現代において、インターネットの利用は日常生活や仕事において欠かせないツールとなっています。Web広告だけでなくAIやオートメーションなどを複合的に活用するデジタルマーケティングは、多くの企業やブランドが注目しているマーケティング手法のひとつです。
一方で、インターネット上は情報の流れが早く、効果の出る施策やトレンドが頻繁に変化します。そのため、定番の手法だけでなく、最新のデジタルマーケティング施策を実践しすることが重要です。
この記事では、デジタルマーケティングの意味や代表的な手法についてわかりやすく解説します。最新の手法や成功事例を参考に、集客や販促に役立ててください。

デジタルマーケティングとは
デジタルマーケティングとは、SNSやメール、アプリ、データ分析などデジタル技術を活用して顧客にアプローチするマーケティングのことです。商品やサービスの販売、ブランド認知の向上、顧客との信頼関係構築などさまざまな目的達成のために活用されます。
カナダを拠点とする市場調査会社Precedence Researchの報告(英語)によると、世界のデジタル広告への支出は伸び続けており、2027年には7,800億ドル(約124兆4000億円)に達する見込みとされています。大手企業だけでなく、中小企業や個人事業主も積極的にデジタルマーケティングを活用し、ブランドの認知度向上やエンゲージメント率アップ、収益増加に役立てています。
デジタルマーケティングと従来のマーケティングの違い
デジタルマーケティングはインターネットなどのオンラインチャネルを介しますが、従来のマーケティングは、屋外広告やテレビCM、雑誌や新聞などのオフラインチャネルを使用する違いあります。
デジタルマーケティングは、無料または低コストのインターネットプラットフォームやメディアを活用できるため、従来の広告手法よりも費用対効果が高いところが特徴です。

デジタルマーケティングを活用するメリット
データに基づいた戦略が立てられる
デジタルマーケティングが重要視される理由のひとつに、データに基づいた戦略が立案できる点が挙げられます。例えば次のような指標をデータとして蓄積可能です。
- ウェブサイトの閲覧数(PV)
- 広告のクリック率(CTR)
- コンバージョン率(CVR)
- メールの開封率
- SNSのエンゲージメント(いいね・シェア・コメント)
- ユーザーの滞在時間
データを数値で分析することで、成果がでている施策を把握できます。例えば、クリック率の高い広告の傾向を分析したり、メールが開封されやすい時間帯を特定したりすることで、より効果的なデジタルマーケティング戦略が打てるでしょう。また、A/Bテストを実施しながら、施策を改善していくことで、マーケティングの精度を高めることが可能です。
投資利益率(ROI)の向上が見込める
デジタルマーケティングの実施は、投資利益率(ROI)の向上が見込めます。ROIとは、投資した金額に対して得られる利益率を表す指標です。費用対効果が高いほど、数値は大きくなります。デジタルマーケティングは、分析やデータ収集など、ツールを使って効率化を図れることから、人件費の削減にもつながります。さらに、メールやチャットボットなどで自動化すれば工数削減にもつながるため、利益率の向上が見込めます。
ROIの理想値は業種によって異なりますが、マーケティングにおいては100%が損益分岐点となります。たとえば、広告費として10万円を投資した場合、その広告から得られた利益が20万円なら、投資利益率は200%となります。ある程度安定している事業の場合には、マーケティング投資のROIは200~300%が理想とされています。
広告効果を高められる
市場の変化や最新トレンド、顧客のニーズに合わせてリアルタイムで対応することで、より高い広告効果が得られます。スマホやタブレットから情報収集する消費者が増えたことにより、適切なタイミングでの情報発信や広告配信により、売上や認知度向上を目指せます。
例えば、顧客が閲覧中の商品に使用できる割引情報を提供したり、その場で類似商品をおすすめしたりことで、購買意欲をかきたてる効果が期待できます。また、SNSで話題のトピックに関連した投稿も、幅広い層へリーチすることにつながるでしょう。
さらに、デジタル情報は内容をすぐに修正したり、方向性を変更したりすることが容易です。消費者の反応が悪い施策は軌道修正することや、他の効果的な施策へ予算を回すなどの対応ができるでしょう。マーケティングコストの無駄を避けられるだけでなく、素早く改善することで、当初の予定よりも大きな効果を得られる場合もあります。

デジタルマーケティングの種類
- SNSマーケティング
- SMSマーケティング
- メールマーケティング
- SEOマーケティング
- 検索エンジンマーケティング(SEM)
- コンテンツマーケティング
- アフィリエイトマーケティング
- インフルエンサーマーケティング
- AIマーケティング
- 動画マーケティング
- マーケティングオートメーション(MA)
- パーソナライズドマーケティング
SNSマーケティング
SNSマーケティングとは、主に以下のプラットフォーム上で行われるデジタルマーケティングです。
SNSマーケティングでは、オーディエンスの獲得を促進し、ブランドや商品の認知度の向上が見込めます。発信する内容によっては、ブランドイメージが形成できたり、顧客との交流や信頼関係構築も目指せます。近年では幅広い層の消費者がSNSを利用しているため、SNSは欠かせないマーケティングチャネルのひとつです。一方で、ターゲット層によって利用するプラットフォームが異なることから、ペルソナを慎重に設定する必要があります。
SMSマーケティング
SMSマーケティングは、スマートフォンへのテキストメッセージ(SMS)を活用して、セールやキャンペーン情報を配信する手法です。SMSは、顧客の電話番号宛てに直接メッセージが届き、画面に通知が表示されるため、メールやSNSよりも見逃されにくい傾向があります。新商品のお知らせや、商品購入後の発送通知などにも活用されています。
メールマーケティング
メールマーケティングは、広告費をかけずに見込み客や既存顧客に直接アプローチできるため、比較的コストを抑えられる手法です。メールマーケティングは、主に以下の種類があります。
- メルマガ
- リターゲティングメール
- ステップメール
- 休眠顧客発掘メール
- アフターフォローメール
- カゴ落ちメール
顧客の購買履歴に応じて配信内容を調整できるため、クーポンの配布や商品の紹介など、ターゲティングを調整して販促に活用できます。さらに、商品やサービスの使い方、活用方法などを紹介するコンテンツを配信することで理解を深めたり、継続利用を促したりする役割もあります。
SEOマーケティング
SEOマーケティング(検索エンジン最適化)とは、検索エンジン上で商品やブランドと関連のあるキーワードが上位表示されるように対策する施策です。SEOを最適化すると、ECサイトや商品ページに流入する集客数を増加できる効果があります。検索ボリュームが大きく、収益性の高いキーワードを選定することや競合分析が重要です。SEOライティングで読者に有益なコンテンツを提供することは、ブランドの信頼性向上にもつながります。
検索エンジンマーケティング(SEM)
検索エンジンマーケティング(SEM)とは、検索エンジン上に有料広告を掲載する手法です。SEOは効果が出るまで時間がかかる一方で、SEMは広告費をかけることで、自社サイトを検索上位に表示できます。即効性があるため、短期的に集客を増やしたいときに有効な施策です。SEMでは、クリックごとに費用が発生するクリック課金型広告(PPC)が一般的です。無関係なキーワードから流入が増えると無駄なコストが発生してしまうため、ターゲティングとネガティブキーワードの設定が重要になります。
コンテンツマーケティング
コンテンツマーケティングとは、ユーザーに役立つ情報をコンテンツとして発信する手法のことです。商品やサービスを直接宣伝するのではなく、顧客の課題解決に役立つ情報を提供することでブランドの信頼を高め、最終的な購入につなげることを目的とします。コンテンツの形式としては、次のようなものがあります。
アフィリエイトマーケティング
アフィリエイトマーケティングとは、第三者にサービス・商品を紹介してもらう代わりに、成果に応じて報酬を払うマーケティング手法です。アフィリエイターがブログやSNSなどを通して商品を紹介してくれるため、自社でコンテンツを制作するリソースを削減できます。ブログ記事や動画の制作技術があり、自社のターゲット層から信頼を得ている人を選ぶことが重要です。アフィリエイトプラットフォームからアフィリエイターを探せるほか、直接契約のアフィリエイトプログラムを活用することも可能です。
インフルエンサーマーケティング
インフルエンサーマーケティングは、SNS上で特定の分野・コミュニティに対して影響力のある人物(インフルエンサー)に、自社の商品やサービスを宣伝してもらう手法です。インフルエンサーに依頼する場合は、以下の点に着目しましょう。
- ブランドの価値観やイメージと合っているか
- フォロワー数の規模は最適か
- フォロワーと自社のターゲット層が一致しているか
成果に応じて報酬を支払うアフィリエイトマーケティングとは異なり、影響力やブランドとの親和性を最大限に活用できる点が特徴です。
AIマーケティング
AIマーケティングとは、AIツールを活用してマーケティング戦略を最適化する手法です。AIマーケティングの主な活用方法は以下の通りです。
- 広告のターゲティング
- ワークフロー自動化
- データ分析
- コンテンツ制作
- パーソナライゼーション
- AIチャットボットによる顧客サポート
AIを活用することで業務を効率化すれば、人件費削減だけでなく顧客対応にリソースが割けるため、顧客体験(CX)向上のメリットもあります。一方で、AIに任せきりにするのではなく、事業者の手で修正や改善することが効果的な活用につながります。
動画マーケティング
近年、注目を浴びているデジタルマーケティングの手法の一つに、動画マーケティングが挙げられます。インスタのリールやYouTubeのショート動画などの短い動画だけでなく、ブランドストーリーや舞台裏コンテンツなどの長編動画も広く視聴されています。動画はテキストや画像よりも、商品の使い方やブランドの魅力を視覚的にわかりやすく伝えられる点が特徴です。
動画マーケティングでは、ターゲットオーディエンスやコンテンツの目的を明確にすることが重要です。動画内にロゴを取り入れたり、カラーを統一したりして、ブランドアイデンティティを表現できるように工夫しましょう。
マーケティングオートメーション(MA)
マーケティングオートメーション(MA)とは、マーケティング活動を自動化する手法です。人件費や工数の削減ができるだけでなく、高度な分析や自動化による通知漏れがなくなるといったメリットがあります。具体的には、以下のような施策に活用されています。
Shopifyを利用すると、メールの自動化やパフォーマンス分析などのMAツールが活用できます。
パーソナライズドマーケティング
パーソナライズドマーケティングとは、顧客の興味関心や購買履歴などのデータをもとに、顧客ごとに内容を変えて情報を届けるマーケティング手法です。例えば、ECサイトで閲覧した商品に関連する商品をユーザー別に表示したり、過去の購入履歴に合わせてクーポンを送ったりする方法があります。
顧客一人ひとりに合わせたパーソナライズな商品情報を届けることで、クリック率や購入率の向上が見込めるでしょう。さらに、顧客のニーズに合った提案は満足度を高めてリピーターを増やせる可能性があるため、顧客生涯価値(CLV)向上も期待できます。
デジタルマーケティングの成功例
松井証券
動画マーケティングでの成功例に、松井証券があります。公式YouTubeチャンネルを開設し、難しく感じやすい金融の情報を動画でわかりやすく紹介しています。金融機関という硬い印象の企業の公式チャンネルにお笑い芸人を起用することで話題を集め、視聴者に親近感を与えることにも成功しました。
金融に関する疑問やユーザーの悩みに答えるような形で動画を作っており、再生回数も伸びています。YouTubeにあるレコメンド機能によって動画の拡散を狙い、普段金融商品にあまり興味がない層の視聴者獲得に成功しています。
UNIQLO(ユニクロ)
ファーストリテイリングが運営するユニクロは、AIを使ったデータ分析を活用して成功したデジタルマーケティングの好例です。リアルタイムのデータを分析し、顧客の行動や興味関心に沿ってプロモーションを打つことで、商品販売につなげています。
さらに、スマホアプリ上にはUNIQLO IQ(ユニクロアイキュー)という買い物チャットボット機能を搭載することで、顧客体験(CX)向上を実現しています。商品選びでの悩みや困りごとを相談でき、商品の購入までスムーズに誘導しています。注文状況や配達予定日の確認もでき、顧客の利便性を追求したことで高い評価を得ています。
カンロ株式会社
カンロ株式会社は、マシュマロとグミを組み合わせた商品「マロッシュ」のプロモーションに、インフルエンサーマーケティングを活用しています。主にTikTok上でインフルエンサーが商品を実食する投稿がきっかけとなり、多くのZ世代の消費者が投稿を真似てUGC(ユーザー生成コンテンツ)が生まれました。これによりSNSで認知度を向上させただけでなく、売上目標を大きく上回るという成果を上げています。
まとめ
デジタルマーケティングは、Webサイトやメールなどのデジタルチャネルを介して行われるマーケティングです。特に近年では、多くの企業やブランドがSNSを活用したマーケティングを実施しています。オフラインチャネルを介する新聞や雑誌、テレビCMといった従来のマーケティングと異なり、低コストで販促できる点が特徴です。
デジタルマーケティングは、分析やデータ収集などにツールを使用できるため、投資利益率の向上が見込めるメリットがあります。さらに、データに基づいた戦略を立てやすく、場合によっては素早く軌道修正や改善が可能です。
Shopify(ショッピファイ)には、デジタルマーケティングキャンペーンの開始に使用できるマーケティングツールがあらかじめ備わっています。見込み顧客を見つけるために活用できるだけでなく、マーケティングを自動化したりストア分析を通して販売を強化することも可能です。デジタルマーケティングを効果的に活用して、ビジネスの成長を促しましょう。
デジタルマーケティングに関するよくある質問
デジタルマーケティングとは何かを簡単に言うと?
デジタルマーケティングとは、SNSやメール、アプリ、データ分析などデジタル技術を用いたマーケティングの手法のことです。例えば、ウェブサイトやSNS、検索エンジン、アプリケーション上でのマーケティングを指します。
デジタルマーケティングの最新トレンドは?
- 幅広いAIの活用
- AI検索最適化:AI使用時にブランドや商品が正しく表示されるように最適化する
- ソーシャルコマース:SNSから直接購入につなげる販売手法
- マルチモーダル検索最適化:文章だけでなく動画やビデオ、音声などから顧客が商品を見つけられるように最適化する
デジタルマーケティングとウェブマーケティングの違いは?
デジタルマーケティングは、デジタル技術を活用して顧客にアプローチするマーケティング全般を指します。
一方、WebマーケティングはWebサイトを中心に、SEOや検索広告、コンテンツ記事などを通じてサイトへの集客やコンバージョン獲得を目指す手法です。
文:Masumi Murakami





