非営利団体とは、企業のように構成員への利益の分配を目的とはせずに、福祉、教育、文化、まちづくり、環境、国際協力などさまざまな分野で社会的な活動を行う団体のことです。
内閣府のNPOホームページによると、NPO法人(特定非営利活動法人)の認証法人数は2017年度の51,866件をピークにやや減少傾向にあり、2026年5月末時点では48,944件となっています。一方で、日本ファンドレイジング協会が発行する寄付白書2025では、2024年の個人寄付総額が過去最高となりました。その背景には、被災地応援消費やフェアトレード商品購入など、寄付と消費の間にある社会貢献行動が広がったことによる寄付市場の変化があります。
こうした変化に対応するために非営利団体・業界では、デジタル化対応や支援者との関係づくりに注力することが重要となっています。そこでこの記事では、変化の中で注目しておきたい、非営利団体に関わるトレンドを紹介します。

非営利団体・業界をとりまく現状
2023年度の特定非営利活動法人に関する実態調査によると、主な収入源を選択する設問では、認証法人は会費収入(23.7%)、行政からの委託や指定管理者の業務(20.0%)、助成金・補助金(19.1%)、物販等を含む料金収入(14.5%)と、さまざまな回答に分かれる一方、寄付金は6.1%にとどまりました。認定法人でも、寄付金が25.3%と最も多くなっているものの、行政からの委託や指定管理者の業務(20.0%)、会費収入(13.5%)、料金収入(12.4%)なども高い割合となっています。
このことから、非営利団体が活動資金を確保するためのチャネルは多様化していることがわかります。またNPO法人が抱える課題としては「収入源の多様化」とともに、「人材の確保や教育」、「後継者の不足」を多くの団体が選択しており、認証法人と認定法人の双方でこの3つの回答が上位となっています。
こうした結果から、非営利団体には、活動資金をどう確保するかだけでなく、限られた人員でどのように運営を続け、どう人材を確保するか、次の担い手にどう引き継ぐかといった、複合的な課題への対応が求められていることがわかります。

非営利団体・業界の主要トレンド14選
- サブスクリプションによる継続的な支援モデル
- 応援消費や寄付付き商品、クラウドファンディング
- グッズ販売・イベント開催による収益源の多様化
- モバイル対応による支援体験の改善
- 支援者に合わせた活動報告の強化
- SNS・オンラインコンテンツを活用した情報発信
- 寄付・イベント・商品販売を一元管理する仕組みへの移行
- CRMを活用した支援者データの管理
- AIなどの自動化ツールによる業務効率化
- ソーシャルビジネス型の活動モデルへの関心
- 企業・自治体・外部パートナーとの連携
- 外部人材やプロボノを活用した組織基盤の強化
- 後継者不足への対応と属人化しない組織づくり
- 外部資金の活用と成果説明の重要性
1. サブスクリプションによる継続的な支援モデル
単発の寄付だけでなく、サブスクの仕組みを使って定期的に一定額を寄付する継続寄付や、会員制度を通じた支援は、収入の見通しを立てやすくして中長期的な活動計画を支える基盤になります。また、活動報告、会員向けコンテンツ、イベント案内などを通じて接点を持ち続けることで、支援者との関係づくりにも役立ちます。
非営利団体が継続支援を増やすには、寄付の使い道や活動成果をわかりやすく伝えることが大切です。たとえば、「〇円が小児ワクチン〇人分に」といった形で寄付金額に応じた支援内容の目安を示したり、支援者限定のレポートを届けたりすることで、支援者が継続的に寄付を行う動機をつくることができます。
2. 応援消費や寄付付き商品、クラウドファンディング
単なる寄付よりも日常の行動に取り入れやすい、応援消費や寄付付き商品への関心が高まっています。具体的には、被災地応援消費や、NPO法人が販売するフェアトレードなどのエシカル商品の購入、子ども食堂での消費、自治体への寄付に対して返礼品を受け取れるふるさと納税などが、社会貢献にもつながる消費行動として一般的になりつつあります。
購入に近い感覚で社会課題の解決や地域の取り組みを応援できるものとしては、支援のリターンとして商品、体験、イベント参加券などが用意されたクラウドファンディングも挙げられます。非営利団体向けのクラウドファンディングプラットフォームとしては、NPOなど公益性の高い活動に対応するREADYFOR(レディーフォー)や、ソーシャルグッドに特化したCAMPFIRE for Social Good(キャンプファイヤーフォーソーシャルグッド)、寄付集めに活用できるSyncable(シンカブル)などが登場しています。
非営利団体にとって、こうした仕組みは新しい接点づくりに役立ちます。活動に関連する商品を販売したり、企業と連携して寄付付き商品を企画したり、クラウドファンディングで関心を持った支援者をオンラインストアやメールでの継続的な関係づくりにつなげたりすることで、団体の活動を知らなかった人にも、商品やプロジェクトを通じて関心を持ってもらいやすくなります。
3. グッズ販売・イベント開催による収益源の多様化
非営利団体であっても、商品販売やイベント開催を通じて収益を生み出すことはできます。活動テーマに関連したオリジナルグッズの販売、書籍や教材の販売、講座やワークショップの実施、オンラインのイベント配信などは、収益源を増やす方法として活用できます。
こうした取り組みは、単に収入を得るためだけのものではありません。たとえば、活動テーマに関連したグッズや冊子を販売すれば、購入者が団体の理念や活動内容に触れるきっかけになります。イベントを開催すれば、支援者と直接つながる場をつくることもできます。
ECサイトやイベント申込ページを整え、寄付とは異なる形で活動に参加できる入口を用意することは、収益源の多様化だけでなく、団体の認知拡大や支援者との関係づくりにもつながります。
4. モバイル対応による支援体験の改善
総務省の情報通信白書によれば、インターネットへ接続する際の端末利用率では、すでにスマートフォンがPCを上回っており、特に20代ではスマートフォンが91.6%、PCが59.6%と大きな差がついています。SNSやオンラインコンテンツを通じて活動を知った支援者が、そのままスマートフォンで寄付、商品購入、イベント申込に進める導線づくりの重要性が高まっているといえるでしょう。
モバイル対応のECストアやチェックアウト、ウォレット決済などを整えることは、支援者が参加しやすい環境づくりにつながります。これらのサイトでは、寄付フォームや申込ページの入力項目を減らし、わかりやすい決済方法を用意することで、支援者が途中で離脱しにくくなります。
5. 支援者に合わせた活動報告の強化
非営利団体への寄付や支援を一度きりで終わらせず、継続的な関係につなげるための重要な取り組みとして、詳細な活動報告が挙げられます。支援者にとって、自分の寄付や参加がどのような活動に使われ、どのような成果につながったのかは大きな関心事です。
また支援の成果をより具体的に伝えやすくする施策として、初めて寄付した人、継続寄付をしている人、イベントに参加した人など、支援者の関わり方や関心に合わせてパーソナライズした形で活動報告を届けるといった手法も活用されています。
活動報告の手段としては、報告書を送るだけでなく、メルマガも有効です。支援者に活動の進捗やイベント情報、寄付の使い道、支援先の声などを継続的に届けることができます。支援者の関心や寄付履歴に合わせて内容を分けることで、一人ひとりに合った情報を届けやすくなります。
6. SNS・オンラインコンテンツを活用した情報発信
支援者との接点をつくるうえで、SNSやオンラインコンテンツを活用した情報発信が欠かせない取り組みになっています。活動内容を知ってもらうには、団体のウェブサイトだけでなく、SNS、メールマガジン、動画、ブログ記事など、複数のチャネルとコンテンツを組み合わせることが重要です。
SNSは、活動報告やイベント告知だけでなく、支援者同士が情報を共有し、活動を広げる場にもなります。初めて団体を知る人に対しては、活動の背景、支援が必要な理由、現場の様子、寄付の使い道などをわかりやすく伝えることが大切です。写真や動画、短い投稿、活動レポートを組み合わせると、団体の思いや活動内容が伝わりやすくなります。
7. 寄付・イベント・商品販売を一元管理する仕組みへの移行
非営利団体では支援者との接点が、寄付、会員制度、グッズ販売、イベントチケット販売、メルマガ配信など、複数のチャネルにまたがっていることがあります。これらを管理する仕組みがそれぞれ個別になっていると、支援者情報が分断され、誰がどのような形で団体に関わっているのかを把握しにくくなります。
Shopify(ショッピファイ)はEC向けのプラットフォームですが、オンラインストア、イベント販売、顧客情報、メール施策などを統合管理できるため、こうしたオムニチャネル化した施策にも活かすことができます。
8. CRMを活用した支援者データの管理
支援者との関係を継続的に育てるには、寄付者や会員、イベント参加者、商品購入者などの情報を適切に管理することが重要です。その際には、企業において顧客情報や購買履歴、問い合わせ履歴などを管理するためのCRM(顧客関係管理)システムを活用できます。
支援者データを整理することで、誰がどのような形で団体に関わっているのかを把握しやすくなります。たとえば、寄付履歴、イベント参加履歴、メール配信の反応、商品購入履歴などを管理できれば、支援者の関心に合った情報を届けやすくなります。一度寄付してくれた人に活動報告を送る、イベント参加者に次回の案内を届ける、継続寄付者に特別なレポートを送るといった対応もしやすくなります。
9. AIなどの自動化ツールによる業務効率化
「人材の確保と教育」が多くのNPOで課題になっている今、AIツールなど活用した業務効率化も重要になっています。限られた人数で活動を続けるには、手作業を減らし、事務作業や情報発信を効率化することが欠かせません。たとえば、寄付者への自動返信、イベント申込の受付、メール配信、在庫管理、問い合わせ対応、活動レポートの作成補助などの業務は、デジタルツールにより大部分を自動化できる可能性があります。
AIや自動化ツールによって事務作業にかかる時間を減らせば、支援者対応や現場での活動に使える時間を増やすことができます。導入する際は、個人情報の管理や内容確認の体制を整えたうえで、できる範囲から活用することが大切です。
10. ソーシャルビジネス型の活動モデルへの関心
非営利団体は利益を団体の構成員に分配することを目的としない団体と定義されており、収益を得る事業そのものが禁止されているわけではありません。商品やサービスの提供を通じて得られた収益は、職員の給与や団体の活動目的に充てる資金とすることができます。社会課題や地域課題の解決を目的に、寄付や助成金だけに頼らず継続的に取り組めるようビジネスの手法を取り入れた活動は、ソーシャルビジネスと呼ばれます。
たとえば、福祉、教育、環境、地域づくりなどの分野では、活動内容に関連した商品販売、研修、講座、相談サービスなどを展開する方法があります。支援を受けるだけでなく、自ら価値を提供して収入を得る仕組みを持つことは、非営利団体の持続的な運営にもつながります。
こうしたソーシャルビジネス型の活動は、サステナブルな取り組みを続けるためのビジネスモデルとしても注目されています。
11. 企業・自治体・外部パートナーとの連携
子どもや若者の支援、生活困窮、防災、孤独・孤立、地域活性化など社会課題の多くは、ひとつの団体だけで解決することが難しいといえます。そこで、非営利団体が企業や自治体、教育機関、地域団体、専門家など、外部パートナーと連携しながら活動する場合があります。
行政機関やほかの団体とスムーズに連携するためには、まず自分の団体が取り組む課題、支援対象、活動実績、協力してほしい内容を整理しておくことが大切です。そのうえで、自治体の担当課、社会福祉協議会、学校、地域包括支援センター、商工会、地域企業、中間支援組織など、活動テーマに関係する相手に相談し、協働の可能性を探ります。
また、企業と連携する場合は、寄付や協賛だけでなく、社員ボランティア、寄付付き商品の企画、イベントの共同開催、広報協力、物品提供、専門人材による支援など、複数の関わり方を提案できます。
12.外部人材やプロボノを活用した組織基盤の強化
内閣府の2023年度特定非営利活動法人に関する実態調査では、NPO法人が抱える課題として人材の確保や教育後継者の不足が上位に挙がっています。こうした人材不足に対応するため、外部人材やプロボノを活用する手法も考えられます。
プロボノとは、社会人が仕事で培った専門知識やスキルを、社会貢献に活かす取り組みです。広報、デザイン、IT、会計、法務、資金調達、事業計画づくりなど、さまざまな分野の人物が活動しています。
外部人材やプロボノを活用したい場合は、団体と支援者をつなぐサービスを活用する方法もあります。たとえば、次のようなサービスがあります。
- サービスグラント:プロボノを通じて、社会課題の解決に取り組む非営利組織の課題解決を支援するNPOです。
- YOSOMON!:地域企業の課題解決に、副業、リモートワーク、プロボノなどで関われるプロジェクト紹介サイトです。
団体内のスタッフだけですべてを担うのではなく、ボランティア、インターン、副業人材、専門家、中間支援組織など、外部の力を取り入れることで、運営体制を補いやすくなります。人材不足が続くなかでは、さまざまな人が関わりやすい組織づくりを進めることも重要です。
13. 後継者不足への対応と属人化しない組織づくり
NPO法人が抱える課題として後継者の不足が上位に挙がっています。内閣府の2023年度調査では、NPO法人の代表者は60歳代以上が60%以上をしめており、代表者の高齢化が進んでいることがわかります。組織を継続させていくには、後継者育成や組織運営の見直しも重要になっています。
後継者がすぐに見つからない場合は、外部の支援機関に相談することも選択肢になります。たとえば、次のような支援先を活用できます。
- NPOサポートセンター:NPOの事業承継や世代交代をテーマにした講座やゼミを開催しています。
- 日本NPOセンター:NPOの組織基盤強化やNPOを支援する人材育成に関する研修、議論の場づくりを行っています。
- 地域のNPO支援センターや市民活動支援センター:各地域でNPOや市民活動団体の相談対応、講座、情報提供、団体同士のつながりづくりなどを行っています。後継者不足や組織運営に悩む場合、地域の状況に合った相談先を紹介してもらえることがあります。
- 事業承継・引継ぎ支援センター:国が全国47都道府県に設置している事業承継の相談窓口です。NPO専門ではありませんが、事業として継続したい活動について、第三者承継や専門家相談の選択肢を検討する際の参考になります。
- 事業承継・引き継ぎポータル:中小機構が運営する、事業承継をサポートするポータルです。
後継者育成は、単に次の代表者を決めることだけではありません。活動の理念やノウハウを引き継ぎ、複数の人が役割を分担しながら運営できる体制をつくることが、非営利団体の継続性を高めることにつながります。
14. 外部資金の活用と成果説明の重要性
非営利団体にとって、助成金や補助金、企業からの協賛、民間公益活動を支援する制度などの外部資金は、新しい事業を立ち上げたり、活動を広げたりするための重要な資金源です。
外部資金を獲得するには、単に資金を申請するだけでなく、事業の目的、支援対象、実施体制、期待される成果をわかりやすく示すことが大切です。誰のどのような課題に取り組むのか、どのような方法で支援するのか、活動によってどのような変化を目指すのかを整理しておくと、申請時だけでなく採択後の報告や支援者への説明にもつなげやすくなります。
外部資金には、申請時期、対象分野、採択条件、事業期間などの制約があるため、助成期間後にどのように活動を継続するかをあわせて考えることも必要です。事業計画や成果指標を整理し、活動の価値を言葉や数字で説明できるようにしておくことは、非営利団体の信頼性を高め、継続的な支援を得ることにもつながります。
まとめ
非営利団体・業界では、寄付市場の変化、支援方法や収益源の多様化、デジタル化、支援者との関係づくりのためのチャネルなど、さまざまな変化が進んでいます。単発の寄付を集めるだけでなく、継続支援を集めるための戦略、グッズ販売やイベントの収益、助成金などを組み合わせながら、安定した活動基盤をつくることが重要です。
また、SNSやオンラインコンテンツ、CRM、AIや自動化ツールを活用することで、限られた人員でも支援者との接点を広げ、活動報告や情報発信を続けやすくなります。支援者に合わせたコミュニケーションを行い、寄付や参加がどのような成果につながったのかを伝えることは、信頼関係の構築につながります。
オンラインストアやイベント開催に加え、支援者データ管理、メール施策などを統合して運用するためのプラットフォームとしてはShopifyが有効です。ぜひ今回の記事も参考に、活用してみてください。
非営利団体についてのよくある質問
非営利団体の主な収益源は?
非営利団体の主な収益源には、寄付、会費、助成金、補助金、事業収入などがあります。事業収入には、グッズ販売、イベントチケット販売、講座やワークショップの参加費、書籍や教材の販売などが含まれます。安定した活動を続けるには、ひとつの収入源に頼るのではなく、複数の資金調達方法を組み合わせることが重要です。
非営利団体がデジタル化を進めるメリットは?
非営利団体がデジタル化を進めることで、寄付受付、イベント申込、商品販売、支援者管理、メール配信、活動報告などを効率化できます。限られた人数で活動している団体でも、手作業を減らし、支援者とのコミュニケーションや現場での活動に時間を使いやすくなります。また、SNSやオンラインコンテンツを活用することで、地域を超えて活動を知ってもらう機会も広がります。
非営利団体がECサイトを活用する方法は?
活動に関連するグッズ、寄付付き商品、書籍、教材、イベントチケット、講座の参加権などをオンラインで販売する際に、非営利団体もECサイトを活用できます。また、サブスクリプションでの継続的な支援も、ECサイトを通して獲得することができます。ECサイトはただ収益源を増やすだけでなく、団体の理念や活動内容を伝える接点にもなります。




