2026年4月24日、東京ビッグサイトでマーケティングWeek春2026にて開催された「Shopify Day」。
AIコマース、TikTok Shop連携、OMO、UCP/GEOと、4つのセッションを通じて見えてきたのは、ECの競争軸が根本から変わりつつあるという事実です。
本レポートでは、EC部門・マーケティング部門のマネージャーが今すぐ押さえるべきポイントを厳選してお伝えします。
なぜ今、変化が求められるのか
ECの成長エンジンが変わろうとしています。従来のSEO流入、メール開封率、広告CPAはあらゆるチャネルで頭打ちになりつつあります。背景にあるのは、顧客の購買行動の根本的な変容です。検索エンジンではなくAIアシスタントに「おすすめを教えて」と尋ね、SNSのライブ配信から直接購入し、実店舗とオンラインを自分のペースで行き来する。
この変化に対して「しばらく様子を見る」という判断は、一見慎重に見えて、実際には大きなリスクを伴います。
競合が新しいチャネルの確立や、AIに推薦されやすい商品リストの構築を進めている一方で、従来のチャネル最適化だけを続けていては、中長期的に流入基盤が先細りしていく可能性があります。マーケティングWeek 春 2026 内で開催された Shopify Day は、こうした環境変化に対するShopifyの現在地を示すとともに、企業が今このタイミングで取り組むべき理由を明確に提示するイベントとなりました。
セッション1:TikTok Shop × Shopify ― ライブコマースを収益チャネルへ
2025年に日本でのin-appチェックアウトが実現したTikTok Shopは、単なるトレンドを超え、本格的な販売チャネルになりつつあります。Shopifyとの連携では、商品カタログ・在庫・注文・フルフィルメントのデータが自動同期されます。配送はヤマト運輸・佐川急便・日本郵便などの主要キャリアに対応済みです。
(左)Shopify シニア パートナーソリューションズ エンジニア 岡村純一、(右)TikTok Shop シニア パートナー マネージャー Rong MengTing氏
ライブコマースの運用形態は3種類です:自社配信(ブランドが直接運営)、アフィリエイト配信(インフルエンサーが商品を紹介・販売)、ハイブリッド(両者の組み合わせ)。
自社でライブ配信のリソースを持っていないブランドでも、アフィリエイト配信からスタートすることで、初期コストを抑えながら参入できます。
Shopify管理画面から在庫・受注を一元管理できるため、チャネル追加による運用負荷の増加を最小化できます。既存のEC基盤をそのまま活かしながら、メールでは届かないSNS購買層への新たな獲得経路として機能します。
セッション2:UCP・GEO ― AIに「見つけてもらう」技術
AI検索(ChatGPT、Perplexity、Geminiなど)が台頭するなか、従来のSEOだけでは不十分になりつつあります。この変化に対応するのがGEO(Generative Engine Optimization)です。AIが商品を推薦する際に自社が選ばれるよう、商品データ・コンテンツ・構造化データを最適化する考え方です。
(左から)Shopify シニア ソリューションズ エンジニア 中嶋ステファニー、林ノブ
具体的には、商品説明の充実度、FAQコンテンツの質、構造化データ(Schema.org)の整備が、AIの推薦精度に直結します。「検索キーワードへの対応」から「AIが答えを組み立てる際に参照したくなる情報源になれるか」という視点への転換が求められます。
また、ShopifyとGoogleが共同で推進するオープン標準「UCP(Universal Commerce Protocol)」についても解説しました。UCPは、AIエージェントがオンラインストア上の商品情報、在庫状況、価格などを正確に取得し、将来的にはユーザーの購買行動を支援、あるいは代行できるようにするためのプロトコルです。
参画企業にはGoogle、Shopify、Walmart、Target、Etsy、Visa、Mastercard、PayPalが名を連ねています。特にShopifyを利用する事業者にとっては、UCPに対応するための基盤がすでに整いつつある点が大きなポイントです。今後、AIエージェント経由の購買体験が一般化した場合にも、AIエージェントによる購買に対応できる状態に近いと言えます。
セッション3:Agentic Commerce ― 人とAIの両方に売る時代
Agentic Commerce(エージェンティック・コマース)は、「人間だけが顧客」という前提が崩れ、AIエージェントが代理で購買する場面が増えることを前提にしたShopifyのフレームワークです。
エージェンティック・コマースをもっと詳しく
本セッションの内容を含め、 エージェンティック・コマース時代に日本企業が取るべきアクションを、専門家5名の知見をもとに解説した無料資料をご用意しています。
無料でダウンロード
(左から)Shopify シニア マーチャント サクセス マネージャー 森谷 知弘、押切 啓介、髙野 彩香
エージェンティック・コマースで消費者のショッピングにおけるAI活用が進む一方、ストア運営・施策側でも同様にAIを取り込む動きが加速しています。す。その実務を担うのがSidekickです。Shopify管理画面に組み込まれたコマース特化型のAIアシスタントで、たとえば以下のような業務を自動化・高速化します:
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キャンペーンLP作成:テキスト指示だけで商品特集ページを生成
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顧客セグメント分析:RFMに基づくセグメント自動生成と、そのままメール配信への接続
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バナーA/Bテスト:複数クリエイティブの同時テストと結果分析
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ワークフロー自動化:注文・在庫・顧客行動などをトリガーに業務を自動実行できるノーコードツール「Shopify Flow」(100以上のテンプレート収録)との連携により、繰り返し作業をコードなしで自動化
例えば「先月購入した顧客に関連商品のキャンペーンを送りたい」という施策を、Sidekickへの自然言語での指示から、セグメント生成・LP作成・メール配信設定まで、従来の何分の一かの時間で完結できます。少人数のチームでも施策の量と精度を同時に上げられることが最大のメリットです。
施策数2.5倍、コスト25%削減──Sidekick活用の実例
ブレインスリープは、ShopifyのAIアシスタント「Sidekick」を活用し、非エンジニアでもデータ分析や業務自動化を実行できる体制を構築。少数精鋭のチームで施策実行数を2.5倍に伸ばした取り組みの全貌をケーススタディで公開しています。
事例を詳しく読むまたSimGymは、AIが仮想の買い物客を大量生成して購買行動をシミュレートすることで、CX上の問題点を本番公開前に発見できるツールです。セールや大型施策の前に顧客体験のボトルネックを洗い出すチェックとして活用できます。
セッション4:Shopify POS ― OMOを「単一の頭脳」で実現する
実店舗とオンラインの顧客体験統合(OMO)は多くのブランドの課題です。問題の根本は多くの場合、「顧客データが分断されていること」にあります。実店舗の購買履歴とオンラインの行動データが別システムに存在すると、パーソナライズも在庫最適化も中途半端になります。
(左)Shopify シニア ソリューションズ エンジニア 林ノブ、(右)アパレルウェブ クリエイティブ ディレクター 赤坂 テツノスケ氏
ShopifyのUnified Commerce構想は、すべての販売チャネルのデータを「シングルブレイン(一つの頭脳)」に集約することでこれを解決します。Shopify POSが対応する主なOMOシナリオ:
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BOPIS:オンラインで購入→店舗でピックアップ
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Ship-to-Home:店頭で注文→自宅配送
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ショールーミング:実店舗で確認→スタッフ経由でオンライン注文
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ギフトカード:オンライン・実店舗の両方で利用可能
データが一元化されることで、顧客の全購買行動が一つのプロフィールに集約されます。
例えば、「このお客様はオンラインではスキンケアカテゴリを閲覧し、店舗ではメイクを購入している」という情報が揃って初めて、精度の高いパーソナライズが可能になります。在庫精度も上がり、「オンラインでは在庫ありと表示されたのに店舗では欠品」といった顧客体験の齟齬も防げます。
また、店舗スタッフ経由のオンライン売上を可視化・評価指標化できるため、OMO施策推進に不可欠な店舗スタッフ起点での施策を最大化できます。
まとめ ― 4つのテーマに共通するもの
|
テーマ |
要点 |
|---|---|
|
TikTok Shop |
既存インフラのままライブコマースを展開 |
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UCP/GEO |
AIに見つけてもらうための次世代SEO |
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Agentic Commerce |
Sidekick × Flowで施策を高速・自動化 |
|
OMO/POS |
全チャネルのデータを一つのシステムに集約 |
4つのテーマに共通するのは「データの統合」と「AIの活用」です。チャネルが増え、顧客の行動が複雑化するほど、すべてを一つのプラットフォームで管理できることの優位性は大きくなります。Shopifyはそれを今、すでに実装できるプロダクトとして提供しています。
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