近年ではSNSの利用率が増加し、その役割が多様化しています。消費者はSNSで情報を検索したり、発信される情報を購買行動につなげたりするようになっています。そのため、SNSで活躍するeコマースインフルエンサーの起用は、重要なECサイトのマーケティング戦略となっています。
この記事では、eコマースでのインフルエンサーマーケティングの活用方法を成功事例と共に紹介します。最適なインフルエンサーの探し方やキャンペーンの運用方法や、成果測定の指標も参考にしてください。

eコマースでのインフルエンサーマーケティングとは
eコマースでのインフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで活動するインフルエンサーに、自社のEC商品やサービスを実際に使用してもらい、その感想や魅力をインフルエンサーから発信して宣伝するマーケティング手法です。インフルエンサーの口コミを通して消費者の認知度を高め、購買意欲を起こさせることで、売り上げの向上が期待できます。

eコマースでインフルエンサーを活用するメリット
一般的な広告より受け入れられやすい
インフルエンサーを活用したPRは、ブランドが発信する一般的な広告より消費者に受け入れられやすいというメリットがあります。インフルエンサーが1人の消費者として商品やサービスを利用し、リアルな使用感や感想を伝えてくれるからです。インフルエンサーは日頃からフォロワーとの信頼関係を築いているため、フォロワーにとってそのコンテンツは共感や信頼を伴う口コミとなり、抵抗なく受け入れられて購買行動につながることが期待できます。
リポストやUGCによる認知拡大ができる
インフルエンサーがSNSで商品のPRコンテンツを投稿すると、ファンがそれをリポストなどで拡散します。また、消費者が自らリアルな感想を発信することで、UGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれます。このような情報の拡散によって、商品やブランドの認知拡大やコンバージョン率の向上が見込めます。
ターゲット顧客層へリーチしやすい
起用するインフルエンサーによって、ターゲット層へのアプローチがしやすい点もeコマースのインフルエンサーマーケティングのメリットです。ファッションやコスメ、料理、旅行など、それぞれの得意分野に特化したインフルエンサーは、そのジャンルに興味や関心の高いフォロワーからの支持を集めています。そのため、自社商品と親和性の高いインフルエンサーを起用することで、狙った層へ確実にリーチできます。また、海外展開を狙う場合、現地と関わりの強いインフルエンサーを起用すれば、ターゲット市場へのスムーズな認知拡大が可能です。
コンテンツの二次利用で広告効果の向上を図れる
インフルエンサーの許可を得て、制作してもらったコンテンツを自社のウェブサイトやSNS、イベントでの放映など、さまざまな場面で二次利用をすることで、さらなる広告効果の向上が期待できます。同時に、自社でコンテンツを制作する負担も軽減でき、コストや手間の削減にもつながります。

効果的なeコマースのインフルエンサーマーケティングの進め方
1. 明確な目標とKPIを設定する
eコマースのインフルエンサーマーケティングで成果を出すためにまず必要なのは、施策の目標とKPIを明確に設定することです。特に初めてインフルエンサーマーケティングを実施する場合は、目標を最優先事項のみに絞り、達成度を測定するためのKPIを定めて効果測定を実施するようにしましょう。インフルエンサーマーケティングでよく使われるKPIには、以下のようなものがあります。
- コンテンツの閲覧数
- コメントや「いいね」などのエンゲージメント数と割合
- フォロワーの増加数
- ECサイトへの遷移数
- UGCの数
- コンバージョン率
2. ターゲット層を調査し、セグメンテーションを行う
PR予定の商品やサービスのターゲットオーディエンスを絞り込むため、まずは市場調査を行い、マーケットセグメンテーションを進めます。年齢層や性別だけでなく、生活スタイルや趣味嗜好、価値観まで深く掘り下げてペルソナを設定し、最も高い宣伝効果が見込めるセグメントをターゲットに定めましょう。起用したインフルエンサーの持つフォロワー層以外への波及効果は限定的になることが見込まれるため、ターゲットの具体的な見極めが施策の成否を分けます。
3. プラットフォームを選定する
プラットフォームによってコンテンツの制作方法やユーザー層などが異なるため、自社商品の特性に適合し、ターゲット層が日常的に使用しているプラットフォームを選択する必要があります。主なプラットフォームの特徴を比較し、最適なものを選びましょう。
- Youtube:動画プラットフォームで、横長動画だけでなく縦型の「YouTube ショート」やライブ配信にも対応しています。国内では月間7,370万人が利用しており、性別を問わず幅広い年齢層のユーザーに利用されています。
- Instagram:画像投稿をはじめ、24時間限定のストーリーズ、リール動画、ライブ配信のほか、ECサイトの商品ページへ誘導できるショップ機能が特徴です。国内のアクティブユーザー数は月間6,600万人で、10〜30代の女性を中心に普及しています。
- X(旧Twitter):テキスト投稿を中心に、画像や動画も投稿でき、スペース(音声ライブ配信)も可能です。国内で月間6,800万人のアクティブユーザーを抱え、20代をボリューム層としつつ、性別を問わず幅広い層に利用されています。
- TikTok:国内アクティブユーザーは月間4,200万人以上、特にZ世代に人気があります。スマホで手軽に視聴できる縦型の短尺動画の投稿を中心に、ライブ配信やライブコマースも行えるプラットフォームです。
- Facebook:国内アクティブユーザー数は2,600万人で、若年層より40〜50代の利用者が多いSNSです。文字や画像、動画投稿のほか、ストーリーズ、ライブ配信、ショップ機能などを利用できます。原則として実名登録制である点が他にはない大きな特徴です。
4. 最適なインフルエンサーを選定する
ターゲット層に合わせて、自社商品やサービスの魅力を最大限に伝えてくれるインフルエンサーを選ぶことも重要なポイントです。フォロワー数が多いインフルエンサーは抜群の知名度で認知拡大には有効ですが、エンゲージメント率は比較的低くなる傾向にあります。一方で、フォロワー数は少なくても、専門性の高いコンテンツで熱狂的なファンを得ていたり、フォロワーとの距離が近く親近感が湧くインフルエンサーの方が、購買行動へ繋げたい目的に適している可能性もあります。さらに近年では、AIインフルエンサーの活用も注目されています。自社の目的に適合するインフルエンサーを選定することが大切です。
具体的には、以下のような点を基準に選定するとよいでしょう。
- 発信ジャンルがPRしたい商品と適合するか
- 主に活躍しているプラットフォーム
- 閲覧数または再生数
- フォロワー層と商品のターゲット層がマッチしているか
- ファンとの信頼関係ができているか
- 平均エンゲージメント数や割合(いいね、保存、コメントなど)
- 過去のPR投稿内容とエンゲージメント数や割合
- インフルエンサーのコメントの質(具体性や熱量、会話になっているかなど)
- 競合他社の商品やサービスのPRを行っていないか
5. マーケティング施策を展開する
インフルエンサー活用で可能なマーケティング施策には主に以下のようなものがあります。
- ギフティング:インフルエンサーに自社商品やサンプルを提供し、実際に使用したリアルなレビューを投稿してもらいます。インフルエンサーとの関係を構築したい場合や、予算が少ない場合に活用しやすい手段です。
- 店舗やイベント招待:自社や店舗、イベントなどにインフルエンサーを招待し、レポートを投稿してもらう手法です。イベントでは講演や対談の依頼をすることで集客効果も期待できます。
- 商品監修、コラボレーション:商品を監修してもらったり、共同開発して販売する手法です。消費者の視点を取り入れた商品やトレンドを意識した商品開発ができるため、インフルエンサーの影響力で売り上げ向上が期待できます。
- ライブコマース:ライブ配信を通じて商品をPRをしてもらう手法です。リアルタイムで消費者と双方向のやりとりができるため、消費者の疑問や不安をその場で解消し、スムーズに購入に結びつけられることがメリットです。
- アンバサダー:インフルエンサーと長期的なブランド専属契約を結び、ブランドや商品の情報を継続的にSNSで発信してもらう手法です。

インフルエンサーの選定方法
インフルエンサーマーケティング会社に依頼する
インフルエンサーマーケティング会社に依頼してインフルエンサーの人選を行うことも可能です。インフルエンサー選定時に担当者のサポートを受けられるだけでなく、広告宣伝の効果測定や、プロモーションの企画、SNS運用のサポートなどが受けられることがメリットです。
インフルエンサープラットフォームを利用する
インフルエンサーを検索できるサイトやアプリなどのインフルエンサープラットフォームを利用するのも手です。プラットフォームに登録しているインフルエンサーを企業が選定し、直接交渉を行います。インフルエンサーのフォロワー数やジャンル、単価等の条件で検索でき、PRしたい商品やサービス、ブランドイメージに適合するインフルエンサーを選定できます。
インフルエンサーに直接依頼する
SNSのDMやプロフィール欄に記載されているメールアドレスへ、企業側からインフルエンサーに直接連絡する手法です。フォロワーの多いインフルエンサーほど連絡や依頼も多いことが予想できるため、目に留まるような依頼をする工夫が必要になります。
eコマースのインフルエンサーマーケティング成功事例
LOCONDO
靴を中心としたアパレルのEC通販を行うLOCONDOは、登録者約400万人を抱える人気インフルエンサーとのコラボ商品を企画販売し、発売から1週間で約6億円分を売り上げました。LOCONDOでの発売と前後して、インフルエンサーのYoutubeチャンネルでは、商品企画のプロセスの記録や、素材や履き心地の良さなどをアピールする動画を投稿しました。商品が発売されるとサーバーが一時的にダウンするほどの人気を博しました。
CAFE OHZAN
お菓子の製造販売および自社ECサイトを展開するCAFE OHZANは、インフルエンサーマーケティングの導入により、売り上げを前々年比485%へと成長させました。同社は、リアルな口コミが期待できるマイクロインフルエンサーを選定してPR投稿を依頼するほか、カメラマンに写真撮影を依頼してフォローしたくなるInstagramアカウントを構築し、フォロワー数の拡大だけでなく、大幅な売り上げの増加を実現しています。
サッポロビール
サッポロビールは輸入ワインのEC販売戦略でインフルエンサーマーケティングを展開し、施策後のベース売り上げを1.5倍に引き上げる大きな成果を出しています。同社は、ワイン需要が高まる12月に向け、Amazonブラックフライデーの商戦期に料理系インフルエンサーを起用してリール動画とストーリーズでPRを実施しました。ホームパーティーという具体的な飲用シーンを想起させ、相性の良いおつまみと共にワインを紹介する動画で同社のフォロワー外の層にリーチすることで、新規顧客の割合が大幅に増加しました。
まとめ
SNSや動画プラットフォームなどで活躍するインフルエンサーを起用して商品やサービスのPRを行うインフルエンサーマーケティングは、eコマースにおいて重要な宣伝方法の一つです。明確な目標とKPIを設定し、マーケットを綿密に調査して自社商品やサービスに適合するターゲット層を絞り込みましょう。インフルエンサーの選定は、目的に沿うか、フォロワー数やエンゲージメント数、フォロワー層と自社商品のターゲット層がマッチするかどうかだけでなく、コメントの具体性やファンとのやり取りから信頼関係を分析することも重要です。
eコマースでインフルエンサーマーケティングを効果的に実施することで、商品やブランドの認知拡大や売り上げ向上が期待できるため、ぜひこの記事を参考にeコマースのインフルエンサーマーケティングを計画しましょう。
よくある質問
eコマースのインフルエンサーマーケティングとは?
eコマースでのインフルエンサーマーケティングとは、SNSなどで活動するインフルエンサーに、eコマースで販売している商品やサービスを実際に使用してもらい、その使用感や感想を宣伝するマーケティング手法です。
eコマースでインフルエンサーを活用するメリットは?
- インフルエンサーがすでに構築しているフォロワーとの信頼関係や消費者目線のリアルな感想により、一般的な広告よりも抵抗感なく受け入れられやすい
- フォロワーのリポストによる拡散や、UGCによる認知拡大が期待できる
- ターゲット顧客層のフォロワーを抱えるインフルエンサーを選定することで、狙った層へ確実にリーチできる
- コンテンツの二次利用により、さらなる広告効果の向上や、自社のコンテンツ制作コストや手間の削減につながる
eコマースでインフルエンサーを活用した成功事例は?
- LOCONDO:人気インフルエンサーとのコラボ商品を企画販売し、発売から1週間で約6億円分を売り上げ
- CAFE OHZAN :マイクロインフルエンサーのリアルな口コミとフォローしたくなるアカウント構築により、売り上げが前々年比485%向上
- サッポロビール:輸入ワインのEC販売戦略にインフルエンサーマーケティングを導入し、施策後のベース売り上げが1.5倍に上昇




