サブスクリプションは、解約されない限り継続的に売上が積み上がるため、多くの業界で採用が進んでいます。ECサイト運営でも、顧客に継続して利用してもらうことが安定した事業成長につながります。こうした顧客の継続利用を考えるうえで注目されているのがチャーンレートです。チャーンレートを分析することで顧客離脱の原因を把握しやすくなり、リピート購入の促進やブランドロイヤルティの向上にもつながります。
本記事では、チャーンレートの意味や種類、計算方法に加え、チャーンレートが上昇する原因と改善方法について分かりやすく解説します。

チャーンレートとは
チャーンレートとは、一定期間においてサービスの利用を停止した顧客の割合、いわゆる「解約率」を示す指標です。特にサブスクリプション型サービスや定期購入型のECなど、継続利用を前提としたビジネスにおいて重要な指標として活用されています。
サービスの成長性や顧客との関係性を示す重要な経営指標であり、ビジネスの健全性を判断するうえで欠かせない数値です。顧客が生涯にわたって企業にもたらす価値を示すLTV(顧客生涯価値)とも密接に関係しており、チャーンレートが低いほど顧客の利用期間が長くなり、LTVの向上につながります。
また、解約率を分析することで顧客満足度の把握や競合との差別化のヒントを得ることも可能です。さらに、顧客が離脱する要因を分析することでサービス改善の方向性の明確化や、サポート体制の見直しにつながります。
こうした理由から、チャーンレートはビジネスオーナーが事業の将来性を判断する際の重要な指標としても注目されています。

チャーンレートの種類と計算方法
カスタマーチャーンレート
カスタマーチャーンレートとは、一定期間内にサービスを解約した顧客数の割合を示す指標です。顧客数ベースで解約状況を把握できるため、顧客維持率や顧客満足度を測る基本的な指標として多くの企業で活用されています。
カスタマーチャーンレートは、次の計算式で求められます。
カスタマーチャーンレート(%)= 一定期間内に解約した顧客数 ÷ 期間開始時点の顧客数 × 100
レベニューチャーンレート
レベニューチャーンレートとは、一定期間内に解約や契約縮小によって失われた売上(収益)の割合を示す指標です。顧客数ではなく売上ベースで離脱状況を把握できるため、特に料金プランや契約金額が顧客ごとに異なるサービスで重要視されています。そのため、SaaSなどのサブスクリプション型サービスや、定期購入型のECビジネスでは、収益の減少要因を分析する指標として用いられています。
なお、 レベニューチャーンレートは2種類あります。それぞれの概要と計算式は以下のとおりです。
グロス・レベニューチャーンレート
既存顧客の解約やダウングレードによって、一定期間内に失われた売上の割合を示す指標です。アップセルやクロスセルによる売上増加は含めず、「純粋に減少した売上」のみを測定します。
計算式:(期間内に失われた売上 ÷ 期間開始時点の月次定期収益)×100
ネット・レベニューチャーンレート
解約やダウングレードによる売上減少に加え、既存顧客からのアップセルとクロスセルによる売上増加も考慮した指標です。既存顧客ベースで売上がどの程度増減しているかを総合的に把握できます。
計算式:(失われた売上 − アップセル・クロスセルによる増加売上) ÷ 期間開始時点の月次定期収益 ×100

チャーンレートが上昇する主な原因
機能や品質への不満
製品・サービスの品質や性能が期待に達していない場合、顧客は価値を十分に感じられず、解約につながる可能性があります。
例えば、ランディングページで訴求されていた機能や効果が、実際には不足している場合、顧客の期待とのギャップが生まれ、満足度は低下しやすくなります。その結果、より使いやすく、機能が充実している競合サービスへ乗り換えるケースもあります。
価格と提供価値のバランスが取れていない
定期購入では、初回は納得していても、製品・サービスを使い続ける中で「価格に対して価値が見合っていない」と感じ始めると料金が割高に思えて、解約につながる可能性があります。
例えば、競合と比べて同程度の機能で価格が高い、期待していた効果が得られない、使用頻度が低いといった場合には継続する理由を見出しにくくなり、解約が起こりやすくなります。
カスタマーサポートやフォロー体制が不十分
カスタマーサポートやフォロー体制が十分でない場合、顧客は問題を解決できず不満を感じやすくなります。問い合わせへの対応が遅かったり、導入後のフォローが少なかったりすると、サービスの満足度が低下し、解約につながる可能性があります。
市場環境の変化
市場環境の変化や、BtoBでは顧客企業の事業方針の変更も、チャーンレートが上昇する要因の一つです。
例えば、顧客企業の事業縮小やコスト削減の方針変更によって、これまで利用していたサービスが見直されるケースがあります。また、業界トレンドや技術の進化により、より新しい製品へ乗り換えられることもあります。このように、サービスや製品自体に問題がなくても外部環境の変化によって解約が発生する場合があります。

チャーンレートを改善する方法4選
1. 顧客ニーズを踏まえた機能改善や品質向上を行う
顧客ニーズを把握し、それに基づいて機能改善や品質向上を行うことは、チャーンレート改善において重要な取り組みです。
顧客アンケートや問い合わせ内容、利用データなどを分析することで、どの機能や品質に不満や課題があるのかを把握できます。
こうした情報をもとに継続的に改善を進めることで顧客満足度の向上につながり、結果として解約の防止にもつながります。
2. 顧客データを分析して離脱兆候を把握する
チャーンレートを改善するためには、顧客データを分析し、解約につながる兆候を早期に把握することが重要です。例えば、ログイン頻度の低下やメルマガ開封率の低下などは、顧客がサービスから離れつつあるサインである可能性があります。
また、CRM(顧客管理システム)を活用することで、離脱リスクの高い顧客を早期に把握し、休止やプラン変更などのフォローがしやすくなるでしょう。
3. 価格と提供価値のバランスを見直す
サービスの価格と提供価値のバランスを定期的に見直すことも、チャーンレートの改善につながります。市場分析や競合分析を行いながら、自社サービスの強みや付加価値を明確にし、それに基づいて料金プランを見直すことで、顧客が納得しやすい価格体系を構築しましょう。
4. カスタマーサポート体制を強化する
顧客の活用状況を把握しながら継続的な支援を行うカスタマーケアの取り組みを強化することで、サービスの価値を実感してもらいやすくなり、顧客との信頼構築にもつながります。
例えば、チャットサポートを導入することで、顧客は疑問やトラブルを迅速に解決できるようになります。また、問い合わせ対応のスピード向上やサポート窓口の充実、FAQやヘルプページの整備などを行うことで、顧客が問題を自己解決しやすい環境を整えることも重要です。
まとめ
チャーンレートは、一定期間内にサービスを解約した顧客の割合を示す指標であり、事業の成長性や顧客との関係性を把握するうえで重要な数値です。チャーンレートが上昇する背景には、サービス品質への不満や価格と価値のミスマッチ、サポート体制の不足、市場環境の変化などさまざまな要因があります。
こうした要因を分析し、サービス改善や顧客データの活用、価格体系の見直し、サポート体制の強化などを継続的に行うことで、顧客満足度の向上と解約防止につながります。
チャーンレートに関するよくある質問
チャーンレートとリピート率の違いは?
チャーンレートは「離脱」を、リピート率は「継続利用」を把握するための指標という点で異なります。
- チャーンレート:一定期間内にサービスを利用しなくなった顧客の割合(解約率)を示す指標
- リピート率:一度購入した顧客のうち、再び商品やサービスを利用した顧客の割合
チャーンレートが上昇する主な原因は?
- サービスの機能や品質への不満
- 価格と提供価値のバランスが取れていない
- カスタマーサポートやフォロー体制が不十分
- 市場環境の変化
チャーンレートを改善する方法は?
- 顧客ニーズを踏まえた機能改善や品質向上を行う
- 顧客データを分析して離脱兆候を把握する
- 価格と提供価値のバランスを見直す
- カスタマーサポート体制を強化する
カスタマーチャーンレートとアカウントチャーンレートの違いは?
カスタマーチャーンレートは、一定期間内に解約した「顧客数」の割合を示す指標です。一方、アカウントチャーンレートは、企業や契約単位など「アカウント数」を基準に解約の割合を算出する指標です。主に法人向けサービスでは1社が複数のユーザーアカウントを持つこともあるため、顧客単位と契約単位のどちらで離脱を把握するかによって使い分けられます。
文:Ryutaro Yamauchi





