従来、車のパーツ販売は実店舗や業者間取引が中心でしたが、EC(電子商取引)の普及により一般消費者が購入する機会も広がっています。こうした背景から、市場は国内外を問わず現在も成長を続けています。
この記事では、車のパーツ販売ビジネスの市場規模、オンラインで販売すべき理由、具体的な販売方法を詳しく解説します。これから車のパーツ販売ビジネスを始めたい事業者はもちろん、既存の店舗販売をEC化したい事業者はぜひ参考にしてください。

車のパーツ販売ビジネスとは
車のパーツ販売(カーパーツ販売)ビジネスとは、実店舗やECなどを通じて、自動車の各種部品を整備工場や一般消費者に販売する事業を指します。
取り扱う商材は主に以下の4種類に分類されます。
- 純正部品:自動車メーカーがメーカー保証付きで供給する部品。
- 社外品:部品メーカーが供給する部品。
- 優良部品:社外品の中でも、日本自動車部品協会の「自動車優良部品推奨制度」により推奨された部品、それらと同等の品質を有する部品。
- リビルト・中古部品:使用済み部品を再生・再利用した部品。

車のパーツ販売ビジネスの市場規模と今後の展望
日本国内の車のパーツ販売市場は3兆円超の規模を誇り、成長を続けています。しかし中長期的には市場縮小が予想されており、海外需要の取り込みが今後の成長の鍵となります。世界市場に目を向ければ、自動車部品市場にはさらに大きな拡大余地が残されているからです。
矢野経済研究所の調査では、2023年度の自動車部品・用品市場規模は3兆1,032億円(前年度比2.4%増)で、このうち、純正部品が約1兆4,921億円を占めるとしています。2024年度は3兆2,630億円(前年度比5.1%増)へ拡大すると推計され、車両の長寿命化や部品単価の上昇がその要因だとされています。
国内市場の中長期的な課題としては、人口減少に伴う自動車保有台数の減少が挙げられます。実際、2024年度の車検対象台数は、前年度比で約3%減の約3,300万台(調査時点の見込み)にとどまりました。
世界へ目を向けると、Global Market Insights(グローバルマーケットインサイト)の調査では2025年の世界自動車部品小売市場規模は5,484億ドル(約87兆2,000億円)に達しています。2025年から10年間のCAGR(年平均成長率)を10.2%と推計し、2034年には1.31兆ドル(約208兆円)への成長が予測されています。地域別では北米が42.9%の最大シェアを占め、アジア太平洋地域はCAGR11.4%と最速の成長が見込まれています。
また、同調査では流通チャネル別の市場動向も明らかにしています。オフライン店舗が市場の中核を担っており、2025年時点で4,352億ドル(約69兆2,000億円)規模を占める見込みです。このデータから算出すると、オンラインチャネルは約1,132億ドル(約18兆円)と全体の約2割にとどまります。ただし、同調査では、ECサイトやモバイルアプリの普及を背景にオンラインチャネルも成長を続けていくと予測しています。
※1ドル = 159円換算(2026年4月現在)

車のパーツをオンラインで販売すべき4つの理由
1. 販路を拡大しやすい
オンライン販売なら、実店舗ではアプローチが難しかった遠方の顧客や海外の顧客にもリーチできます。実店舗は商圏が物理的に限られるため、どれだけ良い商品を扱っていても、商圏外の顧客への販売は難しいです。一方、オンライン販売なら、日本全国はもちろん、市場が成長している国へも販路を広げることができます。たとえば、日本から中東やアフリカに向けた自動車輸出額は2025年に過去最高を記録しており、現地での日本車向けパーツ需要も見込まれます。
2. 機会損失を防ぎやすい
顧客が必要な瞬間を逃さず注文できる利便性は、オンライン販売の強みです。実店舗では、営業時間外や定休日に「今すぐ注文したい」という顧客のニーズに応えることができません。一方、オンラインストアは24時間365日体制で営業時間や人員に縛られずに注文を受け付けられます。
3. 低コストで始められる
オンライン販売は、実店舗と比べて初期投資を抑えながら事業をスタートできます。店舗の内装費などの初期費用、賃料や人件費といった固定費などのコストを大幅に削減できます。また、ドロップシッピングを活用すれば、在庫を持たずに販売をスタートすることも可能です。小規模な在庫からでも始められるため、リスクを抑えながら事業を拡大することが可能です。
4. オンライン需要を先取りできる
車パーツのオンライン販売に早期に参入を果たすことで、先行者優位を築きやすい状況にあります。車のパーツ販売は国内外で成長を続けていますが、まだオフライン販売が市場の大部分を占めています。 しかし、オンライン販売の利便性向上、ECサイト作成ツールの進化やマーケットプレイスの進歩により、今後はオンライン販売の比率が高まっていくと考えられます。 競合が少ないうちに販売基盤を整えておくことで、中長期的な競争力につながります。

車のパーツをオンラインで販売する方法
1. 仕入れルートを確保する
販売を始める前に、卸値に対して利益が出る仕入れルートを確保することが重要です。メールや電話で問い合わせて、交渉してみましょう。主な仕入れ先は以下の通りです。
- 自動車部品メーカー
- 部品卸売業者
- 廃車業者
- ネットオークション
- フリマアプリ
在庫を抱えずドロップシッピングで販売する場合でも、事前に仕入れが可能かどうかを確認しておく必要があります。
2. 販売プラットフォームを選ぶ
商品を掲載する販売プラットフォームを、自社の状況に合わせて選びましょう。主なプラットフォームは以下の通りです。
- Shopify(ショッピファイ):自社ECサイトを構築できるプラットフォーム
- メルカリ:国内最大級のフリマアプリ
- Amazon(アマゾン):幅広い購買層を持つ大手マーケットプレイス
- eBay Motors(イーベイモーターズ):eBayの自動車部品専門カテゴリー
- モビフルパーツ:国内の自動車中古パーツ専門マーケットプレイス
自社ECサイトはブランドの世界観を自由に構築できる一方、集客に時間がかかります。マーケットプレイスはすでに多くの購買層が集まっているため、販売開始直後から売上を見込みやすいです。海外販売を視野に入れる場合は、越境ECに対応したプラットフォームも検討しましょう。
3. 仕様データを整備する
車のパーツ販売において、購入者は「自分の車に適合するか」を真っ先に確認します。スムーズな購入につなげるため、以下のデータを正確に管理しましょう。
- 型式・車種:購入者が適合するパーツを絞り込むための基本情報
- 品番:純正品との互換性を検索する際に必要
- 認証情報:DOT(米国運輸省が定める安全基準)・ISO(国際標準化機構が定める品質規格)など
CSV(Comma-Separated Values)や在庫管理システムを活用することで、入力漏れや記載ミスを防ぎやすくなります。
4. 商品ページを最適化する
商品ページは、購入者が最終的に購入を決断する場所です。以下の要素を揃え、購入者が安心して購入できる情報を提供しましょう。
- 商品写真:複数アングルの写真や取り付け時の写真など
- 商品説明:商品の状態や仕様データなど
- 図面:パーツの寸法や取り付け方法を示す図面
- レビュー:購入者による評価や口コミ
- デザイン:適切なCTA(コールトゥアクション)配置やモバイルでの操作性など
これらの情報を充実させることで、返品率の低下と購入者の信頼獲得につながります。
5. 顧客に合わせた販売戦略を立てる
車のパーツ販売においては、各顧客のニーズに合わせたコンテンツや商品ラインナップを用意することが重要です。主な顧客は以下の通りです。
- DIYユーザー:取り付けガイドなど、作業をサポートするコンテンツを求める
- 自動車の整備業者:詳細なスペック情報や一括注文オプションなどを求める
- カーマニア:カスタムパーツや限定品など、こだわりに応える商品ラインナップを求める
- 緊急の購入者:在庫と配送スピードを求める
はじめから全ての顧客に対応しようとすると、コンテンツ作成や商品ラインナップの整備に多大なリソースがかかります。まずは、自社の強みや取り扱い商品に最も近い購買層に絞り、そこで実績を積んでから対象を広げていくのが現実的です。
6. 販路をオムニチャネルに広げる
オムニチャネル販売により、顧客との接点を増やし、売上アップが期待できます。自社ECサイト、マーケットプレイス、SNS、実店舗などをスムーズに連携させましょう。顧客体験を向上させるには、以下のような取り組みが検討できます。
- 店舗でのピックアップ:オンラインで注文した商品を、近くの実店舗で受け取れる
- シームレスな購買体験:どのチャネルからでも顧客自身の登録情報やカート内容を確認できる
- 当日配送:購入者の住所に近い倉庫や店舗に在庫がある場合の即日対応
複数チャネルの在庫・注文を統合する受注管理システムや顧客情報を管理・分析するCRM(顧客管理システム)などにより、各プラットフォームに散らばった情報をまとめて把握できます。
7. 顧客との関係を長期的に築く
顧客との信頼関係を築くことで、顧客ロイヤルティが向上し、リピート購入などが期待できます。また、SNSやウェブ上のコミュニティでブランドの評価や存在感が高まることで、新規顧客の獲得にもつながります。
主な顧客維持プログラムは以下の通りです。
- メールマーケティング:セール情報や新商品案内など
- レビュー収集:購入後のフォローアップメールでレビューを促す
- インセンティブ付与:ポイントやクーポンを付与してリピート購入を促す
- SNS運営:Instagram(インスタグラム)やYouTube(ユーチューブ)へ継続して投稿する
各施策は、開封率やクリック率などのデータを定期的に計測し、顧客の行動や購買履歴に基づいて内容をパーソナライズすることで、より高い効果が期待できます。
まとめ
国内の車のパーツ販売市場は、現在も成長を続けています。中長期的には人口減少に伴う市場縮小が予想されますが、世界市場にはまだ大きな成長余地があります。こうした市場環境を見据え、今から車のパーツのオンライン販売に取り組むことは、有効な事業戦略といえます。EC販売は小規模から始められるため、まずは取り扱う部品と対象顧客を絞り、一歩を踏み出してみましょう。
車パーツ販売に関するよくある質問
車のパーツをオンラインで販売する方法は?
車のパーツをオンラインで販売する方法は以下の通りです。
- 仕入れルートを確保する
- 販売プラットフォームを選ぶ
- 商品データを整備する
- 商品ページを最適化する
- 顧客に合わせた販売戦略を立てる
車パーツのオンライン販売は利益が出る?
車のパーツ販売における利益率は、20~40%程度とされています。実店舗と比べてオンライン販売は店舗の維持費を抑えられるため、より高い利益率を確保しやすいビジネスモデルです。
文:Hisato Zukeran




