B2B ECの進化に伴い、近年は企業向けの商取引においても、オンラインでの在庫のリアルタイム確認やスムーズな再注文など、B2Cと同様の購買体験が求められるようになりました。一方で、従来型のシステムに依存した運用が、業務効率や成長の妨げとなるケースも少なくありません。
この記事では、B2Bコマースの変化を踏まえながら、B2BとB2Cの違いを整理し、両方に対応したEC運営の考え方について解説します。

B2Bコマースとは
B2B(Business to Business)ECとは、企業がオンラインプラットフォームを通じ、他の企業に対して商品やサービスを直接販売することです。このB2Bビジネスでは、卸売業者、メーカー、販売代理店などが、小売業者や他の企業に対して販売を行います。
B2Bでは、一回あたりの発注量が多く、かつ継続的に発注となるケースが多いため、ShopifyでB2Bを活用しているブランドでは、DTC(消費者向け直販)と比べて再注文の頻度が最大3.2倍に増加しています。

B2Cコマースとは
B2C(Business to Consumer)コマースとは、企業がオンラインで個人消費者に製品やサービスを直接販売することです。小売ウェブサイト、モバイルアプリ、ソーシャルコマースなどで、購入者自身による使用やギフトにすることを目的として購入されます。B2Cの取引は、B2Bに比べ全体的にシンプルで、個人の購買行動を軸とした取引が中心です。
B2BとB2C EC 比較表
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B2B |
B2C |
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対象 |
特定の企業や担当者 |
幅広い個人顧客や消費者層 |
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価格・注文金額 |
高額注文、価格交渉が可能 |
低額注文、固定価格 |
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意思決定 |
複数の関係者が関与。検討期間も長い |
個人が判断。概ね短期間で決定 |
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購買動機 |
論理や業務上の必要性、費用対効果(ROI) |
感情や個人のニーズ・欲求 |
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訴求内容・コンテンツ |
製品の仕様、データ、ROIを重視 |
得られるメリット、ライフスタイル、感情に訴える表現を重視 |
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支払い方法 |
請求書払い、銀行振込、掛売りなど |
クレジットカードなどデジタル決済 |
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顧客維持・関係構築 |
長期的な取引関係が前提。大口の継続発注が多い |
個人顧客にリピート購入を促しブランドへのロイヤルティを構築する |
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マーケティング戦略 |
関係構築やターゲットを絞ったリード獲得が中心 |
幅広い認知拡大とコンバージョン重視 |

B2BとB2C ECの主な違い14点
- 最大市場規模(TAM)
- 注文単価と発注頻度
- 顧客関係とアカウント管理
- 営業サイクルと意思決定までの期間
- 購買心理と動機
- 価格設定と価格交渉
- 支払い条件と決済方法
- 顧客維持とリピート注文
- マーケティングと獲得チャネル
- カスタマーサポート
- 規制とコンプライアンス
- プラットフォームとシステム連携
- 顧客生涯価値
- 配送とフルフィルメント
1. 最大市場規模(TAM)
B2Cでは幅広い個人消費者を対象とし、B2Bでは特定企業や担当者を対象とする点が大きな違いです。
B2Cでは幅広い個人消費者を対象とするため、それぞれの興味関心や購買行動に合わせたマーケティングやカスタマージャーニーマップの設計が求められます。
一方、B2Bは対象となる企業や担当者が限定される傾向があり、ターゲットの属性も比較的明確です。例えば、特定の業種や職種に絞ったアプローチが行われます。そのため、ニーズに応じた個別性の高い提案や関係構築が重視されます。
このように、B2Cは幅広い層への訴求を前提とした戦略が中心であるのに対し、B2Bは限られた対象に対して精度の高いアプローチを行う点が特徴です。
2. 注文単価と発注頻度
B2Cでは比較的低単価、高頻度、複数の顧客を前提とするのに対し、B2Bでは高単価、まとめ買い、継続取引が特徴です。
B2Cでは、一般的には低価格の商品を個人に販売することが多いため、売上を拡大するには多くの顧客にリーチする必要があります。
一方、B2Bでは1回あたりの注文金額が大きく、少ない顧客でも大きな売上につながる傾向があります。また、継続的な発注も一般的のため、平均注文額(AOV)や再注文の頻度が高くなりやすいという特徴があります。
価格については、B2Cでは基本的に表示価格での購入が中心ですが、B2Bでは取引条件や購入量に応じて価格交渉が行われることが多く、ボリュームディスカウントが適用される場合もあります。
ShopifyのB2B機能では、1つのストア内でB2C(D2C)とB2B向けに価格や表示内容を分けて管理することが可能です。B2B向けでは、価格、数量ルール、割引などを顧客ごとに設定できます。

3. 顧客関係とアカウント管理
B2Cでは個人顧客との1対1の関係構築が中心となる一方、B2Bでは企業全体との関係管理が重要になります。
B2Cでは、個人顧客へのパーソナライズされたコンテンツや特典を通じてロイヤルティを高める施策が重視されます。
一方、B2Bでは個人ではなく企業単位で顧客管理を行います。そのため、複数担当者向けの権限設定や承認フローなど、企業向けのアカウント管理機能が重要になります。
ShopifyのB2B機能では、企業ごとに支払条件、価格、カタログなどを設定し、各B2B顧客が専用の条件で注文、再注文、返品管理を行える仕組みを提供しています。
4. 営業サイクルと意思決定までの期間
B2Cでは個人が意思決定を行うのに対し、B2Bでは複数の関係者が意思決定に関与する点が大きな違いです。
B2Cでは、購入者がその場で意思決定し、決済まで進行するケースが一般的です。
一方、B2Bでは社内での共有や承認が必要となるため、複数の関係者が意思決定に関与します。部署間での確認や調整が発生することから、購入までのプロセスは長めになる傾向があります。また、関係者間で共有しやすい、会社概要などを記載した検討用資料や製品カタログ、デモ動画などの提供が重要になります。
このように、B2Cは短期間で完結するシンプルな意思決定であるのに対し、B2Bは複数の関係者によって段階的に精査される意思決定のプロセスが特徴といえます。
5. 購買心理と動機
B2Cでは個人の好みや感情が購買に影響しやすいのに対し、B2Bでは収益性や業務効率などビジネス上の合理性が重視されます。
B2Cでは使い心地、デザイン、ブランドへの共感など、感情的な要素も意思決定に影響します。
一方、B2Bでは、再販や業務利用を前提とした購入が多く、収益性やコスト削減などが重視されます。また、取引金額や影響範囲が大きいため、より慎重に購入判断が行われます。
このように、B2Cは個人の嗜好や体験に基づく判断が中心であるのに対し、B2Bはビジネス上の成果を重視した合理的な判断が軸となる点が特徴です。
6. 価格設定と価格交渉
B2Cでは表示価格で販売されることが多いのに対し、B2Bでは取引条件や購入量に応じて価格が個別に設定されます。
B2Cでは、表示価格での購入に加え、対象を限定しないキャンペーンや割引が適用となります。
一方、B2Bではボリュームディスカウントや段階的な価格設定など、企業ごとに異なる価格設定がなされます。
ShopifyのB2B機能では企業ごとに異なる価格やカタログを設定でき、数量に応じた価格調整や購入条件の管理にも対応しています。
7. 支払い条件と決済方法
B2Cでは即時決済が中心であるのに対し、B2Bでは請求書払いや後払いなど企業向けの支払条件を利用できます。
B2Cでは、クレジットカードのほかGoogle Pay(グーグルペイ)、PayPay(ペイペイ)を始めとしたデジタルウォレットなど、その場で決済が完了する支払い方法が一般的です。
一方、B2Bでは銀行振込や請求書払いなどが主流で、一定期間後に支払う後払い(Shopifyでは7日、15日、30日、45日、60日、90日後が選択可能)も広く利用されています。
ShopifyのB2B機能では企業ごとに異なる条件を設定および管理できます。
8. 顧客維持とリピート注文
B2Cでは単発購入が多いのに対し、B2Bでは継続的な取引や定期的な再注文が発生しやすい点が大きな違いです。
B2Cでは必要に応じて単発で購入されるケースが多く、継続的な購入は商品やブランドへの満足度に左右されます。
一方、B2Bでは業務上の必要から継続的に商品を仕入れるケースが多く、定期的な再注文が発生しやすい傾向にあります。そのため、B2Bでは安定した取引関係の構築や、スムーズに再注文できる仕組みの整備が重要です。
ShopifyのB2B機能では過去の注文履歴や条件を確認しながら簡単に再注文できます。
9. マーケティングと獲得チャネル
B2Bでは関係構築や専門性の高い情報提供を重視するのに対し、B2Cでは幅広い顧客への認知拡大や感情に訴えるマーケティングに注力します。
B2Bでは、専門性の高い情報提供や課題解決型のコンテンツを通じて長期的な関係構築を目指します。製品仕様や導入メリット、ROI(投資対効果)など、業務上の課題解決につながる情報提供が重要です。
一方、B2CではSNSや広告などを活用した、短期間での認知拡大や購買促進が重視されます。ライフスタイルやブランドイメージ、感情的な価値を訴求するコンテンツも多く活用されています。
また、B2Bでは複数の担当者が購買に関与するため、長期的な検討プロセスを前提としたマーケティングが必要になります。一方、B2Cでは比較的短期間で購入につながるケースが多く、スピード感のある施策が重視されます。
近年はB2B・B2Cを問わず、広告に加えてコラボレーションや紹介施策、インフルエンサーマーケティングなど、多様なチャネルを組み合わせたマーケティングが行われています。
さらに、新規顧客獲得と顧客の維持を連動した施策として捉え、購入前後を含めたカスタマージャーニー全体を最適化する取り組みも広がっています。
10. カスタマーサポート
カスタマーサポートにおいて、B2Cでは迅速な顧客対応が重視されるのに対し、B2Bでは専門的かつ継続的なサポートが求められます。
B2Cでは、AIを活用したチャットなどによる即時対応が一般的です。
一方、B2Bでは複数の関係者への対応や製品説明、導入支援など、より専門的な説明や継続的なサポートが求められます。また、近年はB2Bにおいても、顧客自身が情報確認や注文管理を行えるセルフサービス機能の需要が高まっています。
11. 規制とコンプライアンス
B2C・B2Bを問わず、EC運営ではセキュリティや個人情報保護への対応が必要です。さらにB2Bでは、契約管理や請求処理など、より複雑な運用要件に対応する必要があります。
日本では、個人情報保護法に基づくデータ管理に加え、決済においてはPCI DSS(クレジットカード情報を安全に扱うための世界共通のセキュリティ基準)やクレジットカード・セキュリティガイドラインの準拠が求められます。
B2Bではこれに加え、インボイス制度や電子帳簿保存法への対応、請求書管理、税務処理など、企業間取引特有の運用要件も発生します。
12. プラットフォームとシステム連携
B2BはB2Cに比べて、より多くの業務システムとの連携が必要になる点が大きな違いです。
B2Cでは、主にECサイト、決済、配送システムの連携が中心となり、比較的シンプルな構成が一般的です。
一方、B2Bでは、ERP(EC、店舗販売、卸売などのデータを統合し、企業全体の取引と在庫を一元管理する仕組み)やCRM(顧客管理)などの基幹システムに加え、商品情報管理、見積もり、価格設定の仕組みなど複数のシステムとの連携が求められます。さらに、企業間取引に特有の発注フローやデータ連携にも対応する必要があります。
13. 顧客生涯価値
B2Cは多くの顧客から継続的に売上を得るのに対し、B2Bは少数の顧客との長期取引によって高い顧客生涯価値(CLV)を目指すことができます。
B2Cでは多くの顧客を獲得し、リピート購入を促進することによって安定した売上につなげます。
一方、B2Bでは顧客数は限られますが、取引金額が大きく、長期的な関係性や契約更新、追加提案を通じて収益を拡大できます。
14. 配送とフルフィルメント
B2Cでは配送スピードや利便性が重視されるのに対し、B2Bでは納期の正確性や契約に基づく配送対応が重視されます。
B2Cでは迅速な配送や送料無料など、利便性の高さが重視されます。また、オンライン注文後に店舗で商品を受け取るBOPIS(Buy Online Pick-up In Store)など柔軟な受け取り方法へのニーズも高まっています。
一方、B2Bではスピードや価格よりも、配送の正確性や安定性が重視されます。例えば、契約に基づく配送対応や、指定された受け取り時間での納品、事前出荷通知(ASN)、EDIによる受発注、出荷などのステータス更新などが求められます。
B2BとB2Cを融合したハイブリッドモデル
近年は販路の拡大、顧客との関係強化、業務効率の向上を目的に、B2BとB2Cを組み合わせた「ハイブリッドモデル」を採用する企業が増えています。
統合型のコマースプラットフォームを活用することで、複数の販売チャネルや販売モデルを一元管理でき、1つのブランドでB2BとB2Cの両方に対応することが可能になります。
B2B2Cビジネスモデルとは
B2B2C(Business to Business to Consumer)モデルとは、ブランドが小売業者やマーケットプレイスに商品を提供し、そのパートナーを通じて最終消費者に販売する仕組みです。従来の卸売と比べて、ブランド側も顧客接点を持ちやすく、顧客データや体験のコントロールがしやすい点が特徴です。
ShopifyのB2B機能を活用すれば、企業ごとの価格設定、カタログ、支払い条件を柔軟に管理しながら、卸売とDTCを同一の管理画面で運営できます。これにより、オムニチャネルでの販売体制を構築することが可能になります。
従来B2B中心だったブランドがDTCチャネルを展開する動きも増えており、顧客からのフィードバックやデータを直接取得しやすくなり、収益機会の拡大にもつながっています。
Shopifyを活用すれば、B2B運営を継続しながらDTCストアを立ち上げることができ、複数の販売モデルを効率的に管理できる点が、販売戦略上の大きなメリットといえます。
統合型のコマースプラットフォーム
統合型のコマースプラットフォームとは、販売チャネルや業務システムを1つの基盤で管理する仕組みを指します。
従来は店舗、EC、在庫、顧客管理などを別々のシステムで運用し、それらを連携させる形が一般的でした。一方、統合コマースでは商品、注文、顧客データを一元管理できるためB2BとB2Cの両方において、一貫した顧客体験を提供しやすくなります。
Shopifyを活用すれば、これらのデータや販売チャネルを単一の管理画面で管理でき、B2BとDTCの運営を効率化できる点がメリットです。
また、顧客特性が異なるB2CとB2BのECにおいて、顧客データやプロフィール情報をもとにパーソナライズされた体験を設計できるため、B2Bでの購入者あたりの売上(GMV)向上にもつながります。
まとめ
B2BとB2CのECは、対象顧客をはじめ価格、意思決定、購買動機などの面で大きく異なり、それぞれに適した運用やマーケティングが求められます。
B2Cは幅広い顧客への認知拡大と購買促進を重視するのに対し、B2Bは特定企業との継続的な関係構築を前提とした取引が中心です。
そのため、B2Bでは価格設定や契約条件、システム連携など、より複雑な運用が必要になります。
ShopifyのB2B機能を始めとした、B2BとB2Cを統合するハイブリッドモデルや統合コマースを活用し、複数チャネルを一元管理して効率化と売上拡大を図りましょう。
B2BとB2C ECの違いに関するよくある質問
B2BとB2CのECの違いは?
B2Bは「企業間での大口かつ継続的な取引」、B2Cは「個人向けの迅速でシンプルな購入」という違いがあります。
B2B ECは、メーカーや卸売業者など企業同士の取引を指します。取引金額が大きく、価格交渉や承認フローが発生することも多いため、購入までに時間がかかる傾向があります。
一方、B2C ECは、企業が一般消費者へ直接商品を販売する形態です。価格は固定されていることが多く、その場で決済まで完了するなど、スピーディーな購買体験が重視されます。
B2BとB2Cを同じECサイトで運営できる?
Shopifyでは、B2CとB2Bを同じ環境でまとめて管理・運用できます。
例えば、同一ストア内で以下のような管理が可能です。
- B2CまたはB2B向けの価格・カタログの表示
- 企業ごとの価格設定や数量割引
- B2B向けの請求書払い・後払い設定
- 企業ごとのアカウント管理
- 注文履歴を利用した再注文機能
- 在庫・顧客・注文データの一元管理
- ERPや受注管理システムとの連携
B2BとB2Cを組み合わせた販売モデルはどんな企業向け?
既にB2BまたはB2Cのどちらかで事業を展開しており、新たに販路拡大やD2C(Direct to Consumer)販売を検討している企業に向いています。
例えば、卸売中心だったメーカーが自社ECを立ち上げたり、D2Cブランドが法人向け販売を開始する場合などがあります。
近年は、販路拡大や顧客接点の強化を目的に、B2BとB2Cを組み合わせた販売モデルを導入するメーカーやブランド企業が増えています。
B2BとB2Cを同時に運営するメリットは?
B2BとB2Cの販売モデルを併用することで、法人向け・消費者向けの両方に販売でき、販路拡大につながります。
例えば、B2Bでは継続的な大口注文による安定した収益を確保しながら、B2Cでは幅広い消費者向けに販売を行うことでブランド認知の拡大を目指せます。
Shopifyでは、B2BとB2Cを同じストア内で運用でき、価格、カタログ、支払条件などを顧客ごとに表示し分けることができます。注文や顧客データも統合管理しやすいため、複数チャネルを効率的に運営しやすい点もメリットです。




