ECサイトの売上アップを実現するうえで、顧客単価を高める施策は欠かせません。その中でも、関連商品や追加サービスを提案する「クロスセル」は、多くの企業が取り入れている代表的な販売戦略の一つです。しかし、クロスセルは提案内容や方法によって強引な営業と受け取られてしまうこともあり、顧客の信頼を損ねてしまう可能性もあります。そのため、「クロスセルをどのように実施すればよいのか」と悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
そこで本記事では、クロスセルの基本知識とともに、効果的に実施するためのポイントなどについて分かりやすく解説します。

クロスセルとは
クロスセルとは、顧客が購入した商品や購入しようとしている商品に関連する別の商品・サービスを提案する営業手法を指します。顧客の購入点数を増やし、客単価の向上を図ることが主な目的ですが、うまく活用すれば顧客の満足度を高める効果も生まれます。例えばスマートフォンを購入しようとする顧客に対応するスマホケースを提案したり、「新生活応援セット」として生活家電をセット販売するといったケースが該当するでしょう。こうした顧客体験の向上は、ブランドへのロイヤルティの強化にもつながります。
クロスセルのメリット
- 客単価の向上:関連商品をあわせて提案することで購入点数が増え、1回あたりの購入金額(客単価)の向上が期待できる。
- LTV(顧客生涯価値)の向上:クロスセルによって顧客が複数の商品やサービスを利用するようになると、1人の顧客から得られる売上(LTV)が高まり、長期的な収益の安定化につながる。
- 顧客のリピーター化:関連商品や追加サービスを提案することで、顧客はブランドやサービスとの接点が増え、継続的に利用する可能性が高まる。
- 単体では売れにくい商品の販売機会拡大:他の商品と組み合わせて提案することで、単体では購入されにくい商品でも価値を伝えやすくなり、販売機会の創出につながる。
- ショップの利便性向上:購入商品に対応する消耗品や関連商品を提示することで、顧客が買い忘れたり非対応品と買い間違えたりすることがなくなり、ショップの利便性が向上する。
クロスセルの活用事例3選
1. Amazon(アマゾン)
世界最大級のECサイトであるAmazonでは、商品ページやカート投入後の画面で「よく一緒に購入されている商品」や「この商品に関連する商品」といったレコメンドを表示しています。こうした機能により、購入を検討している商品と相性の良い商品を提案でき、自然な形でクロスセルを促進しています。
2. Minimal(ミニマル)
Bean to Bar Chocolate(ビーントゥバーチョコレート)ブランドのMinimal(ミニマル)では、カート確認画面に関連商品を表示し、購入意欲が高まっている顧客に対して追加購入を促す仕組みを取り入れています。
3. ZOZO(ゾゾ)
ファッション・アパレルのECサイトを展開するZOZOは、同社が運営するファッションコーディネートアプリであるWEAR(ウェアー)とECサイトであるZOZOTOWN(ゾゾタウン)を連携させ、コーディネート投稿から商品ページへ遷移できる導線を設けています。投稿されたコーディネートには着用アイテムがタグ付けされており、そこからZOZOTOWNの商品ページを確認できるため、トップス・パンツ・シューズなどをまとめて購入できる仕組みとなっています。
クロスセルを効果的に実施するためのポイント
顧客のニーズに合った商品を提案する
クロスセルを成功させるためには、顧客のニーズに合った商品を提案することが欠かせません。購入しようとしている商品や過去の購買履歴、閲覧履歴などを参考に関連性の高い商品を提示することで、顧客にとって価値のある提案につながります。顧客のニーズと関連性が低い商品を無理に提案すると押し売りの印象を与えてしまう可能性があるため、顧客目線で商品を提案することがポイントです。
適切なタイミングでクロスセルを提案する
クロスセルを実施する際には、顧客の購買プロセスに合わせたタイミングで提案することが求められます。例えば商品を検討している段階よりも、カートに追加したタイミングや、購入後に付属の消耗品を使い切るころなどは、関連商品の提案が受け入れられやすい場面といえるでしょう。一方で、顧客のニーズや状況を無視したタイミングで提案すると、押し売りの印象を与えてしまう可能性もあります。顧客の行動や状況を踏まえ、自然な形でクロスセルを行うことがポイントです。
レコメンド機能を活用する
クロスセルを効率的に実施するためには、レコメンド機能の活用が有効です。ECサイトでは、閲覧中の商品ページやカート画面などで関連商品を自動的に表示することで、顧客に追加購入の機会を自然に提示できます。例えば、Shopify(ショッピファイ)などのECプラットフォームには、商品ページの閲覧時やカート追加時に関連商品をレコメンドするアプリや機能が用意されています。これらを活用することで、顧客の購買行動に合わせたクロスセルを効率的に実施できるほか、上位モデルを提案するアップセルも実現することができます。
お得感のある価格設定を行う
クロスセルを促進するうえでは、顧客がお得だと感じる価格設定も効果的です。例えば、関連商品をセットで購入することで割引が適用される「まとめ買い割引」や、一定金額以上の購入で送料無料になる施策などは、顧客の購入意欲を高める要因になります。単に商品を追加で提案するだけでなく、価格面でのメリットを提示することで、顧客にとって魅力的な提案となり、購入点数の増加や客単価の向上につながります。
購入後のサポート体制を整える
クロスセルは購入前だけでなく、購入後のサポートを通じて実施することも可能です。商品の使い方を案内するメールやサポート情報を提供する中で、関連性の高い商品などを提案することで、追加購入につながる場合があります。購入後も顧客との接点を維持し、安心して商品やサービスを利用できる環境を整えることで、リピート購入や継続的なクロスセルにつながります。
まとめ
クロスセルは、関連商品や追加サービスを提案することで顧客の購入点数を増やし、客単価やLTVの向上につなげる有効な販売手法です。顧客のニーズに合った商品提案や適切なタイミング、レコメンド機能の活用などを意識することで、顧客体験や利便性を向上させながら売上拡大を図ることができます。
クロスセルに関するよくある質問
クロスセルとアップセルの違いは?
アップセルとクロスセルはいずれも顧客単価を高める手法ですが、提案する商品が異なります。クロスセルは、関連する商品やサービスを提案することで購入点数を増やし、顧客単価の向上を目指す販売手法です。一方、アップセルはより高価格・高品質の商品を提案することで購入単価を高める手法です。
クロスセルのデメリットは?
- 提案の仕方によっては押し売りと受け取られ、顧客の信頼を損ねる可能性がある
- 関連性の低い商品を提案すると、顧客満足度の低下につながる可能性がある
- 適切なデータ分析や商品選定が必要になるため、運用の手間が増える場合がある
クロスセルの例は?
クロスセルの代表的な例として、以下のようなECサイトの施策があります。
- Amazon:商品ページやカート画面で「よく一緒に購入されている商品」や「この商品に関連する商品」を表示し、関連商品の購入を促すレコメンド機能を活用しています。
- Minimal:カート確認画面で関連商品を表示し、購入意欲が高まっているタイミングで追加購入を促しています。
- ZOZO:コーディネートアプリWEARとZOZOTOWNを連携させ、着用アイテムから商品ページへ遷移できる導線を設けることで、複数商品の購入を促すクロスセルを実現しています。
一般的なクロスセル手法は?
- レコメンド表示:商品ページやカート画面で「よく一緒に購入されている商品」などの関連商品を表示する
- カート画面での追加提案:購入手続きの際に関連商品を提示し、追加購入を促す
- 購入後フォロー:メールやレコメンド機能を通じて関連商品や追加サービスを案内する
- セット販売:複数の商品をセットにして割引価格で提供し、まとめ買いを促す
文:Ryutaro Yamauchi





