「マルチチャンネル調査レポート2025年度」では、消費者が企業や店舗から情報を収集する際に最も利用しているチャネルは「メール」であり、全体の75.3%を占めていると報告されています。また、どの年齢層でもメールの利用率が50%を超えており、メールは現在でも重要なマーケティングチャネルであることがわかります。幅広い世代が企業との接点として活用しているメールを、さらに効果的な宣伝方法にするためには、メールのパーソナライズ化が有効です。顧客の課題や趣味嗜好に合致した提案を最適なタイミングでメールで送信することで、開封率やコンバージョン率の向上が期待できます。
この記事では、Shopifyの機能とファーストパーティデータの活用を中心に、効果的なメールのパーソナライズ化を実現する方法を解説します。開封率やクリック率を向上させる手法を押さえ、長期的な顧客関係の構築につながるメールのパーソナライズ戦術を展開しましょう。

メールのパーソナライズ化の効果
パーソナライズへの期待に関するマクロミルの調査では、小売業/モール型ECサービスで「自分に合った情報やおすすめを受け取りたいか」という質問に、回答者の61.0%が「そう思う」、「ややそう思う」と答えました。さらに、自分に合った提案を受けることが「新たな商品やサービスを知るきっかけ」、「興味、関心を持つようになった」と感じる傾向も見られ、クロスセルやブランドロイヤルティの向上には特に、パーソナライズドマーケティングが効果的であることが明らかになっています。
また、McKinseyの調査(英語)では、パーソナライズドマーケティングにより顧客獲得コストを最大50%削減でき、投資収益率(ROI)を最大30%、売上を最大15%増加できると報告されています。
このような調査結果から、メールマーケティングにおいても顧客一人ひとりの情報を分析し、ニーズや好みを反映してパーソナライズ化することは、開封率だけでなく顧客ロイヤルティや顧客生涯価値(CLV)の向上につながるといえるでしょう。

メールのパーソナライズ化の効果的な進め方
- ファーストパーティデータを収集する
- セグメントを自動で変更するシステムを活用する
- メールの件名と本文、オファーをパーソナライズして送信する
- メールと他チャネルを連動させる
- サイト訪問後もパーソナライゼーションを継続する
1. ファーストパーティデータを収集する
ファーストパーティデータとは、顧客が会員登録する際に得られる登録情報や、閲覧履歴や購入履歴など、顧客が自社サイトやアプリ、店舗など、自社のタッチポイントを利用することで入手できるデータです。会員登録時にプライバシーポリシーへの同意を得ることで、法令を遵守しながらデータを活用できます。ファーストパーティデータの活用により、顧客のウェブサイト上での行動から、購入の動機や不満、課題といったより深い洞察が得られるようになります。「【2025年度版】Z世代広告調査レポート(ペンマークと株式会社エニアド共同調査 )」では、約6割が「個人情報を活用した広告を許容できる」と回答しており、個人情報の活用に対する抵抗感が薄れつつあることが示されています。データを積極的に収集し、メールのパーソナライズ化に活用しましょう。
Shopify(ショッピファイ)を利用している場合、顧客がメールアドレスを登録した時点で自動的に顧客プロファイルが生成され、その後の顧客の行動が一元管理されるようになります。
2. セグメントを自動で変更するシステムを活用する
顧客の行動に応じてセグメントを自動更新できるシステムを活用し、ベストなタイミングで最適な提案を配信できるようにしましょう。購買履歴、居住地、ライフスタイル、顧客ステージ、記念日など、複数の切り口で顧客セグメンテーションを行うことが重要です。例えば、以下のようなセグメントが考えられます。
- 購入履歴、閲覧履歴、問い合わせなどの顧客行動
- 居住地、性別、年齢などの人口統計情報
- 趣味、嗜好、ライフスタイル、価値観などの心理的要素
- 新規登録、初回購入、リピート購入など、カスタマージャーニーの段階
- 誕生日や登録日などのイベントや節目
Shopifyを使用している場合、セグメントを事前に設定しておくと、顧客ごとの統合プロファイルデータに基づき自動的に分類されます。また、顧客の行動によってセグメントの変更が必要な場合にも、リアルタイムで移動します。例えば、初回購入者が2回目の購入を行った場合、自動的に「初回購入者」セグメントから「リピーター」セグメントへ移動されます。
3. メールの件名と本文、オファーをパーソナライズして送信する
メールの件名と本文をパーソナライズし、顧客が「自分のためのメールだ」と感じるような工夫を加えてセグメント配信しましょう。特に件名は開封の決め手となる可能性が高いため、入念な工夫が必要です。具体的には、次のようなパーソナライズが可能です。
- 名前の挿入:メールマーケティングツールを活用し、購読者の名前を件名や本文に差し込みましょう。Shopify Messagingを利用している場合、「{{ customer.first_name }}」のようにパーソナライズタグを埋め込むことで自動的に名前が挿入されます。
- 商品レコメンドのパーソナライズ:過去の購入履歴や閲覧行動データを活用して、顧客が関心を持ちそうな商品をレコメンドします。
- 割引やプロモーションのパーソナライズ:初めて購入した顧客に次に使える割引やギフトのオファー、お気に入り登録された商品のクーポンなどを配信できます。
- 購入履歴に基づいたフォローメール:商品購入のお礼とともに、活用事例を紹介したり、実際に商品を使用した感想(レビュー)を求めるメールを送信します。
- トリガーメール:ウェブサイトでのユーザーの行動に基づいた内容を配信します。カゴ落ちやお気に入りに登録したユーザーへのリマインドメール、閲覧した商品の類似商品を紹介するメールなどを配信できます。
4. メールと他チャネルを連動させる
収集したデータを活用してオムニチャネルのパーソナライゼーションを行い、すべてのチャネルで顧客一人ひとりに最適化された体験を提供しましょう。メール購読者の多くは、メールだけでなく複数のチャネルでブランドと接触します。顧客がメールからウェブサイト、SNSなど、別のチャネルに移動したとき、すべてのチャネルで一貫したメッセージを受け取れるだけでなく、他のチャネルでの行動が現在利用しているチャネルにシームレスに反映されていれば、認知から購入までの流れがよりスムーズになります。さらに、リターゲティング広告でも顧客と接触を図り、興味を持っている商品や、その類似商品を表示させることで、効果的なメッセージを発信できます。
5. サイト訪問後もパーソナライゼーションを継続する
メールマーケティングの目的は、ユーザーにウェブサイトを訪問してもらうことです。そのため、メールから遷移して到着するウェブサイトでも、ユーザーごとにパーソナライズされたストアフロントを設定し、最適化された顧客体験を継続できるようにしましょう。 ECサイトのパーソナライズ化は以下のような部分で実現可能です。
- 閲覧履歴や購入履歴から分析したレコメンドの表示、ポップアップクーポンやキャンペーンバナーなどの掲出
- 同じセグメントの顧客が高評価をつけた商品や、関心を持っている商品のレコメンド
- 顧客の地域や環境に合わせた言語、通貨の最適化
さらに、顧客が商品をカートに追加して決済画面に進む際、アカウントにログインしてから数クリックでスムーズに購入を完了できる迅速なチェックアウトを提供することで、コンバージョン率を大幅に向上させることが可能です。
Shopifyのチェックアウトは、競合より平均15%高いコンバージョン率を記録しています。さらにShop Payを組み合わせることで、通常のチェックアウトやゲスト購入よりもコンバージョン率が最大50%向上し、リピート購入する可能性が77%も高くなります。

メールのパーソナライズ化を実現するShopifyツール
コアデータプラットフォーム
Shopifyのプラットフォームは、各チャネルで取得したデータの統合に標準機能で対応しています。主要なSNSやAmazon(アマゾン)、楽天などのECモールとも連携が可能で、すべてのチャネルの顧客データをリアルタイムで自動同期できます。そのため、いつでも最新のデータに基づいて購入履歴や検索履歴を分析してパーソナライズでき、常に顧客のニーズに適合するメールを配信できます。
セグメンテーションツール
Shopifyのセグメンテーションツールでセグメントを設定すると、コアデータプラットフォームで一元化された顧客プロファイルを活用して、自動で顧客を分類してくれます。顧客の情報が更新されると自動でセグメントを移動してくれるため、配信漏れを防ぎ、適切な情報を適切なタイミングで配信できます。管理画面にはあらかじめ便利なテンプレートが用意されており、初めてでも簡単に顧客セグメンテーションを行うことができます。また、ビジネスの成長に合わせてセグメントの調整や削除をすることも可能です。
さらに、ShopifyQL(Shopify Query Language)を使用すると、期間や購入回数など複数条件を掛け合わせた複雑なセグメンテーションも作成できます。
マーケティングオートメーション
- Shopify Messageng:コーディング不要でメールの作成から配信、管理を一元化できるアプリです。カゴ落ちや初回購入後のフォロー、記念日などのメールを、対象のセグメントを選択して配信できます。
- Shopify Forms: Shopifyのサイトに簡単にメールフォームを設置できるアプリです。設置したポップアップや埋め込みのフォームからリード情報を収集し、リアルタイムで顧客プロファイルへ反映します。
- Shopify Magic:AIを活用してマーケティングの運用効率を向上させる無料の機能でShopify のプロダクトとワークフロー全体に統合されています。生成AIを活用してメールの件名や本文、画像を提案してくれます。
- Shopify Flow:顧客管理や注文、在庫管理を自動で行えるワークフロー自動化ツールで、特定の条件を満たした顧客へのクーポンを配信やタグ付けなど、マーケティングや運営にかかわる煩雑な作業を自動化できます。
まとめ
メールは、現在でも効果的に集客が期待できる重要なチャネルです。メールを開封してもらうためには、顧客の登録情報やウェブサイト上での行動などのファーストパーティデータを収集し、メールのパーソナライズ化に活用することが重要です。具体的には、顧客の年齢や性別などの属性データや閲覧履歴、購入履歴から趣味嗜好を分析し、メールの件名や本文を顧客一人ひとりに合わせた内容にして送信しましょう。また、メールから遷移した先のウェブサイトでも、レコメンドやキャンペーンバナーをパーソナライズ表示させることで、訪問した顧客の満足度向上が期待できます。
Shopifyのコアデータプラットフォームやセグメンテーションツール、マーケティングオートメーションツールを有効活用する事で、パーソナライズメール戦略の立案から実行、効果検証、改善までをスムーズに行い、顧客のパーソナライゼーションへの期待に応えるメールを配信できるようになります。本記事を参考にメールのパーソナライズ化を進め、顧客満足度や売上の向上を目指しましょう。
よくある質問
メールをパーソナライズ化する効果はある?
はい、効果が期待できます。消費者の多くは自分に合った情報やおすすめを受け取りたいと思っており、メールのパーソナライズ化はその期待に応える手法です。また、パーソナライズドマーケティングは、顧客獲得コストの削減や投資収益率(ROI)や売上の向上につながります。
メールのパーソナライズ化の効果的な進め方は?
- ファーストパーティデータを収集する
- セグメントを自動で変更するシステムを活用する
- メールの件名と本文、オファーをパーソナライズして送信する
- メールと他チャネルを連動させる
- サイト訪問後もパーソナライゼーションを継続する
メールをどうパーソナライズ化できる?
- 件名や本文に顧客の名前を差し込む
- 過去の購入履歴や閲覧行動データを分析し、客が関心を持ちそうな商品をレコメンドする
- 次回購入時の割引オファーやお気に入りに入れた商品のクーポンなどを配信する
- 購入のお礼に加えて、商品の活用事例の紹介や、使用した感想を求める
- カゴ落ちしたりお気に入りに商品を登録したりしたユーザーへのリマインドや、検索した商品の類似商品を紹介するなど、ウェブサイトでの行動に基づいた内容を配信する




