
データ移行費:全体の5〜15%
-
テスト・移行リハーサル費:全体の5〜10%
-
教育・トレーニング費:全体の3〜5%
-
運用保守費(年額):プラットフォーム月額+追加開発費
隠れたコストに注意
見積もり段階では見えにくい「隠れたコスト」も無視できません。
-
要件追加による開発費の膨張
-
既存システムとの連携開発の追加費用
-
データクレンジングの工数
-
運用フェーズで発生するカスタマイズ費用
-
教育・マニュアル整備の工数
-
並行運用期間中のダブルコスト
事前に見積もりへ織り込んでおけば、後の予算超過を防げます。
EC刷新のROI試算と経営合意形成
EC刷新は投資規模が大きいため、ROI(投資対効果)の試算と経営合意形成が欠かせません。
ROI試算の基本フレーム
ROI試算は、次のフレームで整理します。
-
投資額の算定:初期費用+移行費用+運用費用(5年間)
-
効果額の試算:売上増加・コスト削減・機会損失回避
-
回収期間の算出:投資額 ÷ 年間効果額
-
NPV(正味現在価値)の算出:将来キャッシュフローを現在価値に割り引いて算出
中規模ECで、刷新投資 1,000〜3,000万円に対し、回収期間を 3〜5年以内 に収めることを一つの目安とする企業が多い傾向です。
効果指標の例
刷新の効果は、定量的に測定可能な指標で語ることが大切です。
|
指標 |
効果の試算例 |
|---|---|
|
CVR改善 |
表示速度改善・UI/UX改善でCVR 0.5〜1.5pt向上 |
|
客単価向上 |
レコメンド機能・サブスクリプション対応で5〜15%向上 |
|
運用工数削減 |
受注処理・商品登録の自動化で月数十時間削減 |
|
障害対応コスト削減 |
安定稼働により障害対応工数を年間で大幅削減 |
|
新規施策のスピード |
キャンペーン立ち上げが従来の1/2〜1/3の期間で可能に |
|
海外展開 |
多言語・多通貨対応で新規市場へ進出 |
EC業界平均のCVRは、業界調査各社の公表値で概ね2〜3%台が一般的な水準とされており(出典:Statista “E-commerce Conversion Rate by Industry”)、CVRが0.5pt改善するだけでも年間売上に大きく寄与します。
経営合意形成のための3つのアプローチ
経営層を含めた合意形成には、次の3つのアプローチが効きます。
-
「投資しない場合のリスク」を可視化する:機会損失・障害リスク・コンプライアンスリスクを定量化
-
複数シナリオでROIを示す:保守的・標準・楽観の3シナリオで投資対効果を提示
-
段階的アプローチを提案する:一気に刷新せず、コアシステムから段階的に移行するロードマップを提示
「攻め」と「守り」の両側面から投資の必要性を語ることが、合意形成の鍵です。
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EC刷新先として検討すべき基盤の選択肢
刷新先の基盤は、大きく4つのタイプに分類できます。
それぞれの特性と向いている企業を整理します。
ASP・SaaS型
クラウド事業者が提供するEC基盤を月額・年額で利用するタイプです。
インフラ管理が不要で、最新機能が自動でアップデートされます。
代表的なサービス例
- BASE、STORES、カラーミーショップ(個人〜小規模向け)
- MakeShop、futureshop(中小規模〜中規模向け)
- Shopify(小規模〜エンタープライズまで幅広く対応。Plusは年商目安5億円以上)
向いている企業
- インフラ運用負荷を抑えたい企業
- スピーディーに刷新を完了させたい企業
- グローバル展開・多店舗展開を見据えている企業
- アプリエコシステムによる拡張性を重視する企業
パッケージ型
ベンダーが提供するECパッケージを、自社環境にカスタマイズして導入するタイプです。
代表的なサービス例
- ecbeing、ebisumart、Orange EC、SI Web Shopping
向いている企業 - 独自業務プロセスが多く、カスタマイズ要件が複雑な企業 - 基幹システムとの密結合が必要な企業 - 中〜大規模EC(月商数千万円以上)の事業者
オープンソース型
ソースコードが公開されているECプラットフォームを、自社の要件にあわせてカスタマイズして利用するタイプです。
代表的なサービス例
- EC-CUBE(日本製OSS)
- WooCommerce(WordPress連携型)
- Magento/Adobe Commerce(大規模向け、商用版あり)
向いている企業
- 開発リソースが社内に充実している企業
- ライセンス費用を抑えたい企業
- 独自要件を柔軟に実装したい企業
フルスクラッチ型
ゼロから自社向けに開発するタイプです。
向いている企業
- 既存パッケージで対応できない特殊な業務要件を持つ企業
- 競合優位性のあるシステムを内製化したい超大規模企業
- 投資余力・開発体制が十分な企業(数千万円〜)
タイプ別の向き不向き
|
タイプ |
初期費用 |
カスタマイズ性 |
構築期間 |
運用負荷 |
向いている規模 |
|---|---|---|---|---|---|
|
ASP・SaaS型 |
低 |
中 |
短 |
低 |
個人〜エンタープライズ |
|
オープンソース型 |
中 |
高 |
中 |
中〜高 |
中規模 |
|
パッケージ型 |
高 |
高 |
長 |
中 |
中〜大規模 |
|
フルスクラッチ型 |
極高 |
極高 |
極長 |
高 |
大規模・エンタープライズ |
刷新先を選ぶときは、カスタマイズ性だけでなく、運用負荷・拡張性・TCO(5年総保有コスト)まで含めた総合評価が肝心です。
EC刷新でよくある失敗パターンと回避策
EC刷新は大型プロジェクトであるがゆえに、失敗時の影響も甚大です。よくある失敗パターンを5つに整理し、回避策を解説します。
失敗1:目的が曖昧なまま着手する
「老朽化しているから刷新」「機能が足りないから刷新」といった漠然とした目的でプロジェクトを開始すると、要件が肥大化し、ROIが見えなくなります。
回避策:刷新の目的を3〜5つに絞り、KPIで定量化する。経営層の承認を得てから着手する。
失敗2:要件定義が肥大化し、コストが膨張する
社内各部門の要望をすべて拾い上げると、要件は際限なく増えていきます。
回避策:
-
要件を「必須」「推奨」「将来検討」の3階層に分類し、必須要件のみで第一フェーズを完結させる設計にする。
-
MVP(Minimum Viable Product)の考え方を取り入れる。
失敗3:データ移行を軽視する
商品データ・顧客データ・取引履歴の移行は、刷新プロジェクトで最もトラブルが発生しやすい工程です。
回避策:
-
データ移行計画をプロジェクト前半に組み込み、移行データのマッピング・クレンジングを早期に開始する。
-
テスト移行・本番移行を含む段階的なリハーサルを実施する。
失敗4:刷新後の運用設計を怠る
刷新の華やかさに気を取られ、本番稼働後の運用設計が後回しになるケースです。
回避策:
-
プロジェクト開始時点から、運用フェーズの体制・KPI・改善サイクルを並行設計する。
-
運用ガバナンスを定義し、責任分担を明確にする。
失敗5:経営合意形成が不十分なまま進める
経営層の理解が不十分なまま走り出すと、途中で予算が削減されたり、優先度が変更されたりするリスクが残ります。
回避策:
-
経営層へのレビューを定例化し、進捗・課題・投資対効果を継続的に共有する。
-
意思決定のマイルストーンを明確にする。
EC刷新を成功させるための5つのポイント
最後に、EC刷新を成功に導く5つのポイントを整理します。
ポイント1:投資判断の起点を「将来の事業計画」に置く
現状の課題解決だけでなく、3〜5年後の事業計画を見据えて刷新を設計します。
海外展開、新規チャネル、BtoB対応、サブスクリプションなど、将来の事業拡張に耐える基盤を選定します。
ポイント2:自社の運用体制に合った基盤を選ぶ
「機能が豊富」「カスタマイズ性が高い」だけで基盤を選ぶと、運用負荷が想定以上に膨らみます。
社内のIT人員・運用体制を踏まえ、運用負荷とのバランスを見極めることが肝心です。
ポイント3:PoC(概念実証)と段階移行を活用する
刷新先の基盤候補に対し、PoCで機能・性能・運用性を実機検証します。
コアシステムから段階的に移行する設計にできれば、リスクが分散します。
ポイント4:データ移行をプロジェクト前半に組み込む
データ移行はトラブルの温床になりやすいため、プロジェクト前半でマッピング設計・クレンジング・テスト移行に着手します。
後工程に持ち越すと、本番切替前に大きな手戻りが発生します。
ポイント5:刷新後の運用ガバナンスを設計する
刷新は「作って終わり」ではなく「作ってからが本番」です。
運用フェーズのKPI・改善サイクル・体制・ベンダーマネジメントをプロジェクト開始時点から設計し、本番稼働後の継続的な成長につなげます。
まとめ
EC刷新は、ECサイトの一部改修ではなく、システム・業務プロセス・運用体制を含めた 経営判断を伴う全面的な変革 です。投資規模が大きいからこそ、判断軸と進め方を整理してから動くことが、成功への第一歩になります。
EC刷新成功の5つのポイント
-
投資判断の起点を「将来の事業計画」に置く
現状課題の解決だけでなく、3〜5年後の事業拡張を見据えて基盤を選定します。 -
自社の運用体制に合った基盤を選ぶ
機能性だけでなく、運用負荷・TCO・拡張性を総合評価します。 -
PoCと段階移行でリスクを分散する
実機検証と段階的な移行で、刷新のリスクをコントロールします。 -
データ移行をプロジェクト前半に組み込む
トラブルの温床になりやすい工程を、早期に着手して品質を担保します。 -
刷新後の運用ガバナンスを設計する
本番稼働後の継続的な成長を見据え、運用フェーズも並行設計します。
最初の一歩を踏み出そう
EC刷新は、検討開始から本番稼働まで6ヶ月〜1年以上を要する大型プロジェクトです。だからこそ、「完璧な計画」を作ってから動くのではなく、「現状の棚卸し」「目的の言語化」「基盤候補のリストアップ」といった最初の一歩を、早期に踏み出すことが大事です。
社内検討の初期段階から専門家のアセスメントを受けておけば、後の手戻りを大きく減らせます。
【無料相談】EC刷新の検討段階からShopifyの専門家が伴走 EC刷新は、要件整理・基盤選定・移行計画・本番切替・運用設計まで、長期にわたる伴走が必要です。Shopifyでは、検討段階から運用フェーズまで、貴社の事業規模・要件に合わせた支援をご提供します。まずは無料相談からお気軽にご連絡ください。
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参考文献
-
経済産業省『電子商取引に関する市場調査』(年次) https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html
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経済産業省『令和5年度 電子商取引に関する市場調査』2024年 https://www.meti.go.jp/policy/it_policy/statistics/outlook/ie_outlook.html
-
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-
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個人情報保護委員会(改正個人情報保護法) https://www.ppc.go.jp/
-
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Adobe Digital Insights “Digital Economy Index” https://business.adobe.com/resources/digital-economy-index.html




