ECサイトでは、購入を検討しているユーザーが商品やサービスに対する疑問や迷いを解消できない場合、離脱してしまうことがあります。こうした機会損失を防ぐのに役立つのが、チャットサポートです。ECサイトにチャットボットや有人チャットを導入することでユーザーの疑問や不安にリアルタイムで対応できるため、検討中の離脱を防ぎやすくなります。
本記事では、ECサイトのチャットサポートの種類や導入するメリットを解説します。効果的に運用するためのコツも紹介しているので、ぜひ参考にしてください。
ECサイトのチャットサポートとは
ECサイトのチャットサポートとは、サイト上のチャット画面を通じて、ユーザーからの質問や相談に対応する仕組みです。ユーザーはチャットボタンをクリックすることで、テキストでやり取りを始められます。電話やメールでの問い合わせと比べて、対応までにタイムラグが発生しないのがメリットです。

ECサイトのチャットサポートの種類
有人チャット
有人チャットは、担当者がチャット画面を見ながら、ユーザーの質問にその場で回答する方式です。ユーザーの状況に応じて個別に返答できるため、定型文だけでは案内しにくい内容にも対応しやすいのが特徴です。
たとえば、ユーザーから「クーポンが適用されないのはなぜか」と質問された場合、利用条件や注文内容など、原因を一つずつ確認できます。
一方、問い合わせ件数が増えるほど人手が必要になる点には注意が必要です。返信が遅れると離脱につながるおそれもあるため、セール期間や新商品発売日など、問い合わせが集中しやすいタイミングでは人員を増やし、体制を整えておく必要があります。
チャットボット
チャットボットは、あらかじめ設定したシナリオやFAQに沿って、自動で回答する方式です。よくある問い合わせや案内内容が決まっている質問への対応を効率化できるうえ、24時間365日いつでも稼働できる点がメリットです。
たとえば、ユーザーから送料について質問された場合は、配送先の地域を選んでもらい、その内容に応じた送料をすぐに案内できます。
一方で、あらかじめ設定していない質問や複雑な質問には対応しにくいという課題があります。対応が難しい場合は、お問い合わせフォームへ誘導したり、有人対応へ切り替えたりするのが一般的です。
AIチャット
AIチャットは、生成AIを活用して、ユーザーが入力した文章へ自動で回答する方式です。シナリオ型チャットボットと異なり、質問の言い回しや文脈に応じて、より柔軟に返答しやすい点が特徴です。
たとえば、ユーザーから「急ぎで必要なのですが、週末までに届きますか」と質問された場合、AIが配送に関する質問だと判断し、配送日数の目安や確認方法を案内します。
ただし、AIは常に正しい回答を返すとは限りません。回答の精度を保つには、正しい情報を学習させておく必要があります。また、不適切な言葉遣いにならないよう、トーンやマナーを事前に整えておくことも重要です。
ハイブリッド
ハイブリッドは、チャットボットやAIチャットによる自動対応と、担当者による対応を組み合わせた方式です。定型的な案内は自動化しつつ、個別対応が必要な内容だけを担当者へ引き継ぎます。
たとえば、ユーザーから注文後に届け先を変更したいと相談があった場合は、まず自動応答で変更手続きの可否や確認事項を案内し、注文内容の確認が必要な段階で有人対応へ切り替える運用ができます。
対応品質の向上と業務の効率化を両立できる手法です。

ECサイトにチャットサポートを導入する5つのメリット
1. ユーザーの疑問をすぐに解消できる
チャットサポートを導入すると、ユーザーの疑問に速やかに対応できるようになります。特によくある質問の場合、事前に回答を設定しておけば、顧客は即座に自分で問題を解決できます。こうした対応は、利便性の高いサービスの提供につながります。
2. 問い合わせのハードルが下がる
電話やメールと比べて、チャットでの問い合わせはユーザーの負担を抑えられます。通話料や周囲の環境を気にする必要がなく、返信が届くまで長く待たずに済む点は、顧客にとって大きなメリットです。
また、担当者がオンラインであることや、回答を入力中であることも画面上でわかるため、対応してもらえている安心感にもつながります。問い合わせしやすい環境を整えることは、顧客体験や顧客満足度の向上にも効果的です。
3. 問い合わせ対応を効率化できる
チャットサポートは、問い合わせ対応の効率化にも役立ちます。複数のユーザーと同時にやり取りできるうえ、よくある質問にはテンプレートや定型文を用意しておけば、毎回同じ説明を入力する手間も減らせます。さらに、botチャットを導入すれば、よくある質問への回答を自動化することも可能です。
4. テキストで履歴を残せる
ユーザーとのやり取りをテキストとして履歴に残せる点も、EC事業者にとってメリットの一つです。電話のように聞き間違いが起きにくく、過去の案内内容も後から確認できます。配送日や返品条件の説明なども履歴として残るため、「言った・言わない」といったトラブルを防ぎやすくなります。
5. URLや画像を活用して案内できる
チャットサポートでは、テキストだけでなくURLや画像を送って案内できるため、よりわかりやすい対応につながります。たとえば、決済方法を案内する場合、決済ガイドページのURLを送って、ユーザーに直接確認してもらうといった対応ができます。電話での口頭説明だと伝えづらい内容が案内しやすくなる点も、チャットサポートの強みです。

ECサイトのチャットサポートを成功させる4つのコツ
1. アクセス数に合わせて人員を配置する
アクセス数が多い時間帯や時期は、問い合わせ数も増える傾向があるため、チャット対応スタッフを多めに配置しましょう。ユーザーの質問に迅速に対応しやすくなり、購入を検討しているユーザーをサポートしやすくなります。
問い合わせやアクセスが多くなるタイミングを特定するには、Google Analytics(グーグルアナリティクス)やECプラットフォームの分析機能が便利です。たとえば、Shopify(ショッピファイ)にはアクセス分析が備わっていて、サイトへのアクセスが増える時間帯を把握できます。
メールマガジンの配信やセールの開催など、サイトへのアクセスが増えるマーケティング施策を実施する際は、チャットサポートの体制もあわせて考えておきましょう。
2. チャットの表示条件を調整する
チャット画面を表示するタイミングや対象ページを調整することで、効率よくカスタマーサポートを提供できます。
たとえば、以下のような設定が可能です。
- カートページなど、チェックアウトの過程で表示する
- 新商品ページや人気商品ページでのみ表示する
- サイト訪問から20〜30秒後にチャットで簡単な挨拶を送る
- メールマガジンや広告経由の訪問者にのみ表示する
- 特定の言語のユーザーにのみチャットを表示する
購入の後押しや新規顧客の不安解消など、チャットサポートの運用目的を定めて、それに合わせた表示条件を検討しましょう。
3. 同時対応数を制限する
チャットサポートでは、同時に多くのユーザーとやり取りするよりも、一人ひとりに丁寧に対応することが重要です。特に、有人のライブチャットサポートでは、対応数が増えすぎると回答の質が下がったり、担当者の負担が大きくなったりします。少数の問い合わせにしっかり対応することで、顧客満足度の高いサービスの提供につながります。
対応数を調整する際は、チャットツールの設定を活用して、同時対応数を制限しておくとよいでしょう。たとえば、一定数以上の会話が進行している場合、新しいチャットを一時的に表示しないように設定できるツールもあります。「ただいま対応しています。しばらくお待ちください」などの自動メッセージを設定しておけば、ユーザーも安心して待ちやすくなります。
また、チャット開始前に名前や問い合わせ内容の概要などを入力してもらう「事前チャットフォーム」を設定しておく方法もあります。問い合わせ内容を事前に把握できるため、優先順位を付けやすくなります。
4. 顧客の声をストア改善に活かす
チャットで寄せられた顧客の声を分析することで、サイトや商品ページの改善に活かすことができます。チャットでのやり取りは、ユーザーが何に迷い、何を求めているのかを知る手がかりになります。
次のような点を中心に確認してみましょう。
- 用語:ユーザーが、サイトで使われている言葉とは別の表現を使用していないか確認しましょう。たとえば、サイトでは「モバイルバッテリー」と表記していても、ユーザーは「スマホの充電器」と呼んでいるかもしれません。必要に応じて商品カテゴリーや説明文の表現を見直すと、商品を見つけてもらいやすくなります。
- レイアウトとナビゲーション: サイトの使い方で迷っているユーザーからチャットが来る場合は、ナビゲーションやページ構成に改善の余地があるかもしれません。
- 商品に関するFAQ:同じ商品について同じ質問が繰り返し寄せられる場合は、その内容を商品ページやFAQに追加することを検討しましょう。
- 要望や提案:ユーザーから同じ要望が繰り返し寄せられる場合は今後の改善項目として検討する価値があります。たとえば、配送スピードへの不満が多い場合は、配送方法や発送体制の見直しを検討してみましょう。
こうした改善を積み重ねることで、問い合わせの件数を減らすことができます。結果としてチャットサポートの負担が軽減され、顧客体験の向上や売り上げアップに向けた施策に集中できます。
まとめ
顧客の問い合わせに素早く対応できるチャットサポートは、顧客満足度を高める有効な手段です。購入前の不安を解消しやすくなるほか、問い合わせ内容をサイト改善に活かすことで、コンバージョンの向上にもつながります。
効果的に活用するには、チャットの種類や運用方法を理解し、自社サイトの特性に応じて導入することが重要です。本記事で紹介したポイントを参考に、自社のECサイトに合ったチャットサポートの導入と運用を検討してみてください。
ECサイトのチャットサポートに関するよくある質問
ECサイトのチャットサポートとは?
ECサイトのチャットサポートとは、ECサイト上のチャット機能を使ってユーザーの問い合わせに対応する仕組みです。
ECサイトのチャットサポートにはどんな種類がある?
- 有人チャット
- チャットボット
- AIチャット
- ハイブリッド
ECサイトにチャットサポートを導入するメリットは?
- ユーザーの疑問をすぐに解消できる
- 問い合わせのハードルが下がる
- 問い合わせ対応を効率化できる
- テキストで履歴を残せる
- URLや画像を活用して案内できる
ECサイトのチャットサポートを成功させるコツは?
- アクセス数に合わせて人員を配置する
- チャットの表示条件を調整する
- 同時対応数を制限する
- 顧客の声をストア改善に活かす
文:Hisato Zukeran





