ソーシャルコマースに活用できるプラットフォームは年々増えており、それぞれ利用者層やコンテンツの特性、強みとする販売手法は異なります。そのため自社に適したプラットフォームをどう判断していいのか悩む企業担当者も少なくありません。
ソーシャルコマースで成果を上げるためには、単に利用者数の多いプラットフォームを選ぶのではなく、自社のターゲット層や商材、運用体制に合ったものを選ぶことが重要です。
本記事では、ソーシャルコマースプラットフォームの概要やメリットをはじめ、主要なプラットフォームの特徴や選び方、活用事例まで詳しく紹介します。

ソーシャルコマースプラットフォームとは
ソーシャルコマースプラットフォームとは、SNSとEC機能を統合した、SNSチャネル上で商品やサービスを直接販売できるプラットフォームのことです。商品カタログの掲載や動画への商品タグ付け、ライブコマースなどの機能が搭載されており、情報発信から商品販売までを一貫して実施できる点が特徴です。代表的なソーシャルコマースプラットフォームには、Instagram(インスタグラム)やTikTok(ティックトック)、Facebook(フェイスブック)、YouTube(ユーチューブ)などがあります。
近年はSNSが単なるコミュニケーションツールではなく、商品やブランドを発見する場として利用されるケースが増えています。実際に、ショート動画やライブ配信、インフルエンサーによる商品紹介をきっかけに購入へ至る消費者も少なくありません。企業にとっても、ユーザーが日常的に利用するSNS上で自然な形で商品を訴求できるため、新たな販売チャネルとして注目されています。

ソーシャルコマースプラットフォームを活用するメリット
- 商品発見から購入までの導線を簡素化できる:SNS上で商品を見つけそのまま購入ページへ遷移できるため、購入までの導線を短縮でき、カゴ落ちや離脱の防止につながります。
- 潜在顧客へアプローチしやすい:SNSのレコメンド機能を通じて、自社の商品を知らないユーザーにも情報を届けられます。新規顧客獲得にも有効です。
- コンテンツを活用して自然に商品を訴求できる:動画や投稿、ライブ配信などを通じて商品の魅力を自然に伝えられるため、押し付け感なく訴求できます。
- ソーシャルセリングを実践しやすい:コメントやダイレクトメッセージなどを通じてSNS上で顧客との関係を構築しながら販売につなげられます。

主要なソーシャルコマースプラットフォーム8選
1. Instagram
Instagramは、世界で約30億人規模のユーザー基盤を持つソーシャルコマースプラットフォームです。写真や動画を活用したビジュアル訴求との相性が良く、アパレルやインテリア、コスメなどの商材に適しています。Instragramショッピングを活用することで、認知拡大から販売までを一つのプラットフォームで担える点が大きな強みです。
主な活用法
- Instagramのショップ機能を活用して、プロフィール上で直接商品を販売できる環境を構築する
- 投稿やリールに商品タグを設定し、購買導線を簡略化する
- リールを通じて新規ユーザーとの接点を増やし、商品発見を促進する
- UGC(ユーザー生成コンテンツ)やクリエイターコンテンツを活用し、商品の信頼性を高める
Facebook & Instagramを使ってShopifyとInstagramを連携することで、商品カタログや在庫情報を一元管理しながら、Instagramショップや商品タグを運用できます。さらに、Shopifyの商品情報をもとに広告配信も行えるため、商品発見から購入までの導線を構築し、一貫したソーシャルコマース施策を展開できます。
2. TikTok
TikTokは、月間アクティブユーザー数20億人を誇るプラットフォームで、10~20代の若年層を中心に活用されています。短尺動画を活用したエンターテインメント性の高いコンテンツが特徴で、フォロワー外への高い拡散力に強みを持っています。ショップ機能も実装されているため、Z世代向けの事業者を中心に、認知拡大から購買促進まで幅広い目的で活用されています。
主な活用法
- TikTok Shopを活用し、アプリ内にEC機能を構築する
- TikTok Shopアフィリエイトでクリエイターやインフルエンサーと連携し、認知獲得を図る
- ライブコマースを活用して商品説明や質疑応答を行い、ユーザーの購買意欲を高める
- ハッシュタグチャレンジなどユーザー参加型企画を実施し、認知拡大やUGCを促す
TikTokアプリを使ってShopifyとTikTokチャネルを連携すると、商品や在庫、注文情報をShopifyで一元管理しながら、TikTok Shopで商品を紹介できます。動画やライブ配信を活用した販売施策を効率的に運用し、商品発見から購入までをスムーズにつなげられます。
3. Facebook
Facebookは、月間利用者が30億人を超えるプラットフォームで、日本国内では主に30代以降の世代に活用されています。実名登録制なため、教育商材やB2Bといった信頼性が重要になるビジネスや、サロンや飲食店など地域密着型のビジネスに適しています。
主な活用法
- Facebookショップで商品発見から購入までの導線を整備する
- Meta広告と組み合わせて、ターゲットユーザーへ効率的に商品を訴求する
- Meta Payを導入し、チェックアウトプロセスを簡略化する
- グループ機能を活用し、商品やブランドに関心を持つユーザーを集めたコミュニティを構築し、交流促進やビジネスページの認知度拡大につなげる
- 飲食店やサロンを運営している場合、予約機能を使ってスムーズな来客を実現する
Shopifyストアを運営している場合、アプリを使ってShopifyとFacebookを連携すれば、商品情報をShopifyで一元管理できます。ショップ、広告、商品カタログを組み合わせた販促施策を展開できるため、認知拡大から購入促進までを一貫して実施できます。
4. YouTube
YouTubeは、25億人以上のユーザーが利用する世界最大級の動画プラットフォームです。長尺動画だけでなく、YouTube Shorts(ユーチューブショート)やライブ配信にも対応しており、商品の使い方やレビューなど実際の使用感やイメージが伝わるコンテンツを配信することで、ユーザーに効果的に訴求できます。
主な活用法
- YouTubeショッピングを活用して、チャンネル内にオンラインストアを構築する
- 動画に商品タグを表示し、スムーズな購買体験を実現する
- ライブコマースを活用して、購買意欲が高いタイミングで購買を促す
- アフィリエイトプログラムでクリエイターと連携し、商品やブランドの認知拡大を図る
Google & YouTubeを使ってShopifyとYouTubeを連携することで、Shopifyの商品情報をYouTubeに同期し、動画やYouTube Shorts、ライブ配信に商品を表示できます。商品情報はShopifyで一元管理できるため、最新の情報を反映しながら商品を訴求でき、視聴から購入までをスムーズにつなげられます。
5. Pinterest
Pinterest(ピンタレスト)は、6億人以上の月間アクティブユーザーを持つ探索型プラットフォームです。SNSとしての側面だけでなく、ビジュアル検索エンジンとしても活用されており、ユーザーがアイデアや商品を保存しながら購入を検討できる点が特徴です。
主な活用法
- 商品カタログをアップロードしてプロダクトピン(商品ページとして機能する投稿)を表示し、スムーズな購買を実現する
- ボード機能を使って商品カテゴリー別やシーズン別などにまとめ、商品カタログとして活用する
- 認定ショッププログラムで承認を受け、信頼性の向上を図る
- ショッピング広告を活用して、購入意欲の高いユーザーへ訴求する
Pinterestのアプリを使用してShopifyとPinterestを連携することで、商品カタログを同期し、プロダクトピンとして商品情報を掲載できます。さらに、Pinterestタグを活用したコンバージョン計測にも対応しており、商品掲載の成果を可視化できるため、データに基づいた販売施策が実施できます。
6. X
X(エックス)は、5億7,000万人のユーザーを持つプラットフォームで、リアルタイム性と情報拡散力に強みがあります。X上では直接販売することはできないものの、商品に関する投稿やキャンペーン企画の実施、ユーザーとの交流を通じて、ブランドや商品の認知拡大や興味喚起に活かせます。
主な活用法
- ハッシュタグチャレンジやユーザー参加型キャンペーンを実施し、認知拡大を図る
- プレゼントキャンペーンや割引キャンペーンなどを実施し、ECサイトやランディングページに誘導する
- X広告を活用し、ターゲットユーザーへ商品情報を表示する
- コメントに返信したりユーザーの投稿に反応したりして、ユーザーとの関係構築を図る
現在、Xではショッピング機能が提供されていないため、新商品やセール情報の投稿、キャンペーン告知、広告配信を通じてShopifyストアへ誘導する運用が中心となります。
7. Twitch
Twitch(ツイッチ)は、1億人の月間アクティブユーザーを持つコミュニティ型プラットフォームです。ライブ配信とチャットを通じて視聴者とリアルタイムに交流できる点が特徴で、クリエイターやブランドによる商品紹介やイベント配信に活用されています。
主な活用法
- ライブ配信で商品を紹介したり限定タイムセールを実施したりして、ユーザーの購買意欲を高める
- チャットを活用して視聴者との双方向コミュニケーションを図り、関係構築を図る
- クリエイターとのコラボレーションで商品への関心を高める
- Twitch広告を活用して、配信画面に広告を表示する
販売チャネルとの直接的な連携はありませんが、プロフィールやパネル、ライブ配信からECサイトや商品ページへ誘導することで、商品紹介から購入までの導線を構築できます。
8. LINE
LINE(ライン)は、国内月間アクティブユーザー数が9,800万人にのぼる、国内最大級のコミュニケーションプラットフォームです。企業からのメッセージをユーザーに直接届けられるため、購入後のフォローやリピート購入の促進ができるほか、顧客との継続的な関係構築に活用できる点が強みです。
主な活用法
- 公式アカウントを活用してメッセージ配信やクーポン配布を実施し、顧客との接点を維持する
- AIチャットボットを導入して24時間365日の対応を実現し、顧客満足度の向上を図る
- LINEミニアプリを活用し、会員証や予約、注文などの機能を提供することで、利便性を向上する
- CRMオプションを活用してパーソナライズされた情報配信を実施する
CRM PLUS on LINEを使ってShopifyとLINEを連携することで、購入完了通知や発送通知、カゴ落ち通知、再入荷通知などを自動配信できるほか、顧客データを活用したセグメント配信にも対応できます。

ソーシャルコマースプラットフォームの選び方
ターゲット層で選ぶ
ソーシャルコマースで成果をあげるには、自社のターゲット層が利用しているプラットフォームを選ぶことが重要です。
例えば、Z世代やミレニアル世代を主なターゲットとする場合は、InstagramやTikTokが有力な選択肢です。これらのプラットフォームは若年層の利用率が高く、おすすめ表示されたコンテンツをきっかけに新しい商品やブランドを発見する行動が活発に見られます。
一方、幅広い層へ訴求したい場合はYouTubeが有効です。総務省の情報通信白書令和7年版によると、国内のYouTube利用率は全体的に高く、50代までの各世代では利用者が8割を超えていることが明らかとなっています。
また、既存顧客との継続的な関係構築を重視する場合は、国内利用率が94%を超えるLINEが適しています。日常的に利用されるコミュニケーションツールであるため、キャンペーン情報やクーポン配信を通じてリピート購入を促進しやすくなります。
商材との相性で選ぶ
自社の商材に適したプラットフォームを選ぶことで、効果的に商品やサービスを訴求できます。
例えば、アパレル商品やハンドメイド作品など、写真や動画による視覚的な訴求が重要な商品は、InstagramやPinterestの活用を検討するとよいでしょう。これらのプラットフォームはビジュアル性の高い商材と相性がよく、商品のデザインや使用イメージを直感的に伝えやすい特徴があります。また、ユーザーが商品を保存したり、商品タグから詳細情報を確認したりできるため、商品発見から比較検討までを支援しやすい環境が整っています。
一方で、食品などの購入前の体験や説明が重要になる商品の場合、ライブコマースができるプラットフォームが有効です。食品は実際に食べてみないと魅力が伝わりづらい商品です。ライブコマースなら、配信者が試食や試飲を通して味や香り、食感を伝えられるため、消費者は味のイメージをつかみやすくなります。疑問があればその場で質問できるため、購買障壁を取り除きやすい点もメリットです。
ECサイトとの連携性で選ぶ
ソーシャルコマースを継続的に運用するには、ECサイトとの連携のしやすさも重要です。商品情報や在庫情報、価格情報を手作業で更新する必要があると、運用負担が大きくなり、情報の更新漏れや管理ミスにつながる可能性があります。
そのため、利用中のECサイトと商品カタログを連携できるか、商品情報を各プラットフォームへ同期できるか、広告配信や販売管理と連携できるかを確認しておくとよいでしょう。
ソーシャルコマースプラットフォームを活用した事例3選
- 兵庫県豊岡市:TikTok Shopで2日間のライブ配信から売上500万円弱を達成
- 味源:LINE公式アカウント経由の売上を5倍に拡大
- anveil(アンヴェイル):Pinterest経由の注文金額を3.5倍に向上
1. 兵庫県豊岡市:TikTok Shopで2日間のライブ配信から売上500万円弱を達成
兵庫県豊岡市は、TikTok Shopを活用して特産品のショッピングライブを2日間実施し、累計10万視聴、売上500万円弱を達成しました。ライブ配信では生産者が出演し、視聴者からの質問へリアルタイムで回答しながら商品を紹介したほか、クーポン配布やライブ中の追加販売も実施しています。また、事前に配信したショート動画は累計152万回再生を記録しました。ショート動画による認知拡大とライブコマースを組み合わせ、多くの視聴者を商品購入へつなげた事例です。
2. 味源:LINE公式アカウント経由の売上を5倍に拡大
食品メーカーの味源は、LINE公式アカウントの配信設計を見直したことで、メッセージ配信経由の売上を5倍に伸ばしました。従来はセール当日のみ情報を配信していましたが、事前告知やリマインド配信を組み合わせることで購入機会を創出しています。また、複数の商品を掲載できるカードタイプメッセージを活用した結果、クリック率は約2倍、売上は約3倍に向上しました。既存顧客との継続的なコミュニケーションが売上拡大につながった事例です。
3. anveil(アンヴェイル):Pinterest経由の注文金額を3.5倍に向上
サインボードブランドを展開するanveil(アンヴェイル)は、Pinterestの比較検討キャンペーンを活用し、Pinterest経由の注文金額を3.5倍、新規ユーザー数を42.41%増加させました。同社は広告用コンテンツだけでなく、施工事例などのオーガニック投稿も活用しながら運用を最適化しています。ユーザーが商品を発見し、保存し、比較検討したうえで購入するPinterestならではの購買行動を活かし、ECサイトへの送客と売上向上を実現した事例です。
まとめ
ソーシャルコマースプラットフォームには、それぞれ異なる強みがあります。TikTokでは商品発見から購入までの導線を短縮しやすく、Instagramはブランドの世界観やUGCを活用した訴求に適しています。また、LINEは既存顧客との関係構築、Pinterestは比較検討段階のユーザーへのアプローチに強みがあります。そのため、自社の目的に応じて、ターゲット層や商材との相性、コンテンツの特徴、ECサイトとの連携性などを総合的に考慮しながら選定することが重要です。
実際に、今回紹介したソーシャルコマースの成功事例でも、ライブコマースによる販売促進や既存顧客との継続的なコミュニケーション、比較検討ユーザーへのアプローチなど、それぞれ異なる方法で成果を上げています。まずは自社の目的や顧客に合ったプラットフォームを選び、小規模な施策から検証を重ねていくとよいでしょう。
ソーシャルコマースプラットフォームに関するよくある質問
ソーシャルコマースプラットフォームとは?
ソーシャルコマースプラットフォームとは、SNS上で商品発見から購入までを一貫して行えるシステムやサービスを指します。外部ECサイトに誘導する必要がないため、途中離脱を防ぎ、購買機会の損失を抑えられる点が特徴です。
主要なソーシャルコマースプラットフォームは?
- TikTok
- YouTube
- X
- Twitch
- LINE
ソーシャルコマースプラットフォームを選ぶポイントは?
- 自社のターゲット層が主に利用しているプラットフォームを選定する
- 自社で扱う商材との相性を考慮する
- 自社ECサイトとの連携のしやすさを考慮する




