近年、SNSは企業と顧客をつなぐコミュニケーションの場にとどまらず、商品の認知拡大や購買促進を支える重要なマーケティング戦略として活用されています。SNS上で情報発信から商品販売までを一貫して実施できるソーシャルコマースを導入することで、販売導線を短縮でき、カゴ落ち率の低下やコンバージョン率の向上が期待できます。
ソーシャルコマースで成果を上げるためには、自社の目的やターゲットに合わせて適切なプラットフォームを選び、効果的な施策を実施することが重要です。
この記事では、ソーシャルコマースの概要や成功事例に加えて、主要のソーシャルコマースプラットフォームの特徴や、Shopify(ショッピファイ)でソーシャルコマースを強化する方法を分かりやすく解説します。

ソーシャルコマースとは
ソーシャルコマースとは、SNS上で商品やサービスを販売する仕組みです。SNSを単なる情報発信の場としてではなく、商品の認知から購入までを支える販売チャネルとして活用する手法を指します。
ソーシャルコマースの最大のメリットは、購買までの導線を短縮できることです。商品を紹介する投稿やショート動画、ライブ配信に商品タグを追加できるため、興味を持ったユーザーをスムーズに購入へつなげられ、購入機会の損失を抑えられます。
また、インフルエンサーマーケティングやUGC(ユーザー生成コンテンツ)の活用など、SNSならではのマーケティング戦略を展開できる点も強みです。実際の使用感やレビューを自然な形で伝えられるため、ブランド認知度の拡大だけでなく、消費者からの信頼獲得や購買意欲の向上にもつながります。
ソーシャルコマースの成功事例10選
1. 兵庫県豊岡市
兵庫県豊岡市は、TikTok Shop公式パートナーのIZULCA(イヅルカ)と連携し、TikTok Shopを活用した地域産品のライブコマースを実施しました。ライブ配信には豊岡市長や地元事業者が出演し、豊岡産の米や特産品を紹介するとともに、視聴者から寄せられたコメントや質問へリアルタイムで回答しながら販売を進めました。また、ライブ配信前には14本のショート動画を投稿し、商品の魅力や地域の様子を発信したほか、ライブ中にはクーポン配布や追加販売も実施しました。
その結果、2日間計6時間のライブ配信で累計10万回視聴、売上500万円弱を達成しています。主力商品の豊岡産米は想定在庫の4倍以上を販売し、事前に公開したショート動画も累計152万回再生を記録しました。
2. Cellest
ライブコマース事業を展開するCellest(セレスト)は、「ぞうねこちゃんねる」でTikTok Shopを導入し、ライブ配信の視聴から商品購入までをアプリ内で完結できる購買体験を構築しました。
以前は購入の際に外部ECサイトへ遷移する必要があり、決済までの手順の多さからユーザーが途中離脱してしまうという課題を抱えていました。TikTok Shopを導入したことで購入までの導線の短縮化に成功し、その結果、月間GMV(流通総額)は2億円超、広告のROI(投資利益率)は67倍を達成しました。約8割のリピート率と毎月1,000人以上の新規購入者獲得にもつながっています。
3. 味源
食品メーカーの味源は、「自然の館 Yahoo!ショッピング店」のLINE公式アカウント運用を見直し、メッセージ配信からの売上拡大に取り組みました。従来はセール当日のみ情報を配信していましたが、前日の事前告知、当日午前のクーポン配信、当日午後のリマインド配信へと配信設計を変更しています。また、カルーセル型のカードタイプメッセージを活用し、最も訴求したい商品を1枚目に配置するなど、配信内容や表示順も最適化しました。
その結果、LINEメッセージ経由の売上は5倍以上に増加し、カードタイプメッセージではクリック率2倍、売上3倍以上を記録しています。
4. 中川政七商店
中川政七商店は、LINE公式アカウントとLINEミニアプリのデジタル会員証を組み合わせ、店舗とECを横断したCRM基盤を構築しました。以前はウェブ経由での会員登録が必要であったため、ユーザーから手間がかかるといった意見がありました。そこでユーザーが使い慣れているLINEから会員証を発行できるよう整備したところ、会員登録率は3倍、LINE公式アカウントの友だち数は45万人に増加しました。
また、会員登録や購買を通じて取得した顧客情報や購買履歴などのファーストパーティデータを活用し、パーソナライズされた配信を実施しています。例えば、内祝いを購入した顧客には、その後の利用シーンに合わせた商品を案内するなど、顧客一人ひとりの購買行動に応じたコミュニケーションを展開することで、LINE経由の売上を大幅に拡大しています。
5. anveil
サインボードブランド「PIECE OF SIGN(ピースオブサイン)」を展開するanveil(アンヴェイル)は、Pinterestの比較検討キャンペーンを活用し、新規顧客の獲得に取り組みました。広告用クリエイティブに加え、施工事例などのオーガニック投稿も広告に活用し、配信成果をもとにクリエイティブの差し替えを継続的に実施しています。また、商品単体ではなく、設置後の空間イメージや利用シーンが伝わるビジュアルを中心に配信しました。
その結果、Pinterest経由の合計注文金額は3.5倍、新規ユーザー数は42.41%増加しました。
6. RABO
猫向けIoTデバイス「Catlog(キャトログ)」を展開するRABO(ラボ)は、Pinterest Performance+を活用し、広告配信の最適化を行いました。猫を飼っているオーナー層を対象に、カルーセル広告やアイデアアド、装着方法を紹介する動画、猫の日常を紹介する動画など複数のクリエイティブを制作し、A/Bテストを実施しました。
配信成果をもとにクリエイティブを継続的に改善しながら運用を進めた結果、コンバージョン数が増加し、CPA(顧客獲得単価)は51%減少、ROAS(広告費用対効果)は1.47倍に改善しました。
7. うめひかり
和歌山県で梅干しを販売するうめひかりは、YouTubeショッピングを導入し、動画内で紹介した商品にタグを設定することで、YouTubeからECサイトへワンタップで遷移できる導線を構築しました。また、YouTube Shortsの活用や動画更新頻度の向上にも取り組んだことでECサイトへの流入増加に成功したほか、梅干しの作り方や保存方法など顧客に有益な情報を発信し、ブランドロイヤルティの醸成を図っています。
その結果、2024年6月におけるYouTube経由のEC月商は前年比約66%増を記録しています。
8. PAL CLOSET Online Store
オンラインショッピングサイトのPAL CLOSET Online Store(パルクローゼットオンラインストア)は、Meta Advantage+ショッピングキャンペーンを活用し、広告配信の最適化に取り組みました。クリエイターによる着用動画や商品紹介コンテンツを活用したパートナーシップ広告を展開するとともに、MetaのAIによる配信最適化を組み合わせることで、FacebookやInstagram上で新規顧客との接点拡大を図っています。その結果、CPAは50%削減、ROASは2.1倍に改善しました。
9. nosh
冷凍弁当やスイーツの宅配食サービスを提供するnosh(ナッシュ)は、Xを新規顧客獲得チャネルの一つとして活用し、SNSからECサイトへの導線を構築しています。毎週の新メニューを動画付きで発信するほか、フォロー&リポストキャンペーンやクイズ企画など、ターゲットオーディエンスの興味、関心を引くユーザー参加型の施策を継続的に実施しています。キャンペーン投稿には専用購入ページへのリンクを掲載し、XからECサイトへスムーズに遷移できる導線を設計しました。
その結果、X広告のラストクリック経由による新規顧客獲得数が4.8倍に増加しています。動画投稿やキャンペーン施策を通じてユーザーとの接点を創出し、ECサイトへの送客と新規顧客獲得を実現した好例です。
10. LOWYA
インテリアブランドのLOWYA(ロウヤ)は、Instagramを重要な顧客接点として位置付け、新商品やコーディネートの紹介、インテリアの活用方法などを継続的に発信しています。投稿に商品タグを付け自社ECサイトの商品ページへ遷移できる導線を整備するとともに、Instagramライブを活用した商品紹介やUCGのECサイト掲載など、SNSとECを連携した施策を積極的に展開しています。
その結果、SNS上で商品に興味を持ったユーザーをスムーズにECサイトへ誘導できる環境を構築し、購買機会の創出だけでなく、ブランドへの愛着やファンコミュニティの形成にもつなげています。
ソーシャルコマースで活用される主要SNS
Instagramは、写真や動画による訴求に強みがあるSNSで、アパレルやインテリア、コスメなどのビジュアル商材と相性が良い点が特徴です。投稿から商品ページに自然と誘導できるため、商品の魅力を視覚的に伝えながら、認知拡大から購買促進までを一貫して進めたい企業に適しています。
主な機能や活用方法
- Instragramショッピング:プロフィール上にショップを開設し、自社ECサイトへ誘導する
- 商品タグ:フィード投稿やリール、ストーリーズに商品を紐付け、ユーザーが商品ページに直接アクセスできるよう整備する
- リール、ストーリーズ:顧客の課題解決につながる投稿をしたり、UGCをシェアしたりして、商品の認知拡大や興味喚起につなげる
- クリエイターマーケットプレイス:自社のターゲット層や商品と相性の良いクリエイターと連携し、インフルエンサーマーケティングを展開する
TikTok
TikTokは、Z世代を中心とした若年層に人気がある動画SNSです。ユーザーの興味関心に応じたコンテンツが表示されるため、フォロワー外への拡散力が高く、話題性を活かして短期間で認知拡大や販売促進を図りたい企業に適しています。商品発見から購買までをアプリ内で完結できるため、ユーザーの購買意欲が高いタイミングを逃さずに販売までつなげられます。
主な機能や活用方法
- TikTok Shop:アプリ内にEC機能を構築し、動画視聴から商品購入までをシームレスにつなげる
- ライブコマース:ライブ配信中に商品を紹介しながら、リアルタイムに販売する
- ショップタブ:ブランドの商品一覧を表示し、商品を探しやすい環境を整備する
- TikTok Shopアフィリエイト:クリエイターと連携し、商品の販促や販路拡大を図る
Facebookは30~50代を中心に利用されている実名登録制のSNSです。ビジネスやフォーマルな情報発信の場として活用されるケースが多く、B2B商材や教育サービスなど、信頼性が重要な商材や詳しい情報提供が求められる商材に向いています。
主な機能や活用方法
- Facebookショップ:オンラインショップを開設し、商品の検索から購入までの導線を整備する
- 商品タグ:投稿と商品を紐付けて、商品ページへ誘導する
- Meta広告:ターゲットに合わせた広告配信で認知拡大や購買促進を図る
- Messenger:商品に関する問い合わせや購入前後のサポートに活用する
YouTube
YouTubeは、長尺動画やショート動画、ライブ配信など多様な形式で情報発信できる動画SNSです。検索エンジンとして活用されることも多く、商品のレビューや比較、使い方といった視覚的ノウハウを求めるユーザーに利用されることが多い点が特徴です。機能や使用方法の説明が重要な商品や比較検討されやすい商品に適しています。
主な機能や活用方法
- YouTubeショッピング:チャンネル内に商品一覧を掲載し、ECサイトへ誘導する
- 商品タグ:動画やYouTube Shorts、ライブ配信に商品を紐付け、視聴から購買までの導線を整備する
- ライブ配信:リアルタイムで商品の魅力を紹介し、購入を後押しする
- アフィリエイトプログラム:クリエイターとコラボレーションし、商品やブランドの認知拡大を図る
Pinterestは、画像や動画を通してアイデアを探すビジュアル検索プラットフォームとして機能するSNSです。インテリアやファッション、DIYなど、見た目やデザイン、完成イメージを視覚的に伝えやすい商材と相性が良いです。明確な目的を持って情報収集するユーザーが多いため、購買意欲が高く、販売につなげやすい点が特徴です。
主な機能や活用方法
- プロダクトピン:価格や在庫情報を表示した商品情報を掲載する
- ボード機能:複数のピンをカテゴリー別にまとめて、商品カタログとして活用する
- 商品タグ:投稿に商品ページをリンクして、商品発見から購買までの導線を整備する
- 認定ショッププログラム:承認を受け、ソーシャルプルーフを強化する
LINE
LINEは日本国内で広く浸透しているコミュニケーションアプリで、顧客との継続的な接点を持てる点が強みです。プッシュ通知機能によりメッセージの開封率が高く、クーポンやセール情報を効果的に配信できます。LINEをECサイトと連携し顧客データを活用することで、パーソナライズされた情報を直接配信できるため、顧客満足度の向上や長期的な関係構築を重視する企業にも適しています。
主な機能や活用方法
- LINE公式アカウント:メッセージやクーポン、キャンペーン情報を配信する
- CRMオプション:顧客属性や行動履歴に応じて配信内容を出し分ける
- LINEミニアプリ:予約や注文確認、会員証などの機能をLINE上で提供する
- リッチメニュー:ECサイトやキャンペーンページへの導線を設計し、再来訪を促進する
X
Xはリアルタイム性と拡散力に強みを持つSNSです。ユーザー参加型企画やキャンペーンといった施策が実施しやすく、短期間で情報を広く拡散できるため、商品の話題化や認知拡大に効果的です。また、アンケート機能やコメントなどを活用することで双方向のコミュニケーションを図りやすく、顧客のファン化や顧客ロイヤルティの向上を目指す企業にも適しています。
主な機能や活用方法
- X広告:商品やキャンペーンに関心を持つユーザーへ広告を配信し、サイト訪問や商品購入を促す
- ハッシュタグ:商品名やキャンペーン名に関連するハッシュタグを設定し、ユーザーによる検索や投稿への参加を促す
- リポストや引用投稿:商品に関する投稿や反応を取り上げ、UGCの拡散やブランドへの関心向上につなげる

Shopifyでソーシャルコマースを強化する方法
販売チャネルを一元管理する
ShopifyではInstagramやFacebook、TikTok、YouTubeなどと連携し、商品情報や在庫、注文情報を一元管理できます。商品情報を更新すると各販売チャネルに自動で反映されるため、SNSごとに個別で登録、更新する手間を削減できます。
また、販売チャネルごとの売上や注文状況もShopifyの管理画面から確認できるため、運用効率を維持しながら販路を広げられます。
Shop Payで購入体験を向上する
Shop Payを活用することで、SNSからECストアへ訪れたユーザーがスムーズに購入できるようになります。配送先や決済情報が安全に保存されるため、ユーザーはこれらの情報を繰り返し入力する必要がなく、カゴ落ちの防止やコンバージョン率の向上が期待できます。
また、顧客アカウントと組み合わせることで、保存済みの情報を利用したスムーズなログインも可能になり、利便性の高い購入体験を実現できます。
顧客データを活用してマーケティングを最適化する
Shopifyでは、顧客情報や注文履歴などのファーストパーティーデータを活用し、顧客属性や購買行動に応じたマーケティング戦略を実施できます。顧客セグメンテーションによって顧客をグループ化でき、メール配信やディスカウント施策などに活用できます。
また、販売チャネルごとの売上や流入状況をレポート機能で分析することで、SNS施策の成果を把握し、マーケティング施策の改善につなげられます。
Shopify Audiencesで広告ターゲティング精度を高める
Shopify Audiences(英語)を活用することで、購買意欲の高いユーザーに絞って広告を配信できます。Shopifyで蓄積された顧客データをもとに、商品を購入する可能性が高いユーザーのオーディエンスリストを作成し、InstagramやFacebook、TikTok、Pinterestなどの主要な広告プラットフォームで利用できます。新規顧客獲得や広告効果の最適化が期待できます。
※2026年7月時点では、日本での利用は開始されていません
まとめ
ソーシャルコマースで成果を上げるためには、自社の商材やターゲットに適したプラットフォームを選び、それぞれの特性を活かした運用を行うことが重要です。また、インフルエンサーキャンペーンやUGC、ライブ配信、広告配信などの施策を組み合わせることで、SNS上での接点を広げながら、ECサイトへの送客や売上拡大につなげられます。
Shopifyを利用している場合は、各ソーシャルセリングプラットフォームと連携することで、商品情報の同期や販売導線の構築、効果測定などを効率的に進められます。ソーシャルコマースを本格的に展開したい場合は、こうした連携機能も積極的に活用してみてください。
ソーシャルコマースの事例に関するよくある質問
ソーシャルコマースとは?
ソーシャルコマースとは、SNS上で商品やサービスを販売する仕組みです。商品の認知拡大から販売までを一貫して実施し、投稿やユーザーとのコミュニケーションを通じて購買を促進します。
ソーシャルコマースのメリットは?
- 商品の認知拡大から購入までの導線を短縮できる
- ECサイトへの送客や購買機会の創出につながる
- インフルエンサーキャンペーンやUGCを活用し、消費者の信頼を獲得しやすい
- ショート動画やライブコマースなど、多様なコンテンツで商品の魅力を伝えられる
- 顧客との継続的なコミュニケーションを通じて、リピート購入やLTV向上を目指せる
- 広告配信や効果測定を組み合わせることで、継続的な改善を図りやすい
ソーシャルコマースで活用される主要SNSは?
- TikTok
- Youtube
- LINE
- X




