商品やブランドの認知度を上げ、購入を促すための施策のひとつに、インフルエンサーマーケティングがあります。インフルエンサーが持つ信頼性や発信力を活かし広告色を抑えてターゲット層に自然な形で情報を届けられるため、信頼獲得にもつながり、購入への強力な後押しとなります。そのため、多くの企業がインフルエンサーマーケティングを活用しており、市場規模も拡大しています。
一方で、最適なインフルエンサーを見つける難しさから、導入に踏み切れない企業も多くあります。
この記事では、インフルエンサーの探し方や案件を依頼する方法について解説します。インフルエンサーの選定基準を設定する際のコツやマッチングプラットフォームについても紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

インフルエンサーとは
インフルエンサーとは、インターネット上で情報発信を行っている人のうち、特定の分野で影響力を持つ人物のことです。SNSやブログなどへの投稿を通して、フォロワーやオーディエンスの共感や信頼を得ていることから、インフルエンサーの投稿を通して商品やブランドの認知度を高めたり、購買意欲を促進したりする効果が期待できます。
インフルエンサーは、以下のプラットフォーム上のSNSマーケティングで活用できます。
インフルエンサーは、複数のSNSで活動していることが多く、自社商品やブランドのターゲット層に合ったコンテンツを最適なプラットフォームで発信してもらえるため、より自然で訴求力の高い情報提供が可能になります。
また企業は、インフルエンサーに特定の商品やブランドとコラボレーションしたコンテンツを依頼し、投稿に対して報酬を支払います。

インフルエンサーの探し方と手順
目的とKPIを設定する
まずプロモーションの目的とその効果を測るKPI(重要業績評価指標)を明確にすることが重要です。目的とそれに対するKPIには、以下のようなものが挙げられます。
- 認知度の向上:インプレッション数、リーチ数、動画再生数
- 興味喚起:いいね・シェア数、保存数
- 信頼の醸成:コメント数、自社アカウントフォロワー数
- ECサイトへの誘導:投稿経由のURLクリック数、コンバージョン率
- 新規顧客の獲得:投稿保存数、投稿経由のURLクリック率、ユーザー登録数
プロモーションを行う目的を明確にしKPIを設定することで、インフルエンサー選びの判断基盤が整い、選定がスムーズになります。
ターゲットを明確にする
アプローチしたいターゲットオーディエンスのペルソナを明確にします。年齢や性別だけでなく、価値観や興味関心など細かく設定をすることで、これらのオーディエンスに影響力のあるインフルエンサーを探しやすくなります。
予算を決定する
インフルエンサーを探す際には、プロモーションの予算をあらかじめ決めておくことが重要です。設定したKPIを達成するためには、どの程度の予算が必要となるかを算出します。また、その際、KPIが現実的かも見て修正します。
一般的に、フォロワー数が多いインフルエンサーほど費用が高額になる傾向にあります。
予算が限られている場合には商品提供による投稿依頼など、報酬形態を工夫することも有効です。報酬が限定されているため、対応してくれるのは比較的フォロワー規模の小さいインフルエンサーが中心になりますが、製品特性に合った分野・ジャンルのインフルエンサーに複数アプローチすることで、ターゲット層に向けた効果的な露出が期待できます。
インフルエンサーを検索し、リストアップする
検索エンジンやSNS、インフルエンサーマッチングプラットフォームを活用してインフルエンサーを検索し、候補となる人をリストアップしましょう。具体的な検索方法は以下の通りです。
- 検索エンジンで検索する:業界や分野などのキーワードを使ってインフルエンサーを検索します。例えば「メイク インフルエンサー」を検索するとメイクやコスメ、美容関連のインフルエンサーを取り上げた記事や主要なインフルエンサーのアカウントを見つけることができます。
- SNSで検索する:業界や分野に関連する単語で検索することでインフルエンサーを見つけることができます。ハッシュタグでの検索ができるだけでなく、投稿内容を直接確認でき、ブランドや商品の世界観と合うか判断できます。
- インフルエンサーマッチングプラットフォームを活用する:国内外にあるインフルエンサーとのマッチングプラットフォーム上で検索できます。Shopify(ショッピファイ)を使っている場合は、Shopify Collabs(英語のみ)が活用できます。
インフルエンサーを評価する
リストアップしたインフルエンサーを評価し優先順位をつけます。フォロワー数や閲覧数、エンゲージメントの状況などの基本情報だけでなく、フォロワーの主な年齢層・性別、興味関心などの属性をまとめて一覧表にします。企業やブランドの価値観や世界観と合っているか、十分なフォロワー数があるか、フォロワー属性はターゲット層と一致しているかに着目して、インフルエンサーを評価しましょう。
さらに、インフルエンサーが普段投稿しているコンテンツの内容やそのパフォーマンスも評価することで、コラボレーション時のコンテンツの品質や発信力を判断する指標となります。また、過去のコラボレーション実績がある場合は、それらも評価対象に加えましょう。
選んだインフルエンサーに連絡する
評価をもとに選んだインフルエンサーに連絡をし、コラボレーションを打診します。メールやダイレクトメッセージから直接連絡を取る場合もあれば、マッチングプラットフォームから問い合わせを行う場合もあります。
発信力の高いインフルエンサーほど競合が多く、依頼を受けてもらいにくいため、メッセージの内容には、工夫が必要です。インフルエンサーを起用する目的や目標、期待すること、予算感だけでなく、コラボレーションによるメリットや、依頼理由についても明確に伝えると良いでしょう。

インフルエンサーの選定基準を設定する際のコツ
より効果的なインフルエンサーマーケティングを行うために、インフルエンサーの選定基準を設定する際のコツを紹介します。
インフルエンサーの規模分類
インフルエンサーの規模は、重要な選定基準のひとつです。フォロワーの数によって必要な費用や得られる効果が異なることから、インフルエンサーの規模を絞り込んでおくことが大切です。
インフルエンサーは、フォロワー数によって以下のように分類されます。
- ナノインフルエンサー:1,000〜1万フォロワーを抱えており、特定の分野やコミュニティで信頼を得ています。エンゲージメント率が高いという特徴があり、予算が限られている場合やスモールビジネス、ビジネスを始めたばかりの事業主に最適です。
- マイクロインフルエンサー:1万〜10万人フォロワーを抱えており、広くリーチを得られます。インフルエンサーの中ではフォロワー数は少ない種類に分類される半面、ナノインフルエンサー同様に高い信頼を得ていることが多く、高いエンゲージメント率が狙えます。
- マクロインフルエンサー:フォロワー数が10万〜100万に達しており、幅広い層にリーチできます。ブランドや商品の認知度向上に最適ですが、費用は高くなる傾向にあります。
- メガインフルエンサー:フォロワー数は100万以上にのぼる有名人やセレブリティが該当します。リーチ数が多く認知度向上やバズる可能性が高いものの、エンゲージメント率は低くなる傾向にあります。費用も高額になります。
フォロワーの質
インフルエンサー探しではフォロワーの数に注目しがちですが、フォロワーの質に着目した選定基準を設けることをおすすめします。
以下を確認することで、フォロワーの質を見極めることが重要です。
- アクティブユーザーであるか
- 「いいね!」やシェア、コメントなどエンゲージメント数
- 投稿への反応内容
- フォロワー属性とターゲット層が一致しているか
フォロワー数が多いアカウントでも、実はアクティブユーザーが少なかった、フォロワー属性とターゲット層が異なっていたというケースもあるので注意が必要です
フォロワーの質を見極めて選定することで、ブランドや商品の効果的なアピールにつながります。
フォロワーとの関係性
日頃からフォロワーと積極的にコミュニケーションを取っているインフルエンサーは、フォロワーとの信頼関係が築けているため、高い拡散力が期待できます。投稿に寄せられたコメントに対して適切に返信しているかどうかを確認し、コミュニティの関係性を見極めましょう。
企業・ブランドとの親和性
アカウントの投稿内容やフォロワーとのエンゲージメントに加え、インフルエンサーとのコミュニケーションを通じて、企業・ブランドとの親和性を確認します。インフルエンサーの言動や投稿内容はブランドイメージに直結するため、画像や動画、コメントなどブランドの世界観や価値観と乖離がないかをチェックしましょう。
リスク管理
コラボレーション前の発言であっても、インフルエンサーの発信内容は企業やブランドイメージに影響を与えます。過去の炎上やトラブル、不適切な発言がなかったかを確認しましょう。
また、ステマにならないよう事前にハッシュタグの記載などを言及する、投稿前に内容を確認するなど発信に関するルールを共有しておきましょう。
インフルエンサーを見つけられるマッチングプラットフォーム
Cast Me! (キャストミー)
Cast Me!は、インフルエンサーのデータをわかりやすくまとめたマッチングプラットフォームです。過去のPR案件でのリーチ数やエンゲージメント率などの実績を確認することもでき、目的に合わせたインフルエンサーを選びやすい仕組みとなっています。複数のプランが用意されているため、目的に合わせて自社に合うものを選べます。
Astream(エーストリーム)
Astreamは、インフルエンサーの詳細な検索機能が充実しているインフルエンサープラットフォームです。インスタのインフルエンサーマーケティングだけでなく、TikTokやYouTube、X(エックス)にも対応しています。30以上あるフィルターを使った検索ができるため、データベースの中から条件に合ったアカウントを見つけられます。BtoCだけでなく、BtoBにも対応しており、海外のインフルエンサーも見つけられます。
Beee(ビー)
Beeeは、AI技術を使ったインフルエンサーと企業のマッチングプラットフォームです。独自開発のAIが最適なインフルエンサーとのマッチングを行ってくれるだけでなく、データに基づいて選ぶことも可能です。料金はフォロワー単価ではなく月額固定制で、5万円からインフルエンサーマーケティングを行えます。
INFLUFECT(インフルフェクト)
INFLUFECTは、インフルエンサーの募集や選定から、投稿依頼や管理、データ分析まで一元化できるプラットフォームです。生成AIとスタッフによるサポートで、対話形式でインフルエンサーマーケティングを開始でき、KPIの設定やインフルエンサーへの依頼も自動で行われます。中小企業から大手まで多くの実績があります。
dary(ダーリー)
daryは、公募型のインフルエンサーマッチングプラットフォームで、マイクロインフルエンサーを起用したマーケティングを検討している企業に最適です。投稿費用とデポジットがあれば始められ、エンゲージメントによる支払いは後払い請求を採用しています。
Qooo(クー)
無料登録でインフルエンサー一覧を見ることができるQoooは、初期費用や月額利用料をかけずに使えるマッチングサービスです。契約が成立した案件にのみ費用がかかる仕組みとなっているため、限られた予算でインフルエンサーマーケティングを行いたい場合にも最適です。案件に合ったインフルエンサーを指名できる「指名型」、依頼内容を掲載してインフルエンサーからのアプローチを募る「募集型」、専門コンサルタントのサポートが得られる「おまかせプラン」の3つから自社にあったものを選べます。
Gantale(ガンタレ)
海外のインフルエンサーとのマッチングに特化したGantaleは、完全成果報酬型のサービスです。英語や外国語ができない場合でも、運営企業がクリエイターとのやり取りを行ってくれるため、インバウンド事業の認知度拡大や売上アップにも効果的です。

インフルエンサーマーケティングの施策案
- 製品コラボレーション:新商品や新製品を、インフルエンサーとのコラボレーション品として販売します。商品開発の段階からインフルエンサーと協力することで、商品へ興味を喚起し、購入を促進できます。
- アンバサダー:インフルエンサーにブランドのアンバサダーとして商品の魅力や商品を実際に使用している様子などをSNSなどで投稿してもらいます。アンバサダーは決められた期間の間、ブランドや企業の商品に関する投稿を定期的に行うため、フォロワーは信頼感を抱きやすく、ファン形成やコミュニティ形成にも役立ちます。
- コンテストやギブアウェイ:コンテスト企画や、無料で商品やグッズを提供するプレゼント企画などをインフルエンサーに宣伝してもらいます。企画参加者はインセンティブを得られるため、拡散による認知度拡大を狙えます。
- 舞台裏コンテンツ:ブランド誕生秘話や商品開発・制作の過程など、普段消費者が見ることができない舞台裏をインフルエンサーに紹介してもらいます。舞台裏コンテンツは消費者の共感を呼びやすく、ブランドイメージ向上にも役立ちます。
- テイクオーバー:自社のアカウントにインフルエンサーから直接コンテンツを投稿してもらいます。インフルエンサーの発信力を活かしながら広告色を抑えられるため、ターゲット層に自然に響くインパクトのある投稿が可能になります。

インフルエンサーと提携するときのポイント
文書化する
インフルエンサーへの依頼内容や報酬、提携に際する決めごとなどをすべて文書化します。
あらかじめ文書化しておくことで、お互いの共通認識を確認し、より円滑な提携が可能となりトラブルを回避できます。文書化する際は、提携している間のことだけでなく、提携を解消する場合の必要手続きや条件についても明記しておくと良いでしょう。
エンゲージメントごとのコストを考慮する
エンゲージメントごとのコストを考慮に入れて予算や起用するインフルエンサーを決定します。
たとえば、ナノインフルエンサーやマイクロインフルエンサーはフォロワー数が少ないものの、高いエンゲージメントを獲得しやすいため、信頼の醸成を目的としたプロモーションに適しています。
一方、マクロインフルエンサーやメガインフルエンサーは、多くの人の目につきやすい反面、エンゲージメント率が低い傾向がるため、ブランドの認知拡大に適しているでしょう。
フォロワー数や閲覧数だけでなく、エンゲージメントごとのコストや目的との相性を踏まえて選定することで、より効果的なプロモーションを実現できます。
小規模から始める
初めてインフルエンサーマーケティングを行う場合、まずは小規模なプロモーションから始めましょう。
たとえば、ポータブルプロジェクターのプロモーションをしたい場合、インテリア系、ガジェット系、トラベル系などのインフルエンサーが考えられます。これらの分野のマイクロインフルエンサーに商品やブランドの投稿を行ってもらい、その効果を計測し比較します。
その中から反響の良かったジャンルのインフルエンサーにリソースを多く配分して、マクロインフルエンサーを採用し、徐々に規模を拡大することでリスクを押さえつつ効果的なインフルエンサーマーケティングできるでしょう。
さまざまな戦略を試す
提携するインフルエンサーの種類や規模、キャンペーンの種類など、さまざまな戦略を試して自社に合った方法を見つけることが重要です。熱狂的なファンを抱えるインフルエンサーを起用することで、ブランドや商品へのファン化を促す、舞台裏コンテンツを作ってブランドにかける想いやその魅力をアピールすることで、コンバージョン率が上がるというケースもあります。インフルエンサーと共同でコンテストを開催すれば、広く拡散を狙えるでしょう。動画マーケティングが有効な場合や、写真と文章だけの投稿に人気が集まる場合もあります。
インフルエンサーの動向をチェックする
SNS上で反感を買いそうなことを書いていないか、法律違反の疑いはないかをインフルエンサーの最新の動向を確認することが大切です。Google(グーグル)アラートなどの機能を使えば、メールでの知らせを受け取ることができ、見逃す危険性も減るでしょう。
まとめ
自社に最適で影響力を持つインフルエンサーを起用することは、ビジネスの成長に役立ちます。インフルエンサーを探すには、まず目的・ターゲットを明確化し、KPIと予算を決定します。次に検索エンジンやSNSなどでインフルエンサーを検索して、候補をリストアップしましょう。その際、インフルエンサーの魅力や長所、フォロワー属性などと合わせて評価をすることで、適切なインフルエンサーをリスト化できます。
インフルエンサーを絞り込む際には、インフルエンサーの規模などの数値化できる情報だけでなく、フォロワーとコミュニティの質やブランドとの親和性、リスク管理についても気を付ける必要があります。
また、最初は小規模なプロモーションからスタートし、効果のあった分野にリソースを適正に配分することで、自社にあったインフルエンサーの探し方やマーケティング施策が見つけられるでしょう。
インフルエンサーの探し方に関するよくある質問
インフルエンサーの探し方のコツは?
インフルエンサーの探し方のコツは、目的やターゲットの明確化、KPI設定と予算決定を行ってから実際に検索し始めることです。最初に定めた目的やKPI、予算に合うと思われるインフルエンサーを検索しリストアップしましょう。その後、インフルエンサーを評価し、適しているインフルエンサーに連絡を取りましょう。
インフルエンサーを探す時に使えるプラットフォームは?
インフルエンサーによる投稿の料金相場は?
契約形態やフォロワー数によっても異なりますが、一般的に1フォロワーあたり1~6円程度とされています。
文:Masumi Murakami





